田中伸治『会社再生ガール』

　『会社再生ガール』の出版を記念し、大ヒットビジネスノベル『女子大生会計士の事件簿』の著者である山田真哉さんをお招きして対談を行いました！
　会社経営の「現場」に携わる２人の対談、是非お読みください

■「執筆のきっかけは中小企業の社長が相談しやすい環境を作りたかったから」（田中）

山田　さて、どういう経緯で『会社再生ガール』を書こうと思ったんですか？
田中　うちは毎日無料相談という形式で経営者の悩みや相談を受けているんですけど、ほとんどの方がかなり行き詰った状態になってから来るんですよね。
山田　そうですね。元気なうちは自分でなんとかしようって思いますしね。
田中　お金さえあればうちは大丈夫なんだよって口を揃えて言うんですけど、財務諸表を見たり経営分析をしていくと、とてもじゃないけどこの会社にお金入れる人なんていないな、と。我々の視点と経営者の認識には温度差があるんですよね。経営者の方は楽観視していたりして、おそらく周りにそういうことをアドバイスしてくれる人がいないんだろうな、と思うんですよ。ＩＰＯしたい、Ｍ＆Ａしたいとなると税理士といった取り巻きの方々が積極的にアドバイスするんですが、経営が暗礁に乗り上げると、これまで成功してきたオーナーに限ってなかなか弱みを見せたくないって方が多いんですよ。会社が悪い状況を人に話すっていうことに抵抗感があるんですよね。プライドがあるので。もっと早く来てもらえればもっといろんな選択肢があるのになっていうことを私は常に感じていたんですね。
山田　早ければ早いほど、経営がなんとかなる手段もいっぱいあるということですね。
田中　そうです。仮に自己破産するにしても、その破産費用すらないという会社がほとんどなんです。おそらく相談しやすい環境がないんでしょうね。それに、信頼できる税理士がいたとしてもその方は再生が得意ではないかも知れませんし。
山田　会計士とか税理士って得意分野は得意ですけど、不得意分野は全く不得意なんですよね。特に企業再生が得意な方ってあんまりいない。
田中　そうなんですよ。それに、先生業なんで、聞かれたことに対して分かりませんって正直に言っていただければいいんですけど、違った方向のアドバイスをされてしまうことがあったりして。
山田　ありますね。会計士って税務が苦手な人が結構います。ついこの間も馬鹿なスキームを作ってくる会計士がいまして（笑）。会計士だから、税理士だから信頼できるということはないというのは自分の同僚を見てて思いますね。
田中　（笑）そういうことを常に感じていまして、相談しやすい環境づくりというか、相談しやすい場を提供したいな、と。企業再生というと弁護士であったり、我々のようなコンサルタントの書籍が出版されているんですけど、専門用語が並んでいたりテクニカル過ぎたりと、素人目で見て分かりづらいんですね。それを、もう少し分かりやすく、テクニカルな部分や専門用語は最小限に抑えて、メンタル面で経営者の心を引くような内容の本が必要だと思っていたんです。『自分とはケースが違うけど、こういう形で再建できるんだったら自分も頼ってみたいな』と思うきっかけになればと。
山田　『会社再生ガール』は小説なんですよね。
田中　そうです。ストーリー形式になっています。主人公の女性コンサルタントが、あるきっかけで知り合った会社の社長さんをメンタル面のサポートはもちろん、様々なスキームを駆使して再建。途中でいろいろと妨害・障害が立ちはだかる場面もありますが、最後は経営者の希望を満して再生するというストーリーになっています。
山田　面白そうですね。何で小説形式にしようと思ったんですか？
田中　テクニカルや専門用語の本だったら僕が書かなくてもいいんじゃないかと思ったんです。で、まず読みやすい形にしたいと思ったのと、あとはメンタル面での再生というか、そういうところをつかんで欲しいと思ったんですが、それは普通のビジネス書では描きづらかったんです。会話形式にすることで、読者が自分の立場に置き換えてどんどん読み進んでいけるような形で、ということで小説形式にしました。
山田　より感情移入できるように、と。そのアイデアはいつくらいからあったんですか？
田中　１年くらい前ですね。
山田　もともと小説とかは書いていたんですか？
田中　書いていないですね。
山田　普通の本とかも？
田中　ないです。これが初めてですね。
山田　処女作を小説で！　周りの反応とかはいかがですか？
田中　まだそんなに原稿を見せたりはしていません。お楽しみで見せてないんですよ（笑）。でも、本を書いているよ、と話はしていて、皆さん楽しみにして頂いていますね。

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