「オーバーロード1 不死者の王」イメージ画像

1,000万PV!!のWebノベルがついに書籍化 最強の大魔法使い・モモンガの伝説がはじまる

書評


 主人公が卑怯なくらい強い“ダークファンタジー”

 “最強モノ”というジャンルは読んでいて痛快この上ない。なんてったって主人公が最強で向かうところ敵なし。普段は冴えなくても、戦いになった瞬間に本当の実力を発揮して、最強の力で敵を圧倒してしまうわけだ。まさに“俺TUEEEEEE!!”である。

 しかし、人間が主人公の場合、どこかに弱さや優しさがあるため、その弱さにつけ込まれてピンチに陥ってしまうこともある。では、その最強の力を持っている存在が、悪の枢軸であったとするならば…?

 『オーバーロード』(丸山くがね/作)の主人公・モモンガ(作中でアインズを名乗る)は、まさに極悪。骸骨の見た目を持つ最強マジックキャスターであり、人間ではない。大墳墓の統治者で、死の支配者である。自分の欲に基づいて行動し、この人物の前では人間が繰り出す力はあまりにも小さい。
 さらに、こちらも強大な力を持つ魅惑の女悪魔・アルベドをはじめ、一癖も二癖もあるモモンガの手下たち。sobin氏の描いたイラストを見ると、恐怖を抱かざるを得ない。

 この『オーバーロード』は元々、インターネットの投稿系サイトに投稿されていた小説が人気を博し、エンターブレイン社の目にとまり、大幅な修正・加筆、そしてイラストが追加され、書籍化されたものだ。

 時は2138年、DMMO-RPG、仮想現実で現実のいるかのごとくに遊べる体感型ゲーム全盛の時代に、「YGGDRASIL(ユグドラシル)」というゲームがあった。そのサービスが終了する日、モモンガは死の支配者としてゲーム内にログインしていた。ゲームの最後を見届けるために――。ところが、サービス終了の時刻が過ぎてもログアウトはしない。自分はこの「YGGDRASIL(ユグドラシル)」の世界にとりのこされてしまったのではないか。そんなところから物語は始まる。

 “最強系ダークファンタジー”とも言うべきこの作品には幾多の見せ場がある。 モモンガの強さを表現するための対比として描かれているのが、王国戦士長のガゼフという人物の戦いぶりだ。村人たちのために戦うガゼフは、普通のファンタジー小説であれば間違いなく“主人公キャラ”であるはず。
 ところが・・・?
 そして、モモンガの最強さ加減とは一体どんなものなのか? これ以上は完全なネタバレになってしまうので書けないため、本を開いて欲しい。

 読んでいて痛快なダークファンタジー『オーバーロード』。モモンガの卑怯なくらいの強さに圧倒されながら、これから続く“悪の物語”の入り口を開いて欲しい。

(ラノコミどっとこむ編集部)