だれかに話したくなる本の話

【「本が好き!」レビュー】『月とコーヒー』吉田篤弘著

提供: 本が好き!

「月とコーヒー」のタイトルにひかれてつい手に取っていました。月はともかくコーヒーは大好物だから。

目次を見ると24編の短編小説が12ページごとに几帳面にならんでいます。各々の小説は独立したもので、どこから読んでもよさそうですが、実は青インクにまつわる3篇の小説は連作です。この3篇は本の前半と真ん中と最後に配されているので、やはり順番に読んでいくのがよさそうです。

コーヒーに合わせてケーキやサンドウィッチの出てくるお話が幾つかあります。そして主人公が喫茶店に行く話も多いかな。

「映写技師の夕食」はある若い映写技師が映写室の中で出前のサンドウィッチとコーヒーで夕食をとります。映写室の暗さと月明かりの暗さがシンクロしているような・・・

メルヘンのようなお話もあります。「ジョーカーのサンドイッチ」はトランプのジョーカーがカードを抜けだして特製のサンドウィッチを作ります。このサンドウィッチは美味そうです。

「バナナ会議」はちょっと異色の短編です。若猿、明猿、暗猿、賢猿の4匹の猿がバナナについて語り合います。バナナを三日月にかけたのかな。

そうそう、「美しい星に還る人」には喫茶店の定番メニューのナポリタンも出てきますよ。

待ち合わせの合間に喫茶店でそっと読むのによさそうですが、本がちょっと厚めなのが難点かな。枕元に置いて眠る前に読むのがよいのかも。

挿絵もよいですよ。

(レビュー:三太郎

・書評提供:書評でつながる読書コミュニティ「本が好き!」

本が好き!
月とコーヒー

月とコーヒー

喫茶店“ゴーゴリ”の甘くないケーキ。

世界の果てのコインランドリーに通うトカゲ男。

映写技師にサンドイッチを届ける夜の配達人。

トランプから抜け出してきたジョーカー。

赤い林檎に囲まれて青いインクをつくる青年。

三人の年老いた泥棒、空から落ちてきた天使、終わりの風景が見える眼鏡―。

忘れられたものと、世の中の隅の方にいる人たちのお話です。

小箱の中にしまってあったとっておきのお話、24ピース。

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