だれかに話したくなる本の話

【「本が好き!」レビュー】『公共図書館の冒険』柳与志夫、田村俊作(編)

提供: 本が好き!

公共図書館。
さまざまな資料を、無料で、どんな人でも読めるのは図書館の大きな特徴であり、利点である。
一方で、ベストセラーを数多く所蔵し、本にお金を使いたくない人のための「無料貸本屋」になっているという批判もある。

公共図書館はどうして今のような形になったのだろう?
もしもっとよい「ほかの形」があるとしたらどんなものだろう?

図書館の歴史を語る本は多くあるが、本書の特色は、時系列をただ追うだけでなく、「どんな本が読めたのか」「図書館で働く人々」「本が書架に並ぶまで」といったトピックごとに整理・考察することにより、図書館の成り立ちの背景をより深く知れることにある。
図書館で働く人々にはもちろんだろうが、利用者の立場から読んでも目から鱗でおもしろい。
特に、いわゆるベストセラーが置かれるようになったのはごく最近のことであるとか、一昔前に学生の「自習室」替わりとなっていた閲覧室使用の変遷などといった話はとても興味深い。

公共図書館の役割は、「貸出」と「レファレンス(参考調査)」に大別されるという。
こうした役割がよりよい形で提供されるために、困難を乗り越えつつ、図書館はさらに進んでいくのだろう。
そんな来し方・行く末を考える興味深い1冊である。

(レビュー:ぽんきち

・書評提供:書評でつながる読書コミュニティ「本が好き!」

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公共図書館の冒険

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公共図書館は何をしてきたか、何ができるのか。装備、図書館員、貸出カウンター、出版業界など、多様なテーマから歴史を見直し、「もうひとつの」可能性を考える。

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