エモーショナル・
リーディングのすすめ』
- 著者:
- 矢島雅弘
- 出版社:
- ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 定価:
- 1,300円+税
- ISBN-10:
- 4799315927
- ISBN-13:
- 978-4799315927
新刊JPではこれまで多くのビジネス書をピックアップしてきたが、そもそも「ビジネス書はあまり得意ではない」「ビジネス書を読むと頭が痛くなる」というビジネスパーソンも多いはずだ。
ビジネス書には、その著者の成功談、失敗談含めてさまざまな知識や情報が詰め込まれていて、仕事においての大きな学びになる。それを自分の日常生活や仕事に活かすことができれば、きっと人生はより善くなるはずだ。
Podcast番組「新刊ラジオ」のパーソナリティとして、1700冊以上の本を声で紹介してきたブックナビゲーターの矢島雅弘さんは、「ビジネス書が苦手」「もっとビジネス書を読みたいけど、難しくて…」という悩める読者たちに向け、本と対話をしながら読み進めていく「エモーショナル・リーディング」という読書術を提唱している。
■本は「著者の分身」、読書は「著者との対話」
「エモーショナル・リーディング」は、いうなれば「本を楽しむための読書法」だ。
ビジネス書を「仕事で必要だから」と受動的な態度で読んでいる人もいるだろう。しかし、「“読まされている”読書」をしていると、どうして本を読むこと自体がつまらなくなってしまう。
初めての著書となる『一冊からもっと学べる エモーショナル・リーディングのすすめ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン/刊)で矢島さんは、次のように述べる。
世の中には読書を続けられる人と、読書が続かない人、苦手意識からなかなか本を手にとらない人がいます。この差は一体どこからくるのか?
・・・
理由はもっともシンプルです。
その人にとって読書が楽しいか、楽しくないか。これに尽きると思います。
(3ページより引用)
そして、「楽しい読書」をするために、次のような処方箋を出すのだ。
「著者との対話」と「感情」を意識すると、様々なことを考えたり想像したりしながら読書をすることになります。つまり、受け身一方の読書ではなく、本から受けた刺激によって自ら考える読書ができるようになるのです
(4ページから引用)
また、もう一つ「エモーショナル・リーディング」には大事な要素がある。
それは「肯定的な感情をもって本と向き合う」ということだ。
矢島さんは、本は「著者の分身」であり、読書は「著者との対話」だと述べる。これはブックナビゲーターとして本を紹介するだけではなく、様々な著者へ行ってきたインタビューの中で積み重ねてきた経験に紐づく指摘だろう。
著者が目の前にいるのに、話の受け手である自分が無感情であったり、ネガティブな感情を持っていたりしていれば、それは相手に対して不遜な態度をとっていることになる。
本に込められているのは、その著者が自分に伝えたいメッセージだ。
本を読むことが苦手でも、著者と対話をするように本を読む、相手とじっくりコミュニケーションすると考えれば、楽しくなるのではないだろうか。
■エモーショナルにアウトプットをしよう
読書はインプットだけではなく、アウトプットも大事だ。
ビジネス書のアウトプットの場合、普通はその本に書かれていることを実践するという形で行うものだが、本書で書かれているアウトプットの方法は少し違う。別の誰かに本を紹介し、その本を読んでもらうような行動をする。これも「新刊ラジオ」のパーソナリティである矢島さんらしい発想だ。
重要なことは、本の内容よりも、本を読んだ自分自身の体験を語ること。「自分にとってどんな本だったのか」「どこに感情が揺さぶられたのか」という主観的な視点で、相手に伝えるのだ。
「この本、すごい泣けるよ」「このライフハック、今まで考えたことなかった。すごく便利そう!」など、自分がどう思ったのかということを軸に考えると、本の魅力を見つけやすい。それは世間一般の評価や感想と違ってもいいだろう。自分だけの読書体験をアウトプットすることが大事なのだ。
『一冊からもっと学べる エモーショナル・リーディングのすすめ』は、本の読み方について書かれた一冊であり、どのように本と向き合うべきかを教えてくれる内容になっている。
ビジネス書向けの読書術というと、どうしても「速読」や「多読」がイメージされてしまうが、本書は「本を読むなら楽しく読もう」というポジティブなメッセージに溢れている。
著者とじっくりと向き合うことで、「速読」や「多読」では見えてこなかったことが分かるはず。手始めにこの本で「エモーショナル・リーディング」をしてみてもいいだろう。
巻末には1700冊以上の本を読んできた矢島さんによるブックガイドも収録。新しい読書の世界が広がる本だ。
(新刊JP編集部)
- 第1章
-
- 楽しむことで学ぶは変わる
- 僕がエモーショナル・リーディングを始めた理由
- 読書とは「対話」である
- 読まされている読書では「もったいない」
- 「速読」の功罪
- デキる人は速読しない
- 辛いことやつまらないことは続かない
- 小説は楽しめても、ビジネス書を楽しめないのはなぜか?
- ビジネス小説の読み方
- ビジネス書を楽しめない人がハマる「落とし穴」
- 第2章
-
- 本と対話する「エモーショナル・リーディング」
- 「エモーショナル・リーディング」とは?
- 本は「著者の分身」、読書は「著者との対話」
- 対話を意識すると、読書は変わる
- 「対話読書」の基本
- 肯定的読書のススメ
- 著者の原体験に感情移入する
- 第3章
-
- 「エモーショナル・リーディング」実践編
- STEP1 「対話読書」
- 前評判や事前情報はなるべく入らない
- 著者のビジュアルを想像してみる
- 著者と空気を合わせる
- ノルマを課さない
- 「はじめに」と「小見出し」は丁寧に読む
- 「読み飛ばし」の条件
- 「やってみましょ」「チェックリスト」にはノッてみる
- 基本は「賞賛」「ツッコミ」「共感」
- STEP2 「エモーショナル・メモ」
- 「エモーショナル」をメモしょう
- 付箋とマーカー禁止令
- あえて「話し言葉」で書こう
- どんな「感情」をメモするばいいか?
- 読書のメモで学ぶ得たものを確認しよう
- STEP3 「エモーショナル・アウトプット」
- 人に伝える「アウトプット」あ一冊の理解を深める
- 読んだ本の伝道師になってみよう
- 何だ新しいのかを考えてみよう
- その本、誰に読ませたい?
- 相手の興味をそそるアウトプットの仕方1
- 相手の興味をそそるアウトプットの仕方2
- 自分よりレベルが上の「読書」の着眼点を盗んでみよう
- 同じ本を読んだ人とアウトプットし合う
- 第4章
-
- もっと読書を楽しむための5つのこと
- たまには変なタイトルにそそのかされてみる
- 読むタイミングを意識する
- 知識に翻弄されない「自分基準」を持つ
- 三〇〇冊の一〇〇〇冊の壁
- 名著にチャレンジ!
- 第5章
-
- ブックナビゲーター矢島の「僕の読書を変えた一冊」
- 「P.F.ドラッカー経営論」
- 「ブライアン・トレーシーの 話し方入門」
- 「出稼げば大富豪」
- 「ロジカル・プレゼンテーション」
- 「ラクをしないと成果は出ない
- 「夢をかなえるゾウ」
矢島雅弘(やじま・まさひろ)
ナレーター・ラジオパーソナリティ。1982年埼玉県川越市出身。2005年よりスタートしたPodcasting番組「新刊ラジオ」のパーソナリティとして、これまで約1700冊の書籍を紹介。ビジネス書から文芸、サブカルなどさまざまなジャンルの本を簡潔に分かりやすいナレーションで解説し、支持を得ている。また、数多くの著者・経営者にインタビューし、その気取らない雰囲気作りに定評がある。ナレーターとしては、読書家としての経験を評価され、オーディオブック、教材などを主に担当。 モットーは『難しいことを、面白く分かりやすく』。

- 著者:
- 矢島雅弘
- 出版社:
- ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 定価:
- 1,300円+税
- ISBN-10:
- 4799315927
- ISBN-13:
- 978-4799315927