だれかに話したくなる本の話

コムドット・やまとが『聖域』でつづった「読書の力」

グループの勢いは本の売れ行きにも表れているようだ。
今年8月末に出版された、5人組YouTubeグループ「コムドット」のリーダーであるやまとさんが執筆した『聖域』(KADOKAWA刊)は、10月14日時点で7刷22万部のベストセラーとなり、快進撃を続けている。

『聖域』でつづられているのは、彼の人生観であり、マインドであり、貪欲な姿勢だ。

ナルシストで自信家。自身の肩書きは「革命家」だと胸を張る。地元のノリだけを頼りに、2018年にYouTubeをスタート。最初の1年間はチャンネル登録者数も伸びずに苦戦を強いられたが、信念に従って諦めずにYouTubeを続け、10月20日現在で登録者数250万人を突破している。

そんな彼の思考や行動の礎となっているのが「読書」であるようだ。
『聖域』でも、本について、そして読書の効力について触れられている。

■「読書は圧倒的にコスパがいい」

やまとさんにとって、一番幸せな時間は「読書をしている時間」だという。
暇さえあれば、大きめの本屋に行き、タイトルを眺める。そして、気になったものがあれば手に取る。直感で10冊ほど購入するという。

幼い頃から読書が好きだったようで、膨大な絵本に囲まれて育った。子どもの頃に没頭した本として『ぼくらの七日間戦争』をあげ、「子どもたちが協力して大人に立ち向かうという物語がおもしろくてしょうがなかった」(p.90より引用)と振り返る。

そんなやまとさんが本でページを割いてまで、本気で「読書」をすすめているのはなぜか。
それは、読書は圧倒的にコスパがいいからだという。読書は「人の頭の中を合法的に覗ける唯一の行為」。多くの本はたいてい1500円あまりで購入することができるが、「圧倒的にコスパがいい」と述べる。

小説には作者の想像力が込められ、ビジネス書には作者の持つテクニック、伝記には当人の歴史がつづられている。それらが1500円あまりの値段で覗けるのが「読書」なのだ。

ただ、よく陥りがちな「一冊を買ったら全部読まないと」という使命感はいらないとやまとさんは言う。「本を一冊読むことで、一つでも新しいことを知れたり、一つでも自分の生活に取り入れたいことが見つかれば万々歳だと思っている」(p.91より引用)とつづり、読書のハードルを下げるように呼び掛けている。

「読書離れ」という言葉を聞くようになってから久しいが、夢に向かって前進していくために「読書」が必要な知識、情報、スキルを与えてくれることは確かだ。

やまとさんは「僕にとって本は親友みたいな存在です」と述べ、本書を制作するときにも語り下ろしではなく、自分の手で文章を書き上げる方法を選択したという。
『聖域』の隅々から、ナルシストや自信家といった冒頭で書かれているイメージとは異なる、真面目で実直な「鈴木大飛」という人間の側面が見えてくる。若者を中心に圧倒的支持を受けている彼の素顔が見える一冊である。

(新刊JP編集部)

聖域

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夢も経験も人生も全部、自分だけのものだ。コムドット・やまとの燃える哲学

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