がんが人を死に至らしめるのは、がんによって臓器や器官が塞がれるなど、身体機能が阻害されるため。早期がんなどで、身体機能に影響がないうちに手術などで治療をすることは、逆に体に負担をかけることになり、結果的に寿命を縮めることになる。
専門家でも「がん」の基準はあいまいで、誤診もひんぱんに起こる。本来恐れることはないがんへの恐怖のみが増幅され、がんの影におびえて、いたずらに心身を消耗させるだけである。事実、各種のがん検診を受けても、受けた人の平均寿命は延びない、ということが統計データにより実証されている。
日本ではがんが見つかると、早期がんでもすぐに手術を勧められるが、この段階での手術は「がんもどき」の場合は無駄であることになり、また「本物のがん」でも体の抵抗力を弱め再発を誘う結果になる。実際にがんによる症状が出た場合、それを抑える治療法の一つとして検討すべきものである。
抗がん剤で治る成人がんは、急性白血病、悪性リンパ腫、睾丸(こうがん)のがん、子宮絨毛(じゅうもう)がんの4つだけである。それ以外のがんに対する抗がん剤使用は、効果があるという信頼できる臨床データが存在しない。にもかかわらずほかのがんで抗がん剤が多用されているのは、製薬会社と医者の癒着によるデータ捏造や、医薬品認可プロセスの問題などの理由がある。
CT(コンピュータ断層撮影)・レントゲン・マンモグラフィなどで利用される放射線は、回数を重ねれば人体の健康にとって無視できる量ではなくなる。また放射線治療も、適切な治療でなければ重大な障害を及ぼすことがある。これらの点を踏まえ、検診や放射線治療は慎重に検討する必要がある。
がん細胞自体は正常細胞とほとんど変わらないため、外部からの異物侵入を防ぐための「免疫」は働かないと考えられる(働くとしても、すでにがんが増殖している時点で、負けていることになる)。そのため、免疫力を高めるということはがんに対してなんの意味ももたない。それよりも、症状や治療などの身体への負担に耐えうる「抵抗力」をつけることを重視すべきである。
<がんを科学するための参考著書>
医療にかぎらず、各分野の「専門家」たちはそれぞれ、みずからの分野の業界を代弁する。したがって、その分野を否定するような事実(たとえば「◯◯という抗がん剤はこのがんには効かない」など)が科学や統計データによって証明されたとしても、そのことを患者に積極的には言わない、もしくは隠すことが多い。
「成人病」は明確な疾患ではなく、老化現象の一つとしてとらえられるものである。「生活習慣病」という病気として認識してしまうと病院に通って不自由な生活を送ることは、幸せにはつながらない。
あらゆる疾患の「早期発見・早期治療」を求める健康診断は、症状のない健康状態を病気と錯覚させ、無駄な治療に誘うものが多い。がん検診と同じく、「受けても寿命が延びない」ということが統計により実証されている。にもかかわらず、病院や検診事業者、医者による「医療ビジネス」として推進されているものである。
<「専門家」の実態を知るための参考著書>