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3年で年収1億円を稼ぐ 「再生」不動産投資

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3年で年収1億円を稼ぐ「再生」不動産投資

  • 著者:
    天野真吾
  • 出版:
    ぱる出版
  • 定価:
    1500円+税
  • ISBN-10:
    4827210543
  • ISBN-13:
    978-4827210545

解説

会社の給料とは別に、もう一つの収入源があれば、とは誰もが考えることだろう。

だからこそ、いつの時代も投資は多くの人の関心事であり、中でも不動産投資はその筆頭である。ただ、購入してすぐに利益を出せるような好条件の物件は、やはりそうそう転がっているものではない。

「おいしい物件」であればあるほど、一部の資産家や大投資家がモノにしてしまうからである。コツコツ貯めた給料を元手にしているような副業投資家の出る幕はない。

「あえて二流物件を狙う」新しい不動産投資

こうした不動産投資の厳しい現実を踏まえ、「ならば二流物件を狙え」としているのが、独自に編み出した不動産投資の手法で成功を収めている天野真吾さんだ。

天野さんの手法は、「立地が良く、利回りが高く、入居率が高い」 という一流物件を取得するのは困難ということであえて避け、様々な理由から状態が悪く、入居者がついていない「二流物件」を割安で取得、リノベーションすることで入居率の高い物件に生まれ変わらせるというもの。

一流物件と比較すると手間はかかるが、空き部屋の目立つ物件を安く買い、満室で運営できれば当然利回りは高くなり、資産価値も落ちにくい。インカムゲインとキャピタルゲインの両面で「伸びしろ」があるという考え方だ。

ただ、これは見ようによっては「万馬券狙い」とも映る。やってのけるには、それなりの工夫が必要だ。

物件再生のキモは企画力

本書によると、天野さんのリノベーションの手法は、かなり独特なもの。たとえば、氏は買い上げた物件は、同じ物件の中だとしても、全ての部屋を同じ住環境にすることはない。

通常、同じ物件の中の部屋は、多少の違いはあっても基本的には同じであることがほとんどだが、これでは内覧にきた人が一部屋見て気に入らなければ、それまでだ。これに対し、各部屋にテーマカラー設けたり、ホームステージングを施したり、と部屋ごとに特色を持たせれば、それだけ内覧者が気に入って入居する確率は高くなる。

また、女性限定、学生限定、ゴルフ好き限定など、性別や属性、職業に特化して住みやすい物件にリノベーションすることで、他の物件との差別化をするのも有効だという。

ただきれいにするだけでは、二流物件が競争力を持つのは難しい。リノベーションにはアイデアと企画力が必要なのだ。

「室内が汚いから購入しない」はチャンスを逃す

だからこそ、リノベーション前提で購入物件を探す時のチェックポイントも、単なる中古物件購入とは異なる。

ありがちなのは、物件の内部だけをチェックして、部屋の汚れがひどかったり、共有部が傷んでいたりするというだけで「購入する価値なし」と判断してしまうパターンだ。修繕やリノベーションにどれだけお金がかかるかを計算することもなく諦めてしまう。

また、物件の内部だけで「買わない」と判断してしまうことは、物件の内部だけで「買う」と判断してしまうということでもある。つまり、一見きれいでリノベーション費用が安上がりだと思うと、それだけで購入を決めてしまうことにもなりえるのだ。

リノベーション投資ということで、その費用にばかり頭がいきがちだが、見るべきところはそこだけではない。立地や設備、室内の環境などを総合的に見て、自分の資金と照らし合わせながら、リノベーションして運営していくことが可能かを判断する。この姿勢があってはじめて、将来的に大きな利益を生む物件を見極められるのだ。

3年で年収1億円を稼ぐ 「再生」不動産投資』は、物件の発掘から、融資、入居者集めまで、リノベーション投資に必要なノウハウと心構えが余すところなく解説されている。

不動産投資で勝つために必要なことは、「立地が良く、利回りが高く、入居率が高い」ことだけではない。「二流の物件」でも勝つ兵法は、不動産投資を考えている人に様々な気づきを与えてくれるはずだ。

(新刊JP編集部)

インタビュー

―― 一般的に中古物件に投資する際は、「立地が良く、利回りが高く、入居率が高い」といった判断基準で購入する物件を選びがちですが、天野さんのやり方はそれとはまったく異なります。 まず、「立地が良く、利回りが高く、入居率が高い」という基準での物件選びにはどんなメリット・デメリットがあるのかを教えていただきたいです。

著者、天野真吾さん写真

天野: 「立地が良く、利回りが高く、入居率が高い」というのは、言ってみれば不動産投資の鉄板です。こういう物件を選べば、失敗することはまずありません。

ただ問題は、こういう物件が売りに出ると、購入したい人がそれこそ100人も200人も殺到することです。もちろん、買えるのは1人。ものすごいレッドオーシャンを勝ち抜かないといけないのが、デメリットといいますか難点です。

―― 買いたくても、まず手に入らない。

天野: しかも、どんな人にも公平にチャンスがあるわけではなくて、一番有利なのはキャッシュで買える人です。その次にローンの頭金を多く持っている人や自己資金が厚い人。そして社会的地位が高い人です。

世の中には10億円の物件でもキャッシュで買う人がいます。サラリーマンと掛け持ちして不動産をやろうという人が、そういう資金の潤沢な人と競うのはかなり分が悪い。ならば、資産家たちが目をつけない「二流物件」を手に入れて、再生させよう、というのが私のやり方です。

―― 天野さんの手法は、空室の目立つ「二流物件」を割安で入手し、リノベーションによって満室にして、利回りがよく、物件価値も上がるように運営するというものです。一般的に、空室の多い物件の特徴としてどのような点があげられますか?

天野: 主に3パターンあります。まずは何らかの事情があって運営がうまくされていないケースです。たとえば、企業が所有・運営している物件でよくあるのですが、その企業が倒産寸前であったり、あるいは倒産してしまって裁判所預かりになっている物件です。

こういう物件だと、メンテナンスやリノベーション、リフォームはまず行われませんし、管理会社・仲介会社が入居者募集をできない状況です。つまり「今いる入居者だけは、出て行くまでなんとか面倒を見ましょう」という姿勢なわけで、当然空室率はどんどん上がります。

二つ目は、条件が悪い物件です。立地が悪かったり、家賃設定が高かったりということですね。

最後の三つ目は、大家さんのやる気がない物件です。条件もいいし、綺麗な物件なのに、大家さんが運営に乗り気じゃないばかりに入居者が集まらないということもあるんです。これは、親から引き継いだ大家さんに多いかもしれません。

親の資産って、子どもからしたらいらないものも多々あるわけですよ。不動産経営に興味がない子どもの場合、物件の権利と現金を相続しても、関心があるのは現金の方だけだったりするわけです。

そういう人が大家だと、不動産運営を面倒事としか思いません。入居者の要望を聞いたり、クレームの処理をしたり、大家のやることは結構ありますから、資産をもらったというよりも、厄介なものを押し付けられたという感覚の人も多いんです。

となると手をかけませんから、自ずと建物は荒んできて、私のような投資家からすると「これはいいぞ」という二流物件になっていく。

―― 企業が社員寮として持っていた物件に以前住んでいたことがありますが、家賃の割にきれいで住み心地が良かったです。

天野: 会社の寮は、要は社員の福利厚生であって、あまりチープなものを社員に提供できませんし、会社側もそこで儲けようとは思っていないので、通常の賃貸向け物件より2グレードくらい作りがいい物件が多いです。

こういう物件はおもしろいですよ。バブルの頃に建てた寮だとか保養施設を、業績が悪化して売りに出さないといけないというケースが多々あるのですが、表立って売りに出せば業績が悪いと言っているようなもので、株価やステークホルダーに影響が出てしまいますから、大抵は内密に売り出すんです。

そうなると値段がかなり抑えられて、首都圏なのに建築価格の半分くらい、しかも土地はタダ、くらいの条件で売りに出ていることがあります。その代わり、守秘義務を絶対に守れる人にしか売らないという。

―― なるほど。しかし、そういう物件というのは探してもなかなか表には出てきませんよね。

天野: 普通に投資物件を買うという目線で探しても見つからないと思います。

私を含めて、築が浅かったり、状態のいい「二流物件」を見つけていく人間は、物件より先に企業の経営状態であったり、相続の状況を調査します。倒産しそうな会社というのは、財務諸表を見ればある程度見抜けますから、そういう会社の所有物件を調べていくと、売りに出そうな物件は見えてきます。

相続された物件については調査が難しいのですが、所有者が亡くなってしまえば、誰かに引き継ぐか、売却するという流れになります。これは知り合い伝に私のところに相談がくることが多いですね。

―― いずれにしても、普通に不動産仲介会社をあたっても見つからなそうです。

天野: 実はそんなこともないんです。こちらの意向をしっかり伝えれば、見つかることもあります。

ただ、投資用不動産を探すとなると、先ほども出た「立地が良く、利回りが高く、入居率が高い」という条件で物件を紹介してもらう方がほとんどです。そのリクエストでは見つからないということです。

「ボロボロでいいし、空室率が高くてもいいから、ポテンシャルのある物件を」とリクエストすれば、その条件で探してくれます。そんなリクエストをする人は珍しいですから、いい物件が入ったら独占できると思います。

―― 空室率の高い物件の中で、自分が購入する物件をどう見極めればいいのでしょうか。

天野: 個人的には、あえてリスクの高い物件や、他の人ではひるんでしまうような物件を再生させることでリターンを大きく取るのですが、投資家の人へのアドバイスとなるとまた違った答えになります。

RC(鉄筋コンクリート)物件で築20年以内、というのは一つの目安なのではないかと思います。こういう建物は、二流物件の中では失敗しにくいといいますか、やはり築古の木造物件の再生は難易度が高いので。

―― とはいえ、手堅い「一流物件」を避ける手法なだけにリスクも感じました。リノベーション投資の失敗パターンのようなものがありましたら、教えていただきたいです。

著者、天野真吾さん写真

天野: 想定していたより空室が埋まらないというケースはありますね。

ただ、一つ知っておいてほしいのは、リノベーションが失敗したから入居者が集まらないというケースは少なくて、ほとんどは物件を高値で買いすぎて、リノベーションに十分な予算が割けていないんです。

二流の物件を魅力ある物件に変えようと思ったら、修理修繕も含めてある程度お金はかかります。ただここをしっかりしておかないと、二流物件だった頃とあまり変わらない状態で運営してしまい、結局入居者が集まらず、資金繰りが悪化してしまいます。すると、さらにリノベーションにお金が使える状況ではなくなり、一層入居者が離れるという悪循環になってしまうんです。

―― リノベーションの余力を残して物件を購入し、購入したらまずリノベーションをすべき。

天野: リノベーションと清掃ですね。リノベーションをしなくても、クリーンであれば住んでくれる方はいますから。家賃が安ければいいという方もいますしね。

―― 天野さんの投資法は「一棟買い」が前提になっています。不動産投資の本を読むと「はじめはワンルームから」と書かれていることが多く、いきなり一棟買いというのはかなり勇気のいることのような気がします。

天野: そうですね。一棟買いだと、当然ワンルームを買うよりも初期費用がかかります。物件によっては億単位になるので、尻込みする投資家の方もやはりいらっしゃいます。

ただ、これはその人のスタンスの問題で、どちらがいいという問題ではないと思っています。たとえば、今サラリーマンで年収1000万円を稼いでいる人が、早くそれと同じくらい不動産で稼げるようになって独立したいと思ったら、それなりに利益を出さなければいけませんから、ワンルームでは厳しい。

ただ、小さく初めて、勉強しながら少しずつ手を広げていきたい人もいるでしょう。そういう人は一棟ではなくワンルームで始める方が成功確率は高いのではないかと思っています。

―― 本書では、買い付けた二流物件を競争力のある物件にするために、いかにリノベーションするかについても書かれています。興味深かったのは、天野さんは同じ物件でも、それぞれの部屋に変化をつけて、画一的にしないというところです。

天野: 床や壁紙の色ですとか、家具の配置、照明器具などにバリエーションをつけて、部屋ごとに雰囲気を変えるようにしています。そうすると、内覧に来たお客さんがひと部屋見て気に入らなかったから帰ってしまう、ということになりにくく、契約につながりやすいんです。家賃設定が高めの物件では、部屋ごとに間取りを変えることもありますよ。

―― 費用面では、全部屋同じようにリノベーションするより高くつくんですか?

天野: 間取りをいじらないなら、実はそこまで変わりません。

空室率が高い物件のリノベーションは、一度にたくさんの部屋を新しくしますから、ボリュームメリットといいますか、割安になりやすいんです。ひと部屋作業するのも、1日3部屋作業するのも、工数としては同じなので。

―― 不動産ビジネスは基本的に「不労所得が得られる」と考えられがちです。ただ、入居者のことを考えれば、やることは凄く多いわけで、会社員が兼業で物件一棟の管理をやっていくことはかなり大変な気がするのですが、この点についてはいかがですか?

天野: 率直に言いますが、大変です(笑)。ただ、リターンはやはり大きいですし、何よりスピード感が違います。

会社の仕事はいろいろな人とコミュニケーションを取りながら進める必要がありますが、自分が持ち主である以上、物件管理は自分が意思決定して動けばどんどん物事は進みます。

物件購入などは、物件を見つけて、精査して、買い付けるまで、それが億単位の物件であっても1日か2日で済むこともあります。不動産で資産形成をするにしても、自分さえ動けばスピード感を持って資産を作れるところが醍醐味ですね。

―― 最後になりますが、不動産投資に興味を持っている人にアドバイスをお願いできればと思います。

著者、天野真吾さん写真

天野: やはり、自分の投資のスタンスを決めるのが一番大切なことではないかと思います。「不労所得」の話が出ましたが、手間暇かけずに家賃収入を得たいなら、その条件を満たす物件を長い時間がかかっても探すべきですし、手間暇かけてリノベーションした分大きな利益を得たいなら、それに見合った物件が必ずあります。

また、あくまで副業として不動産投資をしたいのか、いずれ会社を辞めて一人立ちしたいのかでも適した方法は違うので、自分の進みたい方向性を見極めたうえで投資する物件を決めるのが大切だと思いますね。
(新刊JP編集部)

書籍情報

目次

  1. 序章 前提編 「不動産投資」は「事業」です!
  2. 第1章 物件選定編 ガラガラ物件を避けるのではなく狙う
  3. 第2章 融資編 全空物件でも融資を得るコツ
  4. 第3章 管理運用編 居住率50%増を当たり前にする業者との付き合い方
  5. 第4章 再生編 資産価値を爆発的に高める再生ノウハウ
  6. 第5章 自己資金編 激安自宅を購入してお金が貯まる仕組みを作る
  7. 第6章 家族協力編 家族の理解なくして大家の成功はない
  8. 第7章 マインド編 実際ノウハウだけで成功することは難しい

プロフィール

天野真吾(あまの・しんご)

「湘南再生大家」の愛称で親しまれる不動産投資家。
不動産投資と収益物件情報サイト「健美家(けんびや)」コラムニスト。
東京経済大学・経済学部卒業後、国内IT系商社に入社。
5年後、外資系ITグローバル(世界最大)企業へ転職。
営業畑(企業営業)一筋に勤務する傍ら
2008年より「再生」不動産投資に挑戦し、資産20億円・家賃年収2億円にしたカリスマ投資家。
所有物件(12棟・約200戸):東京都・神奈川県・埼玉県・静岡県・愛知県・福岡県に一棟収益不動産所有。
地方と首都圏の物件をバランス良く所有して、収益を最大化する仕組みを構築。
近年はコンサルティング事業にも力を入れ、事業家・不動産投資家の育成にも尽力する。
趣味は、約120ヶ国を訪問した海外旅行とテニス。