だれかに話したくなる本の話

芥川賞『火花』の後で又吉直樹が感じた重圧

芥川賞『火花』の後で又吉直樹が感じた重圧

出版業界の最重要人物にフォーカスする『ベストセラーズインタビュー』! 第89回に登場するのは、大注目の新作『劇場』(新潮社刊)を刊行した又吉直樹さんです。

初の中編小説『火花』が芥川賞を受賞し、一躍時の人となった又吉さん。「次の作品」への期待と関心が高まる中で、プレッシャーを感じることもあったそうです。

そして書き上げた『劇場』は、無名の劇作家である「僕」と、女優を目指す学生の「沙希」の恋を中心としつつも、表現者や夢を追う者について回る苦悩や葛藤、嫉妬、焦燥など、宿命的な感情を丁寧に描いた長編。

この物語がどのようにできあがっていったのか、ご本人にうかがいました。執筆の始まりは、どうやら、『火花』より前にさかのぼるようです。
(インタビュー・記事/山田洋介、写真/金井元貴)

『劇場』

劇場

一番 会いたい人に会いに行く。
こんな当たり前のことが、なんでできへんかったんやろな。

演劇を通して世界に立ち向かう永田と、その恋人の沙希。
夢を抱いてやってきた東京で、ふたりは出会った――。

『火花』より先に書き始めていた又吉直樹の作家としての原点にして、
書かずにはいられなかった、たったひとつの不器用な恋。

夢と現実のはざまでもがきながら、
かけがえのない大切な誰かを想う、
切なくも胸にせまる恋愛小説。