そろそろ、
世界のフツーをはじめませんか
―いま日本人に必要な「個で戦う力」
著者: 今北 純一, 船川 淳志
定価: 1,785円
出版社: 日本経済新聞出版社
ISBN-10: 4532318823
ISBN-13: 978-4532318826
序文 全球化時代のプロフェッショナルへ
1章 鍛え抜かれた世界のエリートたち
2章 ビジネスは「知力」対「知力」の真剣勝負
3章 個人戦が当たり前
4章 見抜く力
5章 Intellectual Resilienceをつけろ
6章 「文系」「理系」はバカの壁
7章 メビウスの環
8章 頭を動かすことは楽しい
9章 「世界のフツー」の6つの力
10章 『るろ剣』『解体新書』に学ぶ本気度
11章 成長のペダル
日本人が克服すべき6つの「世界のフツー」
グローバル化が進み、国境を越えて活躍できる人材が増えつつある現代において、日本は各国に後塵を拝しているといわれる。世界のビジネスパーソンが“フツーにできていること”を、日本のエリートビジネスパーソンたちの多くはできていないというのだ。
『そろそろ、世界のフツーをはじめませんか』(今北純一、船川淳志/著、日本経済新聞社/刊)では、海外のビジネスシーンで活躍する二人の著者が、「世界のフツーができない日本人」をテーマに、世界で活躍できる人材について語り合っている。
では、日本のエリートが苦手としている「世界のフツー」とはどんなことなのだろうか。著者たちは、6つの「世界のフツー」を取り上げている。
1、自分の意見や見解を、複数の、しかも専門の異なる初対面の相手にでも、気おくれすることなく分かりやすく伝えることができる。
→海外では、「身内」以外の人間に対して、自分の意見の発信力や説明責任能力が問われる。「言わなくても伝わる」ことはほとんどない。自ら発信することが大事なのだ。
2、相手の話を聞いているときに、不明な点や理解できない部分、興味を持った点を率直に質問することができる。
→聞きたいことがあるのに周囲の顔色をうかがってしまうのは、日本人の典型的な悪癖。海外では周囲の顔色を気にせず、聞くべきことを聞ける質問力、胆力、そして知的好奇心が求められる。
3、自分の見解について、異なる立場の他社からの質問や提案を受けた時に、建設的な対話を展開できる。
→日本人は「恥をかく」こと、「正解」から外れることに苦手意識や恐怖心を持っている。自分の見解を発信しても、そこに突っ込みが入ることを恐れているのだ。逃げずに答え、建設的な対話ができるようにならなければいけない。
4、自分の国の歴史や文化、宗教、政治動向について相手から聞かれた場合、バランス感覚を持ちつつ自分の定見を相手にわかりやすく説明できる。
→日本では政治や宗教の話はタブーとされていることが多い。しかし、さまざまな国から人間が集まっている環境では、それがアイデンティティとなる。それをしっかりと自分から発信できることは重要なことだ。
5、日本人が自分一人という状況でも、多国籍のチームや組織の中で貢献できる。
→自分だけという完全なアウェー状態でも、日本人としての誇りや矜持をしっかり持てるだろうか。国籍や宗教、文化的価値観など多様なバックグラウンドを持つ人たちと、お互いの価値観を認めながら、共同作業していく中でそれは試される。
6、ユーモアの感覚、遊び心がある
→ちょっとした、気の利いたジョークは場を和ませる最大の方法。しかし、日本人の仏頂面は英語でも“Budda-like stone face”といわれることがあるほど。ユーモアの感覚を持ち合わせることは世界で活躍する条件である。
この「6つのフツー」は、日本にいる限りでは克服して身に付けなければいけないものではない。だから、どうしても身につけないまま、時間が過ぎ去っていく。
しかし、戦う舞台が海外であるならば必要とされる。「郷に入りては郷に従え」という言葉の通り、これらの「フツー」を遂行できないと、同じ土俵にすら立たせてもらえなくなる可能性もある。
ただでさえ、グローバル化が進んでいることを実感できる現代。少し先の未来ですら、どうなっているかは分からない。だからこそ、本書の内容は今後、生き残っていくための重要なヒントを与えてくれるはずだ。
(新刊JP編集部)
欧州系コンサルティング会社コーポレート・バリュー・アソシエーツ(CVA)パートナー兼日本関連プロジェクト統括マネージングディレクター。
1946年生まれ。1968年東京大学工学部応用物理学科卒業。1970年同大学院化学工学科修士課程修了。1970~74年旭硝子中央研究所研究員(~71年スカラーシップを得て、アメリカ ニューヨーク州立大学応用数学科留学)、1974~77年イギリス オックスフォード大学招聘教官、1977~81年スイス バッテル記念研究所研究員、1981~85年フランス ルノー公団未来商品開発室長、1985~99年フランス エア・リキード・グループのシニア・エグゼクティブを経て、1999年より現職
グローバルインパクト代表パートナー。1956年生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。東芝、アリコ・ジャパンに勤務後、アメリカ国際経営大学院(サンダーバード校)にてMBA取得。シリコンバレーを拠点に組織コンサルタントとして活動。帰国後、グロービスのシニアマネジャーを経て、1999年、人と組織のグローバル化対応を支援するコンサルティング会社、グローバルインパクトを設立。組織開発、企業変革にかかわるプロジェクトを手がける傍ら、組織、リーダーシップ、人材開発等の幅広いテーマでセミナーを行う