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―まず、本書のテーマは「部下力」ということなのですが、これは一体どのような力なのでしょうか。

  「“部下力”を一言で言うと、“上司から信頼され、応援される力”です」

―その力は上司との関係の中で生まれるものですよね。

「そうですね。結局、ビジネスマンとして成功する人は、 “人から信頼され、応援される力”が高いと思うんです。
  単純な話ではあるのですが、仕事って1人でやれることはあまりにも小さいですよね。もちろん職人的な仕事であれば1人で全て出来てしまうこともあります。でも、実際はそうではない仕事がほとんどです。
  だから、何の仕事をやっていても、“あの人だったら”という風に信頼され応援されると、仕事がしやすくなるし、大きな仕事がしかも速く出来るようになると思うんですね」

―ではそもそも、なぜ部下力が必要なのでしょうか。

  「それは“会社の中での自由”を獲得するためです。今の話の続きになるのですが、上司から応援されることによって、会社内でやりたいことができるようになるんです。
  仕事を円滑に進めるためには人・モノ・金・情報・時間など、いわゆるリソースというものがないと出来ませんよね。もし、部下の皆さんがやりたいことがあったとき、そうしたリソースを使う決裁権はだいたい上司が持っていたりします。
  この本では、上司のことを銀行機能とか投資家機能と言っているのですが、簡単に上司のリソースを引き出す関係を作ると、自分のやりたいことができる可能性が大幅に上がるんです」

―つまり、部下力とは「人を動かす力」のようなものなんですね。

  「そうですね。“動かす”という言葉は個人的にあまり好きではないので(笑)、上司が“動いてくれる”という感じですね。
  具体的には上司が“君がやりたいというのであれば、人もモノも金も何とかしてやろう。その部分は任せてくれ”という気持ちになってもらう力ですね」

―人を動かす、いや“動いてもらう”ことは経営者や上司といった上の立場にいる人たちの特権なのかなという気がするんですね。だから部下の人たちは、上司のリソースを使うという発想には結びつきにくい気がしました。

  「その発想がないことが、おそらくは一番の問題なのではないかと思います。だから“上司が動いてくれない”と不満ばかりになってしまう。
  本書で最もお伝えしたいことのひとつは、『“上司が動いてくれない”と嘆く前に、自分は“上司が動きたくなる”ように働きかけていますか?』ということなんです」

―どうして、その「部下力」を本書のテーマにしたのでしょうか。

  「私が本を書いたり、セミナーを開くということは、単純に人様のお役に立ちたい、応援したいということが動機として根本にあるんですね。
  で、この本には2つの立場の方々を応援したいと思って書いています。
  まずは、私が普段から接している幹部・管理職、つまり上司の方々です。私の仕事の1つは上司の方々向けにリーダーシップの取り方などの講師をすることなのですが、彼らから“部下のことで頭を悩ませている”という話を数限りなく聞いてきているので、そういう人たちの助けになればと思ったのが1つです。
  もう1つが、当然といってはなんですが、部下の立場の方々を応援するつもりで書いています。“どう上司と接していいのか分からない”、“どういう関係が築けばいいのか分からない”といって損をしている人がたくさんいる気がするんですね。そこそこの能力はある、けれど上司から応援されないがゆえに、能力が発揮されないという人は多いと思うんです。だから、そんな方々に“こういうことを知っているかどうかで、会社人生が変わってしまう”ということを伝えたいということで、部下力というテーマで本を書かせて頂きました」

―今の話をお聞かせ頂いて、上司が「部下が動いてくれない」ということで悩んでいて、部下が「上司が動いてくれない」と悩んでいて、相互に同じことを思っている状況が生まれていらっしゃいますよね。それは何故なんでしょうか。

  「単純に言えば“コミュニケーション不足”というところだと思います。あとは、これがすごく重要なのですが、“相手の立場に立って考えていない”ことと思うんですね。立場が違うとどうしても相手の立場に立ってものを考えることが出来にくくなります。だから、もっとお互いのことを考える、具体的には“上司は部下のためのために何が出来るか?”“部下は上司のために何が出来るか?”を問い続けることでその関係は一気に変わると思いますね。だから本書を、“部下として上司のことを深く考えるツール”にしていただきたいのです」

―本書を読んでいて、「部下力が低下している」という上村さんの危機感のようなものを感じました。以前と比較して、実際に今の若いビジネスマンの方々の「部下力」は下がっているのでしょうか?

  「とても微妙な質問ですね。そうとも言えるし、そうとも言えない部分があります。
  そうとも言えない部分でいえば、やはりいつの時代だって出来る人と出来ない人がいますし、“部下力”も高い人・低い人がいます。ただ、以前に比べて部下力の必要性が上がったというのは事実です。それは何故かというと、ご存知のように以前は終身雇用、年功序列、定期昇給といった制度があり、部下力が高かろうが低かろうが、一応自分を守ってくれるシステムがありました。でも、今ではそういった守ってくれるシステムがことごとく崩壊しました。だから、スキルアップやキャリアアップといったことがやたらと言われるようになりましたよね。その中で、つけなければいけない力の1つとして“部下力”があると思うんです」

―では、“そうとも言える部分”についてはどう思いますか?

  「部下力の低下という側面から言うと、“困難を乗り越える力が圧倒的に弱まっている”ということは言えると思います。単純に嫌なことがあるとすぐに音を上げてしまったり、最悪な場合だと会社を辞めてしまうこともありますよね。“困難に向かおうとする姿勢が感じられない”ということは、上司たちの悩みの1つとしてあります。
  何故そうなっているかというと、幼少時代から学生時代にかけて、逆境の環境、向かい風がある環境を乗り越えるという経験が少なくなってきているからだと思います。
  例えば極端な話し、貧乏を克服するとか、怖い親や教師・先輩に怒鳴られ殴られながらなにくそと頑張ったとか。
  やはり、人間は予測不可能な困難を乗り越える経験というものが成長には重要なんです」

―若い方々はどのように自分の“部下力”を診断すればよいのでしょうか。

  「シンプルですが、指標になるのは3つかなと思います。
  まず、部下力は“上司に信頼される力”ですよね。だから、上司に提案や依頼をしたときに、それが好意的に受け止められ、応援されるかということです。具体的には、“君が言うのであれば何とかしよう!”という気持ちを上司に持ってもらえるかということです。
  次は、“上司から相談をされるか?”ということです。誰でも相談というのは信頼する相手にしかしませんよね。私はよく上司の方々に“部下から相談されることはありますか?”と尋ねるんです。そして相談されていないということは、信頼されていな証拠ですよ”と申し上げるんです(笑)。これは部下の方々も一緒ですね。だから上司から“君はどう思う”とか“どうすれば良いかな”と相談されるのは信頼の証でになるんです。
  最後に、“個人的なお誘い”があるかということです。上司だって人間ですから、頻繁にのみとかお誘いがあると好感を持たれているということです」
  もちろんこの3つだけではないでしょうけれども、逆にこの3つだけでかなり上司が自分をどう思っているかを計る指標になると思います。

―「部下力」を上げるために、若い人たちはまず何をすべきなのでしょうか。

  「それはこの本に書いてあるので、是非ご一読下さいということにしたいんですが(笑)、インタビューということなので、ここでは3つに絞ってお話し致します。
  まずは、他人に与える“見た目の印象力”を上げるということです。 “人間コミュニケーションの55%は見た目の印象で決まる”という研究結果があるくらいその影響はとてつもなく大きいのです。だから見た目で損しないように、視線・表情・髪型・服装・姿勢・しぐさ・立ち方・座り方・歩き方などに気を配ることが大事です。
  次に、“自分から上司や先輩にコミュニケーションを取る努力をする”ことですね。自分から挨拶をしたり、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)も当たり前ですよね。上司から“あれどうなった?”と頻繁に聞かれているようでは、相当問題です。
  3つ目ですが、命令や依頼、頼まれごとに対しては、基本的にはできるだけ“はい、喜んで!”という姿勢を持つということですね。上司たちに困った部下について聞くと、やはり一番多いのは自分の箱から出ない人です。具体的には“無理です・難しいです・担当じゃありません”とすぐに断ってしまうような部下のことです。上司も人間です。断られてばかりだと、もう頼みたくなくなりますよね。だからもし自分は出来なくても、人を紹介するとかの代案を出すといった形で、前向きに対処する姿勢を持つことです。この姿勢を持つことで、部下力に限らず、ビジネス力全般が、5年・10年経ったときに全く違ってくると思いますよ」

―では「部下力」を上げるために、上司の方々は何をすべきなのでしょうか。

  「これは拙著『部下を本気にできる上司 できない上司』『最強リーダーのパーフェクトコーチング」などをお読みいただけるとありがたいのですが(笑)、要は“自分がイキイキと働いている姿を見せること”が最も重要なんですね。逆に言うと、上司が後ろ向きの姿勢を見せないことです。例えば上司の方々が部下の見ている前で愚痴ったりすると、間違いなくそれは部下に感染してしまうんです。だから部下に前向きになってもらうには、まず自分も前向きになること。これがそれらの本の基本的メッセージです。
  プラスしてコミュニケーション力、特にコーチング力を高めることで部下の意欲や能力を引き出すこと。
  つまり、自らの姿勢で引っ張り、コーチング力で引き出す。これによって部下力を高めていくことが出来るのです」

―最後に「部下力」を上げるために、経営者の方々は何をすべきなのでしょうか。

  「経営者の方々がやることで最も大事なことは、社員が共感できるようなミッション、ビジョンを掲げることですね。具体的には、“私たちは何のため、何を目指してこの仕事をしているのか”を伝え続けることです。
  次に、そのミッションに共感する人を採用すること。
  そしてそれが本当に定着するために教育することこと。具体的には、“当社のミッション、ビジョンを実現させるために、あなたは今日何をするのか?”ということを毎日のように問う仕組みを作ること。
  この3つのサイクルを回し続けることが、“経営者として部下力を高める”ために最も重要な仕事だと思います」

―上村さんご自身が部下であったときは、どのようなことに気をつけていましたか?

  「先ほど申し上げたことと同じになるのですが、まずは「印象力を上げる」ということは気をつけていました。つまり、“服装・礼儀・言葉遣いなどに気を配る”ということです。とはいうもののやはり若いとお洒落とかもしたくなりますよね。ですから、私も当時の若者の間で流行っていたスーツなんかを着ていたんですね。
  ところがあるとき、専務に“お前が相手している人たちは誰なんだ?”と聞かれたんです。よく考えてみるとそのころ私の仕事のお客様は、ご年配の方々も多かったんですね。ですからそうお答えすると、続けて専務に“そんな人たちがそんなスーツ着るか?”と聞かれました。当然、ご年配の方々ですから、そのような若い人向けではなく、コンサバティブなスーツをお召しになっています。そこで正直ちょっと抵抗や反発もあったのですが、専務を尊敬していたので、それまで持っていたスーツを全部捨てて、コンサバティブなスーツを着るようにしたんです。それによって専務の私に対する評価はすごく上がったと思います。
  このように“見た目の印象”は気を配っていました。
  あとは今まで言ってきたように、出来るだけ相手を立てること。“良いところを見つけて、フィードバックする”、“頼まれごとはとにかくハイ!”を基本精神でやること、というようなことは努力していたと思います。実際出来ていたかというと、ちょっとあやしいかも知れませんが(笑)、でも心掛けていました」

―これまで上村さんが出会った「部下」の中、「これは困ったなあ」と思う部下はいらっしゃいましたか?

  「やはり、自分の小さな箱から出てこない人ですね。“難しい、無理です、出来ません。私の担当ではありません”とやれない理由から入る方は本当に困ります。
  あとは愚痴・悪口など周囲にマイナスの影響を与える部下は本当に困り者でしたね。」

―本書をどのような人に読んで欲しいですか?

  「究極的には、社長以外はすべて部下ですから、どんな人にも読んで頂きたいですね(笑)。
  でも、あえてと言われたら、やはり年齢でいえば20代の方々に読んで頂きたいと思います。20代に、部下力のような“人や仕事に対する基本的な姿勢や能力”を身につけなければ、30代や40代になっても身につかないと思うんです。また、若いころ“上司から支持されない人”は、“上司になっても、部下からは支持されない”と思います。
  だから出来るだけ若いうちに、このような原理原則を学び身につけていただきたいのです。
  あとメンタリティーとしては“自分の価値を高め自己実現したい人”ですね。つまり“会社というステージで、自分の実現したい何かを本気で持っているような人”です。
  間違ってほしくないのは“私の考える部下力とは、ただ上司に気にいられるための処世術ではない”のです。“自分のやりたいことを実現するために、上司を味方につける技術”なのです。そういう夢や志を持った若い方には、ぜひ読んでいただきたいと思います」

―では最後に、読者の皆さまにメッセージをお願いします。

  「上司に限らず、“人から信頼され・応援される能力”、これは最強のビジネス力となります。そのひとつが部下力、“上司から信頼され・応援される能力”です。ぜひ本書を参考にして、その力を高めていただき、読者の皆様が会社でひとつでも多くの夢を叶えていただければ、著者としては最高の喜びです。」

―ありがとうございます!


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  • 書籍名:会社でチャンスをつかむ人は皆やっている!一流の部下力
  • 著者:上村 光弼
  • 出版社:ソフトバンククリエイティブ
  • 定価(税込み):1500円
  • ISBN-10:4797354968
  • ISBN-13:978-4797354966
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