「ソーシャルメディアとは何か」
「ソーシャルメディアをどうビジネスに使うのか?」
インターネットユーザーはネット上に居場所を持っているが、そのほとんどは「ソーシャルメディア」上に存在する。
ミクシィ、フェイスブック、ツイッター、ブログ…。それだけではない、2ちゃんねるやウィキペディアもそうだ。
そしてまた将来、ウェブを騒がす、新しいサービスがどこかで生まれているかも知れない。現在進行形で発展・進化している「ソーシャルメディア」を一概に定義することはできないが、「現在の姿」を切り取って、それを分析するとどのようなものになるのだろうか。
本書は前半でインターネット史を振り返りながら、ソーシャルメディアとは何かを分析し、後半では消費者コミュニティを使った企業のマーケティングでの活用法について述べている、「ソーシャルメディア」の現在を捉えた一冊だ。
例えばツイッターを使っている人はどのように、何を目的として使っているだろうか。
友達や知り合いとの交流のため、有名人やニュースサイトから生の情報を仕入れるため、自分が今何をしているか不特定多数に伝えるため…もちろん、その目的は一つではないだろう。
武田氏はソーシャルメディアを四象限のマトリクスで分類する。縦軸は価値観と現実生活、横軸は情報交換と関係構築だ。
「価値観」はまず和があり、匿名性が高く、自由な発話空間に特徴付けられる。価値観を通して人々がつながるという傾向が強い。一方の「現実生活」は個を起点に広がる。実名性が高く、生活範囲内での人間関係でつながる傾向が強い。連絡網的な意味を持っている。
「情報交換」は規模が大きく、重複を排除する傾向がある。そこには数多の意見が寄せられ集合知を形成する。「関係構築」は規模が小さく、親密圏がつくられる。人間関係が重視され、唯一性と居心地のよさが評価の対象となる。
この四象限のマトリクスにあてはめると、ツイッターの受信は「価値観・情報交換」ゾーンに入る。タイムラインには絶えず情報が流れ、そこには直接交流がない人のものも含まれている。一方でツイッターの発信は「現実生活・関係構築」ゾーンだ。「食事なう」など、今、自分がどこで何をしているのかを気軽に発信することができる。
本書ではこのようにソーシャルメディアを分類し、サイト個々の特徴などを交えながら、「ソーシャルメディア」とは何かに迫っていく。
ウェブという複雑な世界の中でどのように企業をブランディングしていくかということに悩んでいる企業のウェブマーケティング担当者は多いはずである。
本書では数々の企業の事例を交えながら、どのような形でマーケティングを進めるべきか、その方法を指南してくれる。
著者の思いはこの特集ページに掲載されるインタビューを読んでいただくとして、ソーシャルメディアに関わる人間、そしてマーケティングに携わる人間にとって、この本は必読だろう。
エイベック研究所 代表取締役。日本大学芸術学部にてメディア美学者 武邑光裕に師事。
「日本の伝統芸術とマルチメディアの融合」を学ぶ。1996年、学生ベンチャーとして起業。
企業のウェブサイト構築のコンサルテーションを足掛かりに事業を拡大し、多数の受賞を得るも、企業と顧客の距離が縮まらないインターネットサービスの限界に悩む。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに
活用する「企業コミュニティ」の理論と手法を独自開発。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。
システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。
その後、自らの足で2000社の企業を回る。
花王、カゴメ、ベネッセなど業界トップの会社から評価を得て、累計300社にシステムを導入。当ドメインでは日本最大。
コミュニティには60万人を超える消費者が集まる。1974 年1月生まれ。海浜幕張出身。