専業投資家が絶対守る「負けない投資のルール」

著者インタビュー

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アマゾンへのリンク:玉川陽介著『インカムゲイン投資の教科書』
プロも驚きの安定・高利回り!
海外ETFとREITで始める
インカムゲイン投資の教科書

定価 : 
1,728円

著者 : 
玉川陽介

出版者 : 
日本実業出版社

ISBN-10 : 
4534052170

ISBN-13 : 
978-4534052179
アマゾンへのリンク:玉川陽介著『インカムゲイン投資の教科書』
玉川陽介
Tamagawa Yousuke
著者プロフィール写真
1978年神奈川県生まれ。学習院大学卒業。コアプラス・アンド・アーキテクチャーズ株式会社代表取締役。大学在学中に統計データ処理受託の会社を設立。同社を毎年増収増益で成長させ、2006年に売却。その資金で本格的に投資を始める。その後、国内外で不動産投資と証券投資を幅広く行う。自らの投資収益を主たる収入源としながら、『週刊ダイヤモンド』など経済誌への記事執筆も行っている。 『不動産投資1年目の教科書』(東洋経済新報社)をはじめ、『勝者1%の超富裕層に学ぶ「海外投資」7つの方法』(ぱる出版)など、すべての著書が増刷を重ねるなど、その視点、分析に定評がある個人投資家。

< 関連書籍 >
アマゾンへのリンク:玉川陽介著『不動産投資 1年目の教科書』
不動産投資1年目の教科書:
これから始める人が必ず知りたい
80の疑問と答え

2020年東京五輪+アベノミクスバブルで100年に一度のチャンス到来!Q&A方式で初心者の知りたいことがすべてわかる!日本一やさしい「超」入門書。

―『プロも驚きの安定・高利回り!海外ETFとREITで始める インカムゲイン投資の教科書』についてお話を伺えればと思います。まず、本書で「キャピタルゲイン(債券や不動産の値上がり益)」でなく「インカムゲイン(債券や不動産を所持していることによる配当や利子)」をテーマにした理由をお聞きできればと思います。

玉川:「キャピタルゲイン」目的の投資というと、基本的に個人投資家がやっているのは証券会社に行って日本株を買ってみるとか、FXをやってみるといった、ギャンブル性の高い投資で、7割方の人は外れて損をしてしまいます。 でも、ほとんどの人は「老後の資金を貯めたい」とか「月々のお小遣いを少しでも増やしたい」といった目的で投資をしているはずです。だとしたら、そういった当たり外れの大きい投資というのは、あまりその目的に合っていないのではないかと思ったのが理由としてあります。
「インカムゲイン」目的の投資は、当たり外れがさほど大きくありません。「年間で何%の利子がついて、月々の利益はいくら」という計算が立ちやすいので複利運用もしやすいんです。老後の備えのために投資をするという方には、こちらのやり方の方が合っていると思います。

―タイトルにある「ETF(上場投資信託)」と「REIT(上場不動産投資信託)」という言葉に馴染みがない方も多いと思います。これらの言葉についてかんたんにご説明いただけますか?

玉川:まず「ETF」ですが、証券会社の軒先によく「ブラジルに投資しよう」というような投資信託の広告が出ていますよね。基本的にはそれと同じです。
投資信託と内容はほとんど同じなのですが、「ブラジルの国債に投資しよう」とか「日本の株に投資してみるか」というように、自分で内容が選べて、なおかつネットで取引ができます。それもあって手数料が格段に安いというのが特徴です。

―「自分で内容が選べる」というのは、「運用する商品の銘柄」を選べるということですか?

玉川:個別の銘柄を選ぶのではなく、「日本株のETF」とか「アメリカの債券のETF」「ヨーロッパの不動産のETF」など、ETFの商品はテーマごとにまとまっていることが多いので、どんなテーマのETFに投資するかを選ぶ、ということですね。

―となると、ETFの良さはどんなところにあるのでしょうか。

玉川:単に日本の株であれば、個別に調べて自分で買えますが、たとえばインドネシアの株を買いたい場合、ほとんどの人はどんな株があるかよくわからないはずです。
こういう時、ETFであれば、インドネシア全体に幅広く投資できるようにまとめられている商品があったり、もう少し広く、東南アジア全般に投資するような商品もあります。
テーマやジャンルさえ決まっていれば、個別銘柄を調べる必要がないという便利さはありますね。

―テーマごとに個別銘柄がまとめられている点で、「福袋」のようなイメージで捉えればいいのでしょうか。

玉川:「福袋」は中身が見えないものですが、ETFはまとめられている個別銘柄が完全に見えるというところが違います。「透明な福袋」ですね。

―REITについてはいかがですか?

玉川:REITもETFも考え方は一緒ですが、REITは不動産ですね。
ETFで扱うのは証券ですが、REITは不動産を扱うという違いがあります。
不動産を持てば、家賃が入ってきますよね?その家賃を、REITを購入した人に分配するというのが基本的なシステムです。

―本書で紹介しているインカムゲイン投資は「証券投資」が中心になっていますが、これはなぜですか?

玉川:前著(『不動産投資 1年目の教科書: これから始める人が必ず知りたい80の疑問と答え』東洋経済新報社/刊)で不動産投資について詳しく書いたんですよ。だから、今回の本と両方読んでいただくことで、不動産・証券という主要な投資については理解していただけると思います。国語と算数のような感じで、投資の全体を理解するために使っていただきたいですね。

―インカムゲイン投資は、基本的に長期投資になります。今のように市場の変化が大きい時期に長期投資をするにあたって気をつけるべきことはどんなことですか?

玉川:一つは、本に書いたことですが、長い戦だからこそ「戦のルール」をきちんと理解することです。投資は知識を持った人でもなかなかうまくはいかないものですから、知識を持たないとなおさらうまくいきません。
あとは、「経済全体の流れの中に個別銘柄がある」という認識をすることです。
たとえばアップルやソフトバンクがすごく業績が伸びていて良さそうに見えると。じゃあ投資資金を全額アップルに集中させれば、新型のiPhoneが出た時に儲かるんじゃないか、投資の経験が少ない人ほどそう考えがちです。
でも、いかにアップルといえども、世界経済全体からするとほんの一部を担っているにすぎないわけですから、「iPhone6は売れているのに株価が下がる」ということもありえるわけです。
だから「木を見て森を見ない」みたいな投資ではなく、どんなできごとが株価にどんな影響を与えるか、アップルの例でいえば、iPhone6の売り上げだけでアップルの株価が動いているわけではないですから、それ以外のところで何が影響するのかを見極める必要があります。それは世界の経済全体を見ていないとわからないことです。株式投資を例にお話ししましたが、これができていないと長期投資を仕掛けても結局はあてずっぽうになってしまう。

―世界経済全体の流れを知るために、どんなことから始めればいいのでしょうか。

玉川:世界経済全体を見るといっても、地球上で起こっていることを全て把握するということではなくて、重要なポイントをいくつか押さえることが大事です。
今だと、アメリカの金融政策で金利を引き上げるという話ですから、金利関係のトピックや各経済指標の見方などは知っておかないと、日経新聞を読んでも理解できないはずです。そういうポイントについてはコツコツ勉強していくべきだと思います。

―玉川さんは10年以上投資家として活動されていますが、世界経済全体を見て変わったところはありますか?

玉川:証券や金融の基本的なところは僕が投資家になった当時から変わっていませんから、「金利が上がったら債券の値段は下がりますよ」といった法則めいたところは同じですよね。
金融というと一見難しいように思えるのですが、一度理解してしまえば100年変わらない仕組みのようなものがあるんですよ。
これに対して、マーケットのテーマは時期によって変わっていくものですよね。20年前であれば日本のバブル経済が世界全体で見ても大きなテーマでしたし、90年代の終わりには「アジア通貨危機」があって、その後には「ITバブル」がありました
今も昔も変わらない、金融や経済のベースの部分をしっかり理解したうえで、最近のマーケットのテーマを見ることが大事です。

―「リスクを抑えつつできる限り高い利回りで」というのが投資の理想です。インカムゲイン投資でこの理想をかなえるためにはどんなことが必要になりますか?

玉川:まず押さえておかないといけないのは、日本が非常に低金利で、利益が上がらない国だということです。
高い利回りを得るのであれば、わざわざ低金利の国で投資をする必要はないので、海外にも目を向けるというのは必要だと思いますね。もちろんドルベースやユーロベースになりますが。

―海外への投資となると、気になるのは「リスク」です。

玉川:まっさきに来るのが「為替リスク」(投資商品ではなく為替相場の変動で損失を被るリスク)ですが、為替のリスクを取らない商品もあるので、自分の投資のなかにそういう商品を組み込んでいくといいと思います。
そういう商品は利回りが低いことが多いのですが、安定して損をしにくいという利点もあります。こういう商品にレバレッジをかけて運用するというのも一つの手です。

―実際的なことをお聞きしますが、もし今1000万円を投資に回すとしたら、どのように運用していきますか。

玉川:1000万円では不動産は買えないので、選択肢というと証券しかありません。となると、海外の債券ETFとか、アメリカのREITになると思います。
多少はキャピタルゲイン投資として株を買ってもいいと思いますが、1000万円を減らしたくないということだと8割方はETFとREITでしょうね。うまくやれば8%くらいで運用できますから、年間で80万円の利益です。月々のお小遣いが7万円弱増えると考えると大きいですよね。

―今挙げられたのはいずれも海外への投資ですが、国内のREITを買うという選択肢はないのですか?

玉川:国内のREITは高いという感覚があります。分配金を見ても良くないのですが、投資価格も高い。
たとえば、10億円の価値があって、年間1億円の家賃収入があるビルにREITで投資をするとします。ビルの価値が10億円なのだから、このビルのREITの価値も本来ならば10億円になるはずです。でも、今はこれがREITだと20億円くらいの値がついてしまうんですよ。10億円の価値のものに20億円の値がついている。これはおかしいですよね。

―なぜそういうことが起きるのですか?

玉川:みんな知らないからでしょうね。先ほどお話ししたようにREITもETFと構造的には同じですから、一つのREIT商品の中には複数の個別銘柄(不動産)が含まれています。その個別銘柄をすべて吟味してから買っている人はあまりいないんですよ。
投資をしたい人が証券会社の店頭にやってくると「月々5万円でも10万円でも欲しい。何かいい商品はないか?」と相談します。証券マンは顧客それぞれのことまで考えていませんから「安定して収入を得たいならREITだろう」ということでREITを買わせる。特にお年寄りだと、債券よりは不動産の方が馴染み深いですからね。
顧客からすれば、「これで安定して収入が得られる。安泰だ」となるのですが、実は10億円のビルに20億円出してしまっていることもあります。家賃収入が年間1億円だとすると、本来不動産価格の10%分の収入があるはずなのに、5%分しか入ってこないことになる。すごく損をしているわけです。

―それは証券会社にも非があるのではないですか?

玉川:明確に非があるわけではありません。このビルが本当に20億円まで値上がりする可能性もあるので、証券会社からしたらいくらでも言い訳が立ちます。だから詐欺などではないんです。
そういうこともあって、国内のREITは積極的には買えないなというのがあります。

―結局は、きちんと調べない方が悪いということになってしまう。

玉川:そうですね。調べていない人はそういうところで損をしてしまいます。

―本書を読むことで、インカムゲイン投資にかかわる知識とノウハウはかなりカバーできるかと思います。これ以外に投資の勉強として有効なものがありましたら教えていただければと思います。

玉川:物理といいますか、物事の「仕組み」の部分に常に目を向ける習慣をつけるといいと思います。
多くの人はメディアで発表された情報だとか個別のコンテンツといった「上澄み」しか見ていません。でもそれだと、物事がこれからどう変わっていくかといったことはわからないんです。
どんなことでも論理や道理が必ずあります。そこに目を向けて「どうやって成り立っているのか」を押さえれば、今後の展開もある程度予想がつくようになりますし、本物と偽物の区別がつくようになります。

―最後になりますが、読者の方々にメッセージをお願いできればと思います。

玉川:頭のいい人であっても、「広告が格好いい」「見た目綺麗」といったことが購買行動に寄与してしまいます。
たいした買い物でなければそれでもいいのですが、家を買ったり何百万というお金を投資したりという時は、もっと慎重になるべきです。極端な話、会社を2、3日休んで吟味していいくらいで、広告のイメージで買ってしまうと損をしてしまったり、リスクに気がつかなかったりする。
大事なお金を投資するわけですから、調べられる限りは調べて知識を得てから投資してほしいと思います。これをやらないとギャンブルになってしまいますからね。
(新刊JP編集部)