新刊JP FEATURING「仕事に役立つマインドマップ-眠っている脳が目覚めるレッスン-」トニー・ブザン

マインドマップとは?

マインドマップとは脳の中で次から次へと展開する思考をそのまま紙に描くカラフルで視覚的なノートのこと。

まず紙の中心にはセントラル・イメージという、テーマやトピックを示す絵や文字を描く。そこから放射状にメイン・ブランチ(枝、部門という意)を伸ばして、テーマについての「主な考え」を展開する。さらにメイン・ブランチの先からサブ・ブランチを伸ばして、その考えをもっと深く探求することもできる。

紙面を見てみると、描かれたすべての考えがお互い結びついてことが分かるだろう。中心から外側へ向かって描いていくため、創造的思考が放射状に広がる。さらに、文字や数字だけではなく色も使うことで、右脳と左脳の両方が働き、思考力が相乗的に高まるという。

下図で例を示した。

マインドマップの例

『仕事に役立つマインドマップ』P47より抜粋

長期的問題への対処

問題が生じるたびにマインドマップを描く習慣がつくと、何度も繰り返されるパターンに気付き始めるだろう。このことがきっかけで、業務内容の変更や転職の必要性を感じるようになるかもしれない(第4章参照)。

あなたが、街の中心街にあるスミス・エンド・サンズ銀行の支店長だとする。ライバル銀行に顧客が流れており、競争に負けている理由を早急に特定する必要がある。この作業にはマインドマップが適しており、どこが問題で、何が出来るのかに焦点を合わせるのに役立つ。

このマインドマップを描くための基本的な手順は次のようになる。

  1. マインドマップのセントラル・イメージにはスミス・エンドサンズのロゴを描く。こうすれば、問題に立ち向かって銀行の営業を続ける意欲を示せる。
  2. 次に、銀行が直面している問題を1つずつ検討する。これには、オンライン・バンキング、中心街にある他の銀行、テレフォン・バンキングなどが含まれるだろう。こうした個別のトピックを、「強み」「対策」「時間」「競争」などのメイン・ブランチに記入する。
  3. 各メイン・ブランチに記入した要因についてサブ・ブランチでさらに詳しく展開する。たとえば、「競争」のブランチから広げるサブ・ブランチでは、スピード、サービスの範囲、営業時間の長さなどの観点で、スミス・エンドサンズが提供するサービスの品質をライバル銀行と比較検討出来る。同様に、「強み」のブランチでは、サブ・ブランチを広げて顧客やスタッフの忠誠心を示せる。

スミス・エンド・サンズには、長い時間をかけて生じた問題が存在する可能性があり、マインドマップを描き始めるまでは、そうした問題がどの程度事業に悪影響を及ぼしているかが分からないかもしれない。

マインドマップを作成することによって、あなたは抜本的な改革の必要性を認識する。緊急に対策を講じる必要があるとわかるだろう。スミス・エンド・サンズのマインドマップについては、上図を参照してほしい。

同時に、うまくいっていることも書き入れて、それを死守しよう。たとえば、長年の伝統とサービスのよさは大きなメリットだ。欠点があれば長所もあるはずであり、それを見いだすにはマインドマップが役立つ。

同僚をこのプロセスに巻き込んで問題について議論すれば、解決策を実行に移すときに全員を味方につけられる。このことは非常に重要だ。あなたは同僚に解決策を単に伝えるのではなく、売り込む必要があるからだ。そのために銀行の窮地をより広い状況の中で考えてみる際に、マインドマップが活躍する。

たとえば、スタッフの土曜日の勤務時間が長くなるかもしれない。しかしマインドマップを使って当初からスタッフと一緒に問題の解決に取り組んでいれば、それが必要な理由を理解してもらいやすいだろう。また、問題解決法について同僚が新たな見識を与えてくれることもある。行動的かつ効率的な経営にとって協議と譲歩は貴重なツールである。

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