理不尽な給料―なぜサラリーマンは優秀でも公務員より安月給なのか?
著者: 山口 俊一定価:1,470円
出版社: ぱる出版
ISBN: 4827206945
ISBN: 978-4827206944
給料に関してはこと理不尽に感じることが多い。
例えば、どうしてデキない正社員よりデキるアルバイトの賃金が低いのか。
同じ正社員でも、デキる女性よりもデキない男性の方が、給料が高いのか。
いくら優秀でも、中・小企業社員が大企業社員に勝てないのは何故か。
掘り起こせばいくらでも出てくるものだが、そうした理不尽な給与格差のカラクリを暴くのが本書、『理不尽な給料』である。
本書を読むと、厳しい現実を突きつけられることになる。
例えば会社に入って勤続年数を重ねれば、誰もが上がるはずだった「昇給」。ところが今や、「昇給」は見込めなくなっているというのだ。
不景気のせい? それは、違う。いくら会社が儲かっても、社員には還元できない状況が生まれているのだ。(それは実際に本書を読んで確かめて欲しい)
またほかにも、どうして中小企業よりも大企業に入った方がいいのか、派遣社員は優秀でも正社員に賃金で上回ることが難しいこと、公認会計士は失業養成資格に陥っていることなどがつづられている。
「仕事の価値や能力、努力が正当に評価されて、それに見合った賃金が決まる社会」に近づいていって欲しいと著者の山口氏は述べる。それは誰もが感じるところだが、現状と理想は大きく乖離しているようにも見える。
就職活動や転職活動を控えている人は、賃金格差の実態を知っておいて損はないはずだ。
第1章 なぜ給料は"仕事の成果"で決まらないのか
・日本の賃金は理不尽のオンパレード
・日本人は年々貧乏になっている
・実は、努力より"就職先選び"の段階で給料は決まる
第2章 中小企業社員は優秀でも、大企業社員には勝てない(企業格差→理不尽度30%)
・なぜ中小企業の給料は、大企業の7割以下なのか?
・なぜ沖縄の給料は、東京の7割以下なのか?
・なぜ小売業の給料は、銀行の7割以下なのか?
・注目の東電、平均年収760万円のウソ
・なぜ子会社は、親会社より給料が安いのか?
・大卒の就職率低下がしかたないワケ
第3章 20代は優秀でも、50代には勝てない(年齢・役職格差→理不尽度40%)
・期待のルーキーは、窓際族を超えられない
・日本のサラリーマンの平均年齢は、現在41歳
・東大卒と三流大卒の初任給は同じでいいのか
・ちょっと待った。大学院進学はソン?
・大学ランクは、その後の年収に影響するか?
・たいていの転職はソン
第4章 看護師は優秀でも、医者には勝てない(職種格差→理不尽度50%)
・歯医者は増えすぎて、天国から地獄へ
・最難関「公認会計士」が失業者養成資格へ
・介護職員が低賃金から抜け出せないワケ
・カリスマ以外の美容師は生活苦
・報われない技術者たち
・理系の生涯年収は、文系より5,000万円も低い?
第5章 オンナは優秀でも、オトコには勝てない(男女格差→理不尽度60%)
・なぜ女子社員の給料は、男子社員の7割以下なのか?
・やっぱりオンナは出世できないのか?
・税制も専業主婦を後押ししてきた
・実は女性上位の会社ほど儲かるというデータがある
・女より男の方が優秀という根拠はない
・結婚しないオンナが時代を動かす
第6章 派遣社員は優秀でも、正社員には勝てない(雇用格差→理不尽度70%)
・なぜパートタイマーの給料は、派遣社員より安いのか?
・なぜ派遣社員の給料は、正社員より安いのか?
・なぜ定年で嘱託になると、給与が6割に下がるのか?
・アメリカには定年制が一切存在しない
・なぜ、これからは正社員不遇の時代となるのか?
第7章 サラリーマンは優秀でも、公務員には勝てない(官民格差→理不尽度90%)
・給食のおばさん700万円、掃除のおじさん900万円!
・それでも、公務員の給与はやっぱり高い
・国立大学教員883万円、小学校教師742万円
・公務員は男女平等と思っていたのに・・・