だれかに話したくなる本の話

核は人が持つ恐怖心を映し出す鏡 古川日出男『ミライミライ』が描き出す「もう一つの戦後史」(2)

『ミライミライ』(新潮社刊)の著者、古川日出男さん

「この年のこの出来事がなければ、その後の世界はこう変わっていた」
歴史が好きな人であれば、この種の空想をしたことは一度や二度ではないのではないか。

「あったかもしれない別の歴史」に思いを馳せる、そんな人にとって、作家・古川日出男の長編『ミライミライ』(新潮社刊)は刺激的な読書体験になるはず。

第二次世界大戦後、敗戦国である日本はアメリカとソ連に分割統治され、ソ連に統治される北海道では、解散を拒否した旧日本軍の兵士らが抗ソ連のゲリラ戦を展開。日本政府は、インドとの連邦制の道を摸索する。

荒唐無稽だと思うなら、それは歴史を信頼しすぎというもの。この筋書きは大いにありえたのだ。あったかもしれないもう一つの戦後史『ミライミライ』について、古川さんに疑問をぶつけるインタビュー。その後編をお届けする。
(インタビュー・記事/山田洋介)

■古川日出男『ミライミライ』が描き出す「もう一つの戦後史」(1)(古川日出男インタビュー前編) を読む

ミライミライ

ミライミライ

その音はお前のため。お前はお前の仲間のため。世界の聖歌になる。デビュー20周年記念作品。