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知ってトクする! 年金の疑問71 井戸 美枝 老齢年金、遺族年金、企業年金、老後破綻の不安に備えるためにも知っておきたい年金のこと

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著者インタビュー

――知ってトクする! 年金の疑問71』についてお話をうかがえればと思います。年金は私たちすべてにとって無関心ではいられない問題です。「年金制度は破たんする」という説もよく耳にしますが、この制度の今後の見通しを教えていただきたいです。

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「年金制度破綻」を「国から年金が振り込まれないこと」とするならば、それはありえないでしょう。今まで支払っていた保険料をなかったことにするわけですから。
ただ、年金額が実質目減りしたり、受け取る年齢が遅くなる可能性はあります。いずれにせよ、年金が退職後の生活費の基盤であることには変わりありません。

――若い世代が不安なのは、高齢化によって個々人の負担が増えることです。今後の毎月の納付額が増えていくということは考えられますか?

それはないでしょう。2017年度で年金保険料は上限になり、それ以上負担額は増えません。

――どうせ年金はもらえないのだから、納めるのがバカらしい」という声を若い層を中心によく耳にします。こうした人に言ってあげられることがあるとしたらどんなことですか。

まずわかっていただきたいのは、国が年金の振り込みをやめるということはありえないということです。ただ、年金の額が物価上昇に追いつかないということはありえますから、年金だけに頼らず自分である程度の資産を持つ必要があります。また、ケガや病気で障害が生じた時に支給される「障害年金」についても知っておいた方がいいでしょう。

――また、厚生年金を支払っている人は、給与から天引きということもあって、年金について深く考える機会が少ないかもしれません。定年まで厚生年金を支払い続けれは、老後のお金は心配ないのでしょうか?

先ほどのお話にもありましたが、年金の支給額が物価上昇には追いつかない可能性はあります。しかし、自営業者のように国民年金だけではないので、厚生年金とあわせるとある程度は受け取れます。

――受給額が減るとして、個人としてどんな備えが必要になりますか?

おすすめできるのは確定拠出年金に加入すること。節税のメリットが大きく、合理的に自分年金を作れます。

――年金の受給開始年齢の引き上げも検討されています。そうなると会社を定年退職したあと、年金が入るまでの期間をどう食いつなぐかという問題が出てくると思いますが、この期間への蓄えと老後の蓄えを同時にするということは、一般的なサラリーマンにはなかなか難しいのではないでしょうか。

今のところ65歳から年金を受け取れますが、今後67歳、68歳になる可能性はあります。しかし、その年齢まで働ける仕組みを作る必要がありますし、そこから一度に受給年齢が遅くなることはなさそうです。

――また、過日導入された「マイナンバー」が年金にどうかかわってくるのかも興味のあるところですが、マイナンバー制度がはじまったことで、年金周りにどんな影響がありますか?

年金保険料を支払うことが難しい人の確認が早くできたり、支払う能力があるのに支払っていない人を見つけやすくなるという変化があります。また受給のための請求手続きで住民票が不要になるといった点で手間が省けるということも言えますね。

――最後になりますが、年金制度について不安や疑問を持っている方々にメッセージをお願いできればと思います。

年をとって働けなくなった時、病気になった時などに、年金は役立つしくみです。
すべてを年金で賄うことはできないにしろ、まちがいなくベースにはなってくれるものですから、将来自分が受け取れる年金の権利を積み立てていると思って、今から未来に備えていただきたいですね。

(新刊JP編集部)