新しい資本主義、書籍画像
新しい資本主義とは?
著者:原丈人
出版社:PHP研究所
定価:735 円(税込み)
ISBN:978-4-569-70832-4
次の波を読み解く3つのポイント「その1:コンピュータは足かせになる?」
PC画像

 現在、我々はコンピュータなしでは生活できないほど、その能力や可能性を信じきっている。しかし、著者である原丈人氏は「コンピュータはもはや足かせ」だと言う。
 ではなぜ、コンピュータが「足かせ」になるのか。それは、コンピュータにも「解けない問題」があるからである。原氏はコンピュータの弱点を以下のように語る。
コンピュータが基本的に、「構造化」したデータを扱うのは得意だが、「半構造」のデータ、あるいは「非構造」のデータについては、とても十全に扱えているとはいえない状況だからである(p80より)
 インターネットを介して我々ユーザーはさまざまな人間とコミュニケーションをとっている。それは不特定多数の人びとが不特定多数のデータをやりとりしていることを意味する。しかし、コンピュータはそうした不特定多数のデータの大半を占める「半構造」「非構造」データを処理するのは不得手なのだ。
 そして、原氏は「コンピュータは果たしてネットワークをするために使い勝手の良いものなのか?」という疑問を投げかける。
 では、原氏の考える「ポスト・コンピュータ」とはどのようなものなのか。「ユビキタス」、そして日本の技術力の高さを含めた議論が本書では展開されている。

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次の波を読み解く3つのポイント「その2:公益資本主義って?」
図1

 原氏は日本の高い技術力を駆使した途上国支援を通して、日本発の新しい活動を試みている。つまり、「発展途上国から必要とされる日本」を作り上げようとしている。
 それが以下の3つの事業である(詳しくは右図参照のこと)
・ポータル開発やインターネット接続などのインフラ整備を行い、その配当金で 教育や医療などの公益事業を提供するbracNET(ブラックネット)
・高たんぱく質の「藻」を育成し、世界中の飢餓を解決するための活動を行う「スピルリナ・プロジェクト」
・貧困層に無担保で資金を融資し、貧困から抜け出す手助けを行うマイクロクレジット

 これらは単なる慈善事業ではなく、ビジネスとして成立する「公益事業」だ。また、原氏はこのほかにもさまざまな活動を展開している(その3の図表を参照のこと)。そんな原氏が提言するのが「公益資本主義」という考え方だ。
 金融資本主義の崩壊が叫ばれて久しい。こんな混乱の中だからこそ、世界に目を向け、「公益」を考えたビジネスを展開する。これこそ「新しい資本主義」の形なのである。

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原丈人とは?

原丈人(はら・じょうじ)プロフィール

図2

 1952 年大阪生まれ。デフタ・パートナーズグループ会長。アライアンス・フォー ラム財団代表理事。慶應義塾大学法学部卒業後、中央アメリカの考古学研究に従 事する。その資金づくりのためにスタンフォード大学経営学大学院で学び、国連 フェローを経て、同大学工学部大学院を修了。29 歳で光ファイバー事業をシリコ ンバレーで起業し成功。以後ベンチャーキャピタリストとして、オープラス・テ クノロジーズ( 現インテル)、トランシティブ・テクノロジー( 現 IBM)、ボーラ ンド、ピクチャーテル( 現ポリコム)、トレイデックスなどのベンチャーを世界 的企業に育成する。
  アメリカ共和党のビジネス・アドバイザリー・カウンシル名誉共同議長、国連 経済社会理事会常任諮問団IIMSAM 特命全権大使、国連ONG WAFUNIF 代表大使、 日本国政府財務省参与、首相諮問機関政府税制調査会特別委員、産業構造審議会 臨時委員、総務大臣ICT 懇談会委員を歴任。
  2007 年に刊行した処女作『21 世紀の国富論』( 平凡社) は大きな反響を呼んで いる。

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