著者名:上田渉
出版社:実業之日本社
定価:1,050円(税込)
ISBN-10: 4408108804
ISBN-13: 978-4408108803
“なんちゃってノマドワーク”を体験してみた
「ノマド」とは遊牧民のことを指し、オフィスにはほとんど駐在せず時間や場所に縛られない「ノマド」のような働き方を「ノマドワーキング」という。ちなみに、そういう働き方をする人たちのことを「ノマドワーカー」と呼ぶのだそうだ。
通勤時間やちょっと移動の時間の作業が差をつける…らしいのだが、とはいえ移動の時間なんてとてもできない! と思う方も多いのではないだろうか。電車内なんて揺れが激しいし、集中できるイメージが沸かない。
というわけで、今回はわずか30分の移動時間を使った“なんちゃってノマドワーク”に挑戦してみた。
◇ ◇ ◇
なんちゃってノマドワークに挑戦するのは新刊JP編集部の“ギリギリまで仕事を効率化したい男”山田洋介27歳。ノマドワーキングの参考とするのは、この『ノマド出張仕事術』だ。
山田の右手には『ノマド出張仕事術』の本、左手にはiPhone。そう、iPhoneなどのスマートフォンはノマド仕事術には必要不可欠なアイテムなのだ。
毎日送られてくるたくさんの仕事関係のメールや、次々に入っていくスケジュール。メールは基本的にPCで受け取り、スケジュールは手帳に…とやっていると散らかってしまうことも多い。
しかし、スマートフォンはGmailなどといったパソコン向けのメールがデフォルトとして受信でき、また、Googleカレンダーを使えばスケジュール管理も容易に可能。さらにメモした情報をパソコンと同期することができるため、その場でアイデアを出してもすぐに形にすることができるのだ。
電車のホームでさっそくメールを確認する山田。「新しいメールは…おっと、緊急の対応を要するメールが来ているな。さっそくオフィスにいる川口に連絡しなくちゃ」と言ってすぐに編集部の川口に連絡。
もし緊急の対応を要する場合、「席を外しているから分からなかった」では済まない。急ぎの用件にもすぐに対応できるようになるのが、このスマートフォンの良いところだ。
電車に乗ってもメールの対応をする山田。緊急の対応を要する案件は無事解決したとさっき言っていたのに、まだ何をやっているんだ?
だんだん姿勢が前のめりに…。こいつ、まさか…。
山田「いやー、ゲームをしちゃっていたよ!!HAHAHA!」
やはり…。尋常じゃない集中力だと思ったら…。iPhoneアプリには魅力的なゲームがたくさんあるので気をつけたいところだ。しかし、どうやらそれだけでなく、思いついた企画をメモしたり、これから打ち合わせに向かう場所を地図で検索していたらしい。
iPhoneアプリにはビジネスツールとして武器になるガジェットが多く用意されている。乗り換え案内アプリと地図アプリさえあれば、地図や路線をわざわざ印刷しなくてもいい。これもひとつのエコだ。
続いてノートを開く山田。
どうやら今日の打ち合わせの企画の素案を書いたものらしい。「だいたい固まってはいるんだけど、もう少しブラッシュアップしたいと思ってね。ちょっと考えたいから黙ってて」と言われる。
これは「ひとり会議」という手法だ。
オフィスの中にいると、せっかくいろいろと考えているのに頼まれごとをされてしまったりして集中できないことが多い。しかし、ひとりなら誰にも邪魔されず快適に物を考えることができる。
『ノマド出張仕事術』では出張先で「違和感」を感じたらひとり会議を行うことを勧めている。そして、「なぜそれは○○なのか」「その原因は何か?」を考えるのである。こうして考えていくことが、新しいアイデアを思いつくための土壌となるのだ。
目的の駅までもう少し。と、おもむろに乗り換えの駅でノートパソコンを開く。
「ちょっとパワーポイントの資料を作り変えようと思ってね」と山田。今や立派なノマドワーカーに見える(服装以外は)。こうした小さな時間で行った詰めが、結果につながるのだ。
わずか30分の電車移動ながら、緊急の要件に対応し、企画の詰めを行い、それを反映させることができた。なるほど、これがノマドワーキングなのか。
『ノマド出張仕事術』は出張時でのノマドワーキング方法をメインに解説しているが、ノマドワークを取り入れたビジネススタイルを築き上げたいという人でも使えるスキルが満載だ。
しかし、常に集中しているのも大変なこと。結局彼は目的の駅に着いたとき、山田はグロッキーな状態になっていた。
「つ、疲れた・・・!」
いつもそんなまともに仕事したことないから…。
あくまで自分のペースに合わせながら、時間や場所から解放されて働く、それがノマドワーキングである。
クラウド化が進むウェブの世界。近い将来、ノマドワーキングという働き方が当たり前になるのかも知れない。