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すべてが見えてくる飛躍の法則 - ビジネスは、〈三人称〉で考える。

著者: 石原 明
定価: 1,470円
出版社: アスペクト
ISBN-10: 4757220936
ISBN-13: 978-4757220935

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インタビュー

―まず、二人称の大切さは子どもの頃から「相手の立場に立って考えなさい」と教えられてきましたが、三人称で考えるという視点はあまりないと思います。こうした視点を得られたきっかけについて教えていただけますか?

「最初のきっかけは、学生の頃に読んだ司馬遼太郎の時代小説『俄―浪華遊侠伝』(講談社文庫) の一節を読んだことでした。

この小説は司馬さんとしてはかなりめずらしい作品で、幕末から明治を生きた大阪の侠客の親分、明石屋万吉を本書の主人公として描いています。
彼はこの主人公の生き方を通して、「知恵より覚悟が、大切である」という考え方を披露しています。これは、人生を生きるうえで、とても大切なことだと当時の私は感じました。

その小説の中にこんな場面があります。

万吉少年が貧乏でお腹をすかせている時に、神社の境内でお金持ちの子どもたちが“掛けベー独楽(ルビ・ごま)”をやっているところを発見します。
それを見た万吉少年は何をしたかというと、「これは俺の金だ!」といって、いきなりそのお金と独楽(ルビ・ごま)の上に覆いかぶさるのです。
当然、子どもたちはその行為にビックリして、最初は何がなにやらわからないのですが、そのうち怒って万吉少年の頭や身体を殴ったり蹴ったりするのです。
ところが、何をやっても声一つあげない万吉少年のことが、だんだん薄気味悪くなっていきます。そのうちあまりの気味悪さに怖くなって、その場を立ち去るのですが、万吉少年は頭から血を出しながら何を考えていたかというと「これは俺じゃない!」とつぶやいているのです。
 少年たちが立ち去った後、万吉少年は何食わぬ顔をして立ち上がり、勝手に宣言したとおり、そのお金を自分のお金にしてしまう、というシーンが描かれています。

私は、この「これは俺じゃない!」という“捉え方”に当時ものすごい衝撃を受けたことを覚えています。
《なるほど、大変なことでも、自分を切り離して考えればそんなに大変なことにはならないんだ!》

はっきりとこんなふうに言葉として意識し、理解したわけではなかったのですが、とにかく衝撃を受けたことを今も鮮明に覚えています。
それ以来、私は何か困難や苦痛を伴うこと、やりたくないことをしなければならない時に(あまり他の人に話したことはないのですが)、いつも「これは俺じゃない!」と自分に言い聞かせながら目の前のことをやりきってきました。のちにこの概念を認知心理学では「メタ認知」ということを知りました。本書第3章で詳しくお話ししています。
このことが最初に“人称”を意識するきっかけとなったのだと思います」。

―通常の「人称」の意味であれば、四人称や五人称というのは存在し得ない(四人称は提唱者もいますが)と思うのですが、石原さまが考える「四人称」「五人称」とはどのようなものなのでしょうか。

「問題が起こった同じ次元でものごとを考えていては、その問題は解くことができない!」
これは、本書冒頭でも記しているアルベルト・アインシュタインの言葉です。

常に自分がこの感覚でものごとに向き合っている。これをどう皆に伝えればよいのだろうと試行錯誤していました。
そして、この感覚を一番わかりやすく伝えるための言葉をみつけることができました。
それが私の唱えている「人称」です。
本書でいう人称とは、アインシュタインの言葉でいうところの「次元」になります。

質問でもおっしゃっているとおり「三人称」までであれば、通常の人称の意味を皆が知っています。中学の英語でいやというほど聞かされますからね。
その誰もが知っている「人称」に少しだけ定義をつけてあげると、どんな人でも
スッと意識できるのです。(コンサル現場で実証済みです!)
その定義が

人称=「視野の広さ」+「思考する時間の長さ」

というわけです。

であれば、「四人称」「五人称」は存在しないという概念も外れますよね。
「四人称」は「視野の広さ」を自分・相手・周りの人物からさらにマーケット全体やライバル会社まで広げ、「思考する時間の長さ」1~3年で考えればよいし、 「五人称」は「視野の広さ」を自分・相手・周りの人物、マーケット全体やライバル会社からさらに、他業種や地域住民まで広げ、「思考する時間の長さ」を5~10年で考えるといった具合です」

―人称を増やすことでビジネスにおいてどのような利点があるのですか?

「三人称で仕事ができると視野が広くなっていますから、相手や周りの人が、何を必要としているのか、期待しているのかがわかり、与えられた仕事以上の成果を上げれるようになります。
また、ビジネスのいろいろな場面で行う、決定や決断が的確に下せる人になります。
目の前で起こっていることから視点を十分引いてみることができるようになるので
自分や周りの状況を客観的に判断できるのです。

こんな人を会社がほっとくわけがないので、次々と重要なポストを任されることになりますよね」

―では、こうした考え方は、ビジネス以外の場面ではどのように活用できますか?

「人称の高い人は、ビジネスの場面に限らず人間関係がスムーズにいきます。
それは、友人関係・家族関係・夫婦関係などあらゆる場面で感じることができます。
特に「夫婦関係」などは、今まで全く違う生活スタイルで暮らしてきた二人が一緒に暮らすわけですから、人称が低いと衝突だらけでしょうね。
人称が高いと、夫婦の間で何か問題が起こった時も、コトを今日だけの問題にせずに
10年、20年後を視野に置いた多人称視点で対応できるはずです。

人の悩みは、総括すると全て人間関係に当てはまるそうです。ですから、ビジネスに限らずプライベートでも充実した時間を送ることができるようになります。
あと、人称が高い人はモテますよ!これは確実です」

―「三人称」で考えることは場合によっては「他人事」のように感じてしまうことになりかねないのではないかと思いました。そうした完全な「他人事」にならないようにするにはどうすればいいのですか?

「三人称は決して他人事にはならないんですよ。
「私」と「相手」と「まわりのひと」この三つの視点を持っていることが三人称視点です。
「まわりのひと」目線だけの場合は、質問にあったように「他人事」になってしまうのでしょうけど、「三つの視点」から見ていれば決して他人事にはならないのです。
三人称視点とは、3人目の視点ではなく、三つの視点をもって見た視点ということですので、気を付けてくださいね」

―本書を執筆したきっかけを教えていただけますか?

「今回の本は、私が新人から管理職の方、経営者まで、幅広い方々に向けて、今より一歩も二歩も成長するための新しい思考の尺度=「人称」について、わかりやすく解説した本です。

この本にまとめた内容は、10年以上前からずっと温めてきたものですが、驚くほどの効果が出てしまうことから、一度は公開することを封印していたものです。しかし、東日本大震災以後、勢いを失いかけている日本をなんとしても救いたい!との思いから、公開することを決断。1年以上の歳月をかけてコツコツと原稿をまとめたものを本にしました。

私はよくコンサルの場でよく「社長、もっと引いてかんがえてみてください!」とか「その決断は、5年後、10年後も正しいと言えますか?」と言った投げかけをしますが、未来を見据えた判断、思考、対応をいかにして身につけたらよいのかを、もっともわかりやすく解説したものなんです。

この本はズバリ!私、石原明の頭の中身そのものです(笑)」

―石原さんがこれまでビジネスの場面で「高い人称を持つこと」が役に立ったエピソードを教えていただけますか?

「無意識の中の意識というのでしょうか。常日頃から人称の概念で考えているので、特にとうよりは常に・・・という感じでしょうか。
嬉しいことに、私の周りにいる方々は人称の高い方ばかりで、毎日ワクワクしていますよ」

―この「人称」という考え方はどのような方が身につけるべきなのでしょうか。

「これから社会に出る人、すでにビジネスにかかわっている人、そして役職者として組織にかかわっている人、また経営的な立場にある人が、それぞれの立場でこの三人称視点あるいは多人称視点を身に付けてほしいと思います。

また、現在ビジネスにかかわっていない方も、必ず、人や地域組織とのかかわりがあるはずです。そんな方々にもこの人称視点を身についてもらえれば、充実したプライベートライフが送れるようになります。
そういった意味では、すべての方に自分の今の立っている場所、未来に立ちたい場所を意識しながら読んでもらえたらいいと思います」

―この書籍タイトルにした理由について教えてください。

「最初は「ビジネスは三人称で考える」というタイトルだったんです。

ですが、出版社の方からもう少しわかりやすいほうがよいかも…ということで、
この書籍の出版を担当してくださった方がとっても優秀な方なんですけど、
いろいろ考えてくださって「飛躍の法則」ってタイトルになりました。
でも絶対に三人称っていう言葉を残したかったので、サブタイトルとして
最初の「ビジネスは三人称で考える」を残していただいたんです」

―このインタビューの読者の皆さんのメッセージをお願いします。

「仕事だって、プライベートだって楽しくやりたい!!ってみんな思ってますよね。
人称を身に付ければ、ハッピーな時間がたくさん増えます。
これから社会に出る若者から、経営者の皆様まで、ビジネスをうまく・楽しくするためにぜひ活用していただきたいと思います」

書籍情報

すべてが見えてくる飛躍の法則 - ビジネスは、〈三人称〉で考える。

著者: 石原 明
定価: 1,470円
出版社: アスペクト
ISBN-10: 4757220936
ISBN-13: 978-4757220935

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