レビュー

職場の雰囲気というのは誰が決めるものだろうか?

上司、または一部のムードメーカーだろうか? ことによると、特にそういった雰囲気を盛り上げようと いう人がいないため、ただ黙々と仕事をこなすという職場も多いかもしれない。
世間で優良企業と呼ばれている会社の多くは非常に職場内に活気があり、従業員同士、互いに互いを高め あう上昇気流が発生している。
本書は職場をやる気に充ち溢れた場にする「上昇気流」を発生させるための、非常にユニークな方法を紹 介する一冊だ。
著者の大塚寿氏によると、そのテクニックは100余りあったそうだが、その中から厳選した48つが、 本書の中に詰め込まれている。
注目すべきはそれらの多くは非正社員や権限の弱い立場の従業員でも実践できる点だ。職場を明るく、楽 しい場所に。こんなことを書くと、職場は遊びに行く場所じゃない、と思う人もいるだろうが、楽しく仕 事をできる職場にすることで企業が得られる経済効果は計り知れない。
職場は苦しく辛い場所だと思っているならそれは間違いだと言わざるを得ない。職場の雰囲気は従業員そ れぞれの力で変えられるものだからだ。
もしあなたの職場が一時期幅を利かせていた欧米流のクールな人間関係に基づくものだとしたら、それに 対するカウンターをあなた自身が放てるのだ。(新刊JP編集部)

著者プロフィール

大塚寿(おおつか ひさし)

1962年、群馬県生まれ。株式会社リクルートを経て、ヤマメの養殖で留学資金を作り渡米、アメリカ国際経営大学院(サンダーバード校)MBAを取得。現在、オーダーメイド型企業研修および法人営業コンサルティングを展開するエマメイコーポレーション代表取締役。また、株式会社宣伝会議の広告営業職養成講座の講師、ヒデキ・ワダ・インスティテュート主任研究員としても活躍中。著書・共著書に、『伝わる化』『法人営業バイブル』『リクルート流』『リクルート式』『売れる営業、売れない営業』『転職力』(以上、PHP研究所)、『オーラの営業』シリーズ(Nanaブックス)、『部下のやる気を2倍にする法』(ダイヤモンド社)がある。

インタビュー

『職場活性化の「すごい!」手法』(PHP研究所)。従業員の仕事へのやる気を高め、活気のある職場づく りへの仕掛けを紹介する本書には、納得して頷ける手法から、思わず笑ってしまうような方法まで、職場 を盛り上げる仕掛けが隙間なく詰まっている。 そんな非常にユニークな一冊を著した大塚寿氏にインタビューを行い、本書や人事についてどうしても頭 を悩ませてしまう問題などについて語ってもらった。

★本書の副題には「働く人のモチベーションを一気に高める48の処方箋」とついていますが、現実的に 全てを実行することはなかなか難しいことだと思います。大塚さんなりに48の処方箋に優先順位をつけ るとしたらどの処方箋を上位にもってきますか?

大塚「本当は(処方箋は)100くらいあったんですが、その中から選んで、いいものは全て本の中に入 れました。うーん、そこからさらに厳選するとなると、一番にくるのは「マネジメントのOSは発見力」で すね。「仕事ができる奴には期待する」「こいつはできないから期待しない」という上司は多いと思いま すが、その前に、人としての価値を認めてあげること。一定の数存在する「努力しているのに成果がでな い人」に居場所を与えてあげることが大事です。」

★現在、新卒社会人が入社数年でやめてしまうというケースが増えています。もし大塚さんが働いている 部署に入ってきた新入社員を辞めさせないように育てるとしたらどんなことに気をつかいますか?

大塚「1つ目はその新人の5年後、10年後の自分像を描かせて、その仕事に、「なりたい自分に近づく ため」という意義を持たせます。2つ目はその仕事のつらい部分だとかかったるい部分と、面白い部分を 区別させること。もうひとつは、その新人がもっともはやく成長するようにしごく。その時点でなりたい 自分像ははっきりしているわけですから、あとはそこにたどりつけるようにとにかく上を見させることで すね。」

★このインタビューが掲載される新刊JPのサイトではよく部下の育て方を指南する本を紹介させていただ いています。それだけ人材育成や職場の雰囲気作りに悩む管理職の方々が多いということなのですが、そ ういった方々に向けて何かアドバイスがあればお願いします。

大塚「『いい上司』の定義に関して、ぶれない軸を持つことです。お友達感覚で部下に接し、『話しやす いが後に残るものが何もない上司』をいい上司とするのか、厳しいが後に財産となるものをたくさん教え 込んでやるのをいい上司とするのか、ということですね。軋轢を恐れて差しさわりのない人間関係を保つ のは一番残酷なことです。」

★反対に、管理職などでなく、権限の弱い立場の従業員でも自ら音頭をとって職場活性化への働きかけを することは可能でしょうか?

大塚「もちろんです。気にせずにどんどんやってしまえばいい。権限の弱い立場の従業員でも音頭をとっ て行動できるのがいい組織だと思います。」

★一時期は本書で推奨しているような、従業員同士の結びつきの強い会社というのは否定される風潮があ ったと思います。現在は再び働いている人同士の結びつきを重視する傾向が強まっているようですが、そ ういった流れはこれからどういった方向に向かうと思われますか?

大塚「チームで業務を進める日本企業では結局『従業員同士の結びつき』の強い企業の方が高い業績と利 益率になることがつまびらかになってしまった。この流れは一つの世代分続くと思います。」

★かつて職場において、欧米的でドライな人間関係が主流であった時期に、日本的であり共同体として強 い結びつきを持つ会社が敬遠される理由として「馴れ合い」や「共同体に対する依存」がありました。そ してそれは一面では事実であったと思います。今後企業が、従業員同士が親しく一体感のある組織作りを していくにあたって、「馴れ合い」「依存」をどのように排除していけばいいと思いますか?

大塚「従業員同士、それぞれがお互いリスクをかけることです。そのスタイルでないと本気ではない。リ スクを負わない人間が依存をする。互いが互いにリスクをかけ、責任をもつことで連帯感は生まれます。 そのスタイルであれば『馴れ合い』も『依存』も入りこまないでしょう。」

★大変貴重なお話、ありがとうございました。

◆取材後記 とてもにこやかに、誠実にインタビューに答えてくださった大塚氏。(職場活性化について) 「他人任せにせず、思いついたらやってしまえばいい」という言葉が印象的だった。とてもユニークで、 簡単に実行できるアイデアが詰まっている本書は、管理職もそうでない人も、立場に関係なく読んでほし い一冊だ。
インタビュアー/山田洋介(新刊JP編集部)

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書籍情報

  • 書籍名:職場活性化の「すごい!」手法
  • 出版社:PHP研究所
  • 著者:大塚寿
  • 価格:840円

目次

目次情報

はじめに

第1章

あらゆる職場を活性化させる
「すごい手法10」

第2章

やる気を引き起こす
「すごい制度8」

第3章

人がみるみる育つ
「すごいマネジメント11」

第4章

こんなやり方があったのか!
「すごい職場づくり12」

第5章

元気な会社の
「すごいイベント7」

あとがき