
「ル・クロ」からは数多くのスタッフが独立するなどの「卒業」を経ていく中で、その一部が数ヶ月~数年の後に、再び
「ル・クロ」へ就業を希望する例が相次いでいます。
オーナーシェフである黒岩功氏は、そこから「人が育つための気づきのメカニズム」を追求。
以来、同店の求人広告は12年間で2回しか発生しないほどの、圧倒的な定着率を実現しており、他店からも就業希望者が相次いでいます。
初めて部下をもったマネジメント層や、なりたい自分を追い求める若手ビジネスマンに贈る、
人を育てるための実践術!

転職ありきの現代社会において、自分が求める待遇や仕事のやりがいを探して組織を渡り歩く人間は少なくありません。
その中で、一度は会社に見切りをつけて次の組織に移ったはずなのに、半年~3年の間に辞めた社員の半数近くが「またここで、あなたの元で働かせてください」と復職を希望する会社があります。
それが、黒岩功氏がオーナーシェフを務める、関西の名店「ル・クロ」です。
黒岩氏は、「コンプレックスや劣等感を抱えたまま職場を辞めていく人ほど、じつはなりたい自己像や強い意志力を持っている」と言います。
「ル・クロ」では、一度同店を辞めて再び「出戻った」社員を積極的に育てることで、数多くの有能なシェフを輩出してきました。
黒岩氏の人材育成論は、「人材育成は環境育成」というもの。
「部下やスタッフに、自分自身が持つ強い意志力や理想を追う力の強さを自覚させることが、これからの人材育成には不可欠」と言います。
大学卒の社員が他業種にくらべて少なく、その過酷さゆえに離職率が格段に高い飲食業界において、常に前年対比で成長を実現している「ル・クロ」の勢いが、黒岩氏の人材育成論の正しさを裏付けている証でしょう。
本書では、一度店を去っても、再び就業を希望するほどの魅力をもつ「ル・クロ」の働く環境づくり、そして黒岩氏が説く人材育成テクニックを紹介しています。
初めて部下を持ったマネジメント層や、なりたい自分を常に追い求める若手ビジネスパーソンに向けて、「人を(自分を)育てるための実践術」をお伝えします。

はじめに
第1章 ”誰と働くか”が問われる時代
第2章 出戻り社員が主役になる仕組み
第3章 正社員の底力を活用する
第4章 朝まで語り合える関係性の作り方
第5章 主体性を引き出すモチベーション管理術
おわりに



19歳で調理師免許を取得、21歳で全国司厨士協会の調理師派遣メンバーとしてスイスに渡る。ヨーロパで3年間、三ツ星レストラン「タイユヴァン」「ラ・コート・サンジャック」、二ツ星レストラン「ジラール・ベッソン」のシェフらに師事し、本場のフランス料理を学ぶ。帰国後、いくつかの有名料理店でスーシェフ、料理長を勤めたのち、2000年にフレンチレストラン「ル・クロ」をオープン。1号店は裏路地の和食店を改装したことから「靴を脱いで、掘りゴタツで箸を使って楽しめるフレンチ」として評判を呼ぶ。
これまで数多くのスタッフが“卒業"していく中で、彼らの一部が数か月から数年後に再び店に戻ってくることが相次いだことから、「気づきのメカニズム」を独自に追求。これにより、求人広告は12年間で2回しか利用しないなど、スタッフの定着率が劇的に向上。他店からの就職志願者も後を絶たない。
現在は関西に4店、鹿児島に1店のフレンチレストランを経営する傍ら、ウェディング事業、人材派遣、ケータリング事業、プロデュース事業、食育活動での講演会も積極的に行う。また、2012年9月、パリのモンパルナスにレストランを出店することが正式決定。大阪からフレンチの本場パリへの出店は史上初めてのケースであり、注目が高まっている。1967年、鹿児島県生まれ。