新刊JPトップ> 特集 > 新刊JP FEATURING 立花胡桃「ユダ上・下」
Q&A
Q

キャバクラの世界で成功するために必要なものは何ですか?

A

プロ根性でしょうか。気持ちの強さといいますか、容姿よりも精神面のほうが大事だと思います。接客等のテクニックも当然ですけど、それも結局はプロ根性があればこそ鍛えられると思うのです。売れっ子のキャバクラ嬢が皆とてつもなく綺麗かというと、そうじゃないことのほうが多いですからね。 他の人が80%の力でやっていることを、120%の力を発揮して実践する、その熱意の差で、つかむお客さんの質も量にも差がつくのです。経験上、そのくらいの高い意識を持ってやれる子は、技術を覚えるのも早かったですね。

Q

この世界をうまく渡っていくために、仲良くしておくべきなのはどういう人間?

A

いわゆる“クラブ”だったら“ママ”と仲良くしておいた方がいいと思いますけど、キャバクラではそういうことはありません。キャバクラの場合は味方を増やすよりもまず敵をつくらない、当たり障りなく努めるということが重要だと思います。一人でも敵をつくってしまうと、片っ端から足を引っ張られる世界ですから。

Q

今まで関わったお客さんの中で、「この人は悪人だ」と思った方はいましたか?

A

純粋にキャバクラを楽しもうとして来店するのではなくて、キャスト(キャバ嬢)に対して詐欺行為を働こうとする人ですね。そういう人は「お客さん」と呼んでいいのかわからないです。本書にくわしいエピソードを書いたので是非読んでみてください。

Q

一緒に働いていた同僚の方で、一番「性根が腐ってる!」と思った人は?

A

私がこんな感じだったので、一概にどうこうとは言えないですね。安易に薬に走る子や、他のキャストの客を平気で寝取ったりする子はたくさんいましたし。

Q

稼いだお金はどんなことに遣いましたか?

A

ほとんど美容と買い物です。特に、ローリー・ロドキンとカッシーナだけでも何千万円か遣ってしまいました。これらの「散財っぷり」も本書で披露しています。自分には買えないものはないという感覚が、たまらなく気持ち良かったのです。

Q

すごい額ですが?

A

そういった高級ブランドのデザイナーご本人や、店員さんに顔を覚えてもらったりするたびごとに喜びを感じていました。ローリー・ロドキンの場合は、限られたお得意様が招かれる受注会で、デザイナーのローリーさんと直々に会ってお話しました。「この時計は世界に二つしかないの。でも一つは私のものだからもう一つはあなた」って言って700万円位の時計を出してくれるんですよ。そういった「選ばれた者」としての優越感が、当時はストレス発散になっていたのでしょうね。

Q

よく言われる「この棚のココからココまで!」という買い方も?

A

それはしていないです。自分が気に入っていないものを買っても、後で捨てるだけじゃないですか。憧れはありますけどね(笑)

Q

過去最高の売上は「一日に1000万円」とお聞きしましたが、その内訳は?

A

ロマネ・コンティ、ドン・ペリニヨン(ゴールド・ピンク・オニキス)などなどです。私の誕生日イベントだったこともありましたが、一人で250万円くらい遣ってくれたお客さんもいました。本書を読んで頂ければ、それが具体的にどのような光景だったのか、手に取るようにわかります。

Q

それはすごいですね……。昼間の仕事に関してはどう思われますか?

A

是非やってみたいです。でも私のこの金銭感覚はかなり世間とずれていると思いますし。もしやるとしたら、まずはそういった感覚を修正するリハビリ期間を経てからではないでしょうか。キャバクラで働いていたころの週給が200万円、その四分の一の50万円あれば、一ヶ月は充分普通の生活ができるはずですよね。でも私はそれでも足りなくて、貯金を切り崩してしまったり……。将来のためにも、普通に働いて普通に生活できる人になりたいです。

Q

ところで、枕営業をするための条件はどんなことですか?

A

今現在付き合っている彼氏がいない、他キャストのお客さんとは枕をしない……など自分の中でいくつか決め事がありました。他にも重要な条件があったのですが、それは本書を読んでのお楽しみです。

Q

お客さんを虜にするための「方法」とは何ですか?

A

漠然としているのですが、お客さんの“心の隙間”に入り込むことです。人間、誰しも孤独な部分を持っていると私は思うのです。まず大事なことは、そのお客さんが何に対して孤独を感じているのかを上手に見極めることですね。それによって、お客さんとのその後の接し方を考えていくのです。例えば今日仕事きつかっただろうな、と感じたら帰り際に栄養ドリンクをプレゼントしたり、何の前触れもなく誕生日をお祝いしたり、など工夫しながら、個々のお客さんに合わせてそれぞれ違った「方法」を見出していくのです。

Q

どのようなタイプの人間がキャバクラにハマってしまうのでしょうか?

A

大ざっぱに言えば、ある程度の時間があって、小金は持っているけど、友達が比較的少ない人でしょうか。自由になる時間が多い人ほど、より孤独を感じる時間も増えるのではないかと思います。あとは自意識が強く、人見知りな人もハマる傾向があるようにも思いますね。

Q

そういわれると、つい、“独身”男性をイメージしてしまいますが。

A

そうですね。ただ独身に限ったことではありません。相手が既婚者の場合は、一度“愛人”という関係になってしまうと、自分から別れ話をしてこないことが多いのです。こちらから別れ話をすると、大抵引きとめられてしまいますね

Q

ハマりそうなお客さんとそうでないお客さんとはどうやって見分けるのですか?

A

さきほど申し上げた“ハマる人の条件”にまず照らし合わせてみます。その前に、実は顔のパターン、容姿で、自分にハマる人かどうかがある程度わかってしまうのですよ。私は目が二重ですから、一重の男性に人気があるみたいです。自分にないものに惹かれる、ということなのでしょうね。見た目である程度は判断し、あとは実際に会話をしながら見極めていました。

Q

キャストに「嫌われる男性」とはどのようなタイプですか?

A

ケチ・横柄・指名替え。わかりやすく言えばこの三つです。指名するキャバ嬢を頻繁に替える浮気性のお客さんは「あの人、結局誰でもいいんだ」と思われてしまうからです。そうなると、他の全キャストから敬遠されてしまいます。逆に、もし他のキャストに目が移ったとしても、常に今まで指名していたキャストと一緒に指名するような一途なお客さんは、かえって好感を持たれたりしますけどね。

Q

お客さんに大金を貢がせたときはどんな気持ちになりますか?

A

普段と変わりません(笑)。こっちは“仕事”として割り切っていますから。

Q

夜の世界と昼の世界との違いはどのようなところに見られますか?

A

長くこの世界にいましたが、夜の世界の人はあらゆることにルーズなように思えます。約束を守らなかったり、ドタキャンをしたり。金銭感覚もずれているし……。また、一般常識に欠ける人も多く見てきました。
夜も昼も実はそう変わらないという方もいらっしゃるでしょうけれど、夜の世界ってやはりお酒が絡んでくるからでしょうか、どうしても気が緩んでしまうのではないかと思います。

Q

キャバクラの世界で働いて、得たものと失ったものとを教えてください。

A

得たものはお金と人脈。失ったものは一般常識でしょうね。このお仕事を一心不乱にやればやるほど、きちんとした友達が減ってしまいました。また、自分が利害関係抜きで他人と付き合えなくなったように思うこともあります。

Q

胡桃さんにとって「お金」とは?

A

お金とは自分の存在価値であり、世間の評価そのものだと思っています。

Q

胡桃さんにとって「男性(恋人)」とはどんな存在ですか?

A

心も体も温めてくれるホットココアみたいな存在です。

Q

最後になりますが、胡桃さんにとっての「幸せ」とは何ですか?

A それは……私が教えてほしいくらいです(笑)。いまだに何なのかわからないですね。大好きな彼氏がいても、その間ずっと幸せなわけじゃないし……。むしろそれがなくなったときに、今まで幸せだったことに気づくものだし。わかりません。
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