新刊JPトップ > 特集 > 新刊JP FEATURING 佐藤富雄「脳が悦ぶと人は必ず成功する」

新刊ラジオのパーソナリティーでお馴染みのブックナビゲーター・ 矢島雅弘が著者である佐藤富雄さんの書斎を訪れ、インタビューを行いました。 なんとその場所は熱海! 海が見える書斎で、本書の内容やご自身が経験してきた 「わくわく」を存分に語って頂きました。
ブックナビゲーター・矢島
「今回はよろしくお願い致します」
佐藤富雄先生
「よろしくどうぞ!」
矢島
「インタビューということで、熱海にある先生の書斎にお邪魔させて頂いているんですが、海がきれいですね」
佐藤先生
「きれいで、しかも静かでしょ?
  ところが、ここから歩いてすぐのところに砂浜があるんですが、そこにいったら足の踏み場がないくらい人が来ていますよ」

矢島
「今日は暑いですからね」

佐藤先生
「でも、ここから見ると静かなんですよ」

◆『私はただの不良ですよ』


矢島
「では、まず佐藤先生のプロフィールをお聞かせ願いますでしょうか」

佐藤先生
「私自身が紹介するんですか?
  そうだな、私自身の紹介するときはいつも『私はただの不良ですよ』と言っているんですが(笑)」

矢島
「なるほど(笑)。じゃあ僕から言った方がいいですか?」

佐藤先生
「ただ、今は作家といわないと出版社から怒られるので、作家と言っています。
結構売れている作家でしょうね」

矢島
「そうですね」

佐藤先生
「それと、私はもともとは化学者なんですね。生化学を専門としていまして、学位は医学博士です。
専門は脳の中で起きている心の現象と身体の制御関係で、簡潔に言えば考えていることが身体にどう影響するかということと、さらにそれを一歩を進めてアンチエイジングですね。老化に考え方がどう関わってくるか、といったことが私の専門です。だからまあ、プロフィールを言えといってもあまりないんですよね」

矢島
「でも、肩書きがたくさんあるし、いろんなことをやってらっしゃいますよね」

佐藤先生
「いや、肩書きなんていうのは亀の甲羅みたいなもので役に立たないですから。
何をやっているかが問題だと思います」

矢島
「おおー。すごくかっこいいですね」

◆『毎日、気持ちが北極に行ってるわけですよね。だから脳内はドーパミンとかセロトニンのシャワーなわけですよ』


矢島
「では、ここから本の内容に入っていきたいのですが、
こちらの本で私がポイントだと思ったのは『ひらめき』という言葉です。『ひらめき』といったら普通はインスピレーション、すごく瞬間的なものだと思うんですが、佐藤先生は『ひらめき』を『わくわく』とか『モチベーション』みたいなものに捉えていらっしゃいます。なので、ここでは先生の『ひらめき論』をお聞きしたいな、と」

佐藤先生
「多くの方はヤマカンみたいなものを『ひらめき』と思っていますよね。
全くただの勘のことね。でも『ひらめき』というのは、そうじゃない。『ひらめき』にもちゃんとした根拠があります。 我々は記憶の脳といわれる海馬でもって思ったり願ったり、あるいは計画をもったり夢をもったりしているのですが、その海馬が上手にそれを側頭葉から過去の情報をひっぱってきてブレンドしているんですね。そのブレンドがいい状態になり、パッと出てくるのが『ひらめき』なんですよ。

このとき言う『いい状態』とはどういう状態かというと、例えば良質のワインが醸造されているような心的状態です。この状態が『わくわく』という状態なんですね。『わくわく』脳が気持ちのいい状態のことです。専門的な言葉でいうとオピオイド系のホルモンが分泌されているような状態ですね。

そうすると、気持ちがときめいたりする。それを『わくわく感』と私は言ってますが、気持ちがときめくような状態のときに一番『ひらめき』がやってくるんです」

矢島
「つまり、『ひらめき脳』というのは、脳がわくわくしていて、今風にいうとモチベーションが高いとか、やりたいことあってわくわくしている状態であると、ひらめきやすい。なので、この本の中では成功する人というのは必ずひらめきをしている、ということですね」

佐藤先生
「そうです。私、人生76年やってきて、いろんな方とお会いしているし、私もそれなりにやりたいことはやってきた。やりたことをやるという生き方でここまで来たんですが、『ひらめき』のない人が成功したという事例には一度も会ったことがないですね。 世の中には大脳中心のロジックをこねくりまわす人はたくさんいますが、それはそれだけのことなんですね。世に言う成功者っていうのは、これは学者も含めてですが、『ひらめき』のなかった人に真の成功者はいないと私は思っています」

矢島
「なるほど。ではですね、先生ご自身が『わくわく』した経験、どういうところで『わくわく』したか、どんな『ひらめき』の体験をしてきたかを語って頂ければと思います」

佐藤先生
「これを読んでもらっている方に、『わくわく』を得るための1つの手がかりになってもらいたいんだけどもね、例えば北極。北極に行って、エスキモーと一緒に、ホッキョクグマの猟をするという旅をしたんですよ。 で、まずそういう旅をしてみたいと思う。そこから実現するまで3年間かかったわけですが、実現するまでの3年間というのはずっとときめいているんですよ。カナダではホッキョクグマの狩猟頭数は決められていて、許可がないと狩猟が出来ないんです。
で、その許可をもらいに行く、その許可が取れる可能性が出てきた。そういう過程を踏んでいくなかでずっと『わくわく』しているわけですよね。 で、言ってしまえば「旅」の計画をずっと練っていたんだけど、でも、その間はずっと『わくわく感』があるわけでしょう。それはつまり、その間ずっと脳は(※1)ドーパミン(※2)セロトニンのシャワーを浴びているわけですよ。すると、こういうときが一番いい仕事ができますね。」

矢島
「今、言われた北極への旅が65歳のときのことですよね。その前の3年間が一番いい仕事が出来ていた、と」

佐藤先生
「そう。まるまる3年です。カナダ政府からホッキョクグマの狩猟許可を取れるかも知れない、と。で、カナダ政府にそのリクエストしたわけです。すると、その許可が取れる可能性がある、と。それからはもう、毎日夜になって時間ができたらその計画を練るわけですよ。北極圏で暮らすわけだから、あらゆるプランニングするわけです。 すると、もう毎日、気持ちが北極に行ってるわけですよね。だから脳内はドーパミンとかセロトニンのシャワーなわけですよ。
その頃、私は大学院で論文を書いていたのですが朝3時半くらいに起きて、もちろん会社勤務もやってますから、会社行く前にそういう仕事をやるでしょ? おそらくその頃の睡眠時間は、寝た日もあるけれども…平均的に言うと週の4日くらいは3時間半くらいしか寝てないと思います。こういう日々が3年か4年が続くわけです」

矢島
「ホッキョクグマの狩猟が実現しそうだという『わくわく感』が、仕事にも影響したということですね」

佐藤先生
「そうです。しかも、北極から帰ってきた。帰ってきたら、みんなその話を聞くのを楽しみにしているから、あちこちで講演するわけですね。あと、本も執筆しました。それも、行った1年後に書いているわけで、本を執筆していたらまた気持ちが北極に戻るわけだよね。 だから、たった1回の旅なんだけども、そうした思い切った旅をするというと、その前後もずっと『わくわく』しているんですよ。もし、今、北極のことを話し出したら20分でドーパミンのシャワーになりますね」

矢島
「よくビジネス書なんかでは、仕事の目標を達成するためには仕事のモチベーションを高くもちなさいと書かれているんですけど、そうではなくて、プライベートであっても、モチベーションを高く持つことによって、ドーパミンとか出て、仕事も含めた人生自体が良い方向に影響するということなんですね」

佐藤先生
「そうなんです。『やるぞー!』とかじゃなくて『わくわく』するようなレベル、私はモチベーションというのはドーパミンレベルと言ってるんですが、化学的に言えば、ドーパミンレベルでドーパミンが出るような生活のリズムを持っているかどうかということが重要なんですね。モチベーションを上げるための特別な理論があるんだっていうのは、モチベーションの上がらない人たちが考えることですね。

そうではなくて、日常に生活のリズムのなかで、例えば旅行だって、『よし!とにかく南アフリカを旅行しよう』って決心をしたとします。旅行に行くのはいつであってもいいんですよ。そうしたら、そのときから旅というものから始まるじゃないですか。心の中で。

これがモチベーションが上がっている状態であってですね、誰かに気合入れてもらうとか、そういうレベルのことじゃないんですよ」

矢島
「なるほど。つまり、そういうモチベーションを上がっている状態だと『ひらめき』が起こりやすく、仕事もしやすいし、遊びにも一生懸命になれる、と」

◆『歩いていれば、どんどん脳は活性化していきます』


矢島
「そういったドーパミンが出ている、『わくわく』している状態になるためにはどうしたらいいかということがこの本には書いてあるんですけども、とりわけ先生の場合は旅というのがありますが、普通の人の場合はどんなものがお勧めですか?」

佐藤先生
「朝のウォーキングですね。私自身も今朝、1時間40分くらいウォーキングしてきましたが、これは誰でもできます。だいたいちょっと早足で歩いているとね、15分から20分で(※3)βエンドルフィンという爽快感を作る物質が出てきます。それから25分くらいすると普通の人はドーパミンが出てきて、そこでいろんな夢や希望が出てくるんですよ。だから私はよく『歩きながら音楽とか英語をリスニングを聴くなんて、そんな馬鹿なことやるな』って言うんですよ。黙って歩いてろ、と。黙って歩いていれば、どんどん脳は活性化していきます。

で、40分くらいするとセロトニンという、夢の実現の手立てを考えてくれるような物質が出てくるんですよ。このウォーキングを毎日繰り返していると、体質としてひらめきがやってくる体質が出来ます。これは誰でも出来る。とにかく朝、最低45分以上歩きなさい」

矢島
「これは生理学的にもしっかりした根拠があるんですね」

佐藤先生
「そうです。昔から偉大な発明をした人、発見した人は『歩く』という共通項があるじゃないですか。例えばアイザック・ニュートンは、散歩しているときに林檎が落ちるのを見て万有引力を発見した。もし窓から林檎落ちるのを見ても何もひらめきは来なかったと思います。
それに、アインシュタインだって歩いていたし、哲学者で歩かなかった人っていないでしょ。ギリシャ時代は、哲学するということは歩くことだったって、古典で知っているわけですよね」

矢島
「そういえば、宗教家もみんな歩いてましたよね」

佐藤先生
「そうです。歩いてます。京都に『哲学の道』という道がありますが、つまり哲学するっていうことは歩くことなんですね。新しいイデアを考えるとき、座っていてはダメなんですね。だからソクラテスなんかも弟子をつれて『さぁ哲学しよう』といってマントを着て歩いたわけですよ」

矢島
「歩くことがワクワクする脳を作る第一歩だということですね」

佐藤先生
「そうです。これは誰でも出来ます。これを続けていくとね、だいたい3ヶ月くらいでそういう習慣が身に付くんです。なぜなら、『わくわく』するベータエンドルフェンというのは麻酔薬と同じ構造式ですから、習慣性があるんですね。だから歩く人や走る人というのは、もうそれが習慣になったらそれが止まらない。止まらないで、ハワイまで行って走ったりするわけですね。なんで走りにわざわざハワイまで行くかというと、走ることが中毒になってるからです。私はもう36年、ジョギングをしたりウォーキングをしたりしていますけど、これは中毒ですね」

矢島
「自分は最近あまり歩いていなかったので、先生のお話を聞いてやり直そうと思いました(笑)」

◆『まるでレーシングカーをチューンアップしたようにパワーアップできますよ』


矢島
「では、最後になりますがこの本をどんな方に読んで欲しいか、また先生から読者の方に一言お願いします」

佐藤
「私も仕事社会で生きてきた人間なんで分かるのですが、やはり一番仕事盛りでありながら、壁にぶつかるのは40代です。気づいたら物事をロジックで考えていますよ。この『理攻めで考えている』ということは、もう常識の壁は破れないということです。でも、そのことに気づけないんだよね。それは習慣性があるから。自分はちゃんと考え方の切り替えもできている。着想もいい。アイデアもある、と。でも、それは結局同じ枠の中でやっているんですね。すると、心の中で壁ができる。私も経験しました。

私はそういうときに本格的に『ひらめき』ということに取り組んだわけですよ。たった朝歩けば、半年もしないうちに脳というのは自由に開放されていくことを知ったわけですね。で、そういうことから段々と膨らんでいって。だから、やはり40代から50代の一番働き盛りの方々に読んでもらいたい。

もし、この本を読んでヒントを得たとしたなら一番力のあるときですからね。まるでレーシングカーをチューンアップしたようにパワーアップできますよ」

矢島
「帯に書いてあるように、ロジックみたいなもので脳を鍛えるよりも、脳を『わくわく』させた方がいい、と。逆に働き盛りの人ほどロジックで固まってしまいますからね」

佐藤先生
「我々はロジックで固められてきちゃってるんですよ。昔はもっと伸び伸びした脳の使い方を知っていた。でも今の教育は、知識と判断と正解のあることといつも向かい合ってるから、ロジックでものを考えることは当たり前になってしまっているんだよね。もちろんそれはそれで大事なんですよ。でも、それロジックだけでは脳は本当に生かされないと思いますね」

矢島
「というわけで、佐藤富雄先生でした。ありがとうございました。」

【用語解説】
(1)ドーパミン…中枢神経系の神経伝達物質の一つ。運動調節や快感などに関わる。
(2)セロトニン…脳内の神経伝達物質の一つ。精神を安定させる作用を持つ。
(3)βエンドルフィン…神経伝達物質の一つ。「脳内モルヒネ」として知られ、モルヒネの6.5倍もの鎮痛作用があるといわれる。

トップに戻る