だれかに話したくなる本の話

寝たきりの兄を家族は…日本も他人事ではない介護小説『ファミリー・ライフ』著者に聞く(2)

『ファミリー・ライフ』の著者、アキール・シャルマさん

出版業界の最重要人物にフォーカスする「ベストセラーズインタビュー」。

第98回となる今回は、自身二作目の長編『ファミリー・ライフ』(新潮社刊)が国際IMPACダブリン文学賞を受けるなど国際的な評価を得ている作家・アキール・シャルマさんが登場してくれました。

『ファミリー・ライフ』は、インドからアメリカに移住した一家を巡る物語。憧れのアメリカで幸福を築きつつあった一家の日常は、長男・ビルジュの事故で一変。彼の介護という仕事が、両親と弟のアジェの心に晴れることのない深い影を落としていきます。

アキールさん自身の経験が元になっているこの作品について、その魅力と読みどころを、翻訳を手掛けた作家の小野正嗣さんを交えて語っていただきました。その第二回をお届けします。
(インタビュー・文/山田洋介、撮影/金井元貴)

ファミリー・ライフ

ファミリー・ライフ

インドからアメリカに渡り、ささやかな幸福を築いてきた移民一家の日常が、ある夏のプールの事故で暗転する。意識が戻らない兄、介護の毎日に疲弊する両親、そして悲しみの中で成長していく弟。痛切な愛情と祈りにあふれる自伝的長篇。フォリオ賞、国際IMPACダブリン文学賞受賞作。