だれかに話したくなる本の話

【「本が好き!」レビュー】『愛と涙と勇気の神様ものがたり まんが古事記 』ふわこういちろう 著

提供: 本が好き!

まんがかぁ…、まんがねぇ…
実は私も、最初はそう思った。しかし、本書の中には、原典に忠実な『古事記』があった。数時間で読破した。そしてその後は、何か調べたいことがあると必ず開く「私の古事記アンチョコ」になっている。

「まんが」はもちろん好きである。『古事記』のような古書、世界や日本の神話、各地に古くから語り継がれている伝承や伝説などを紐解くのもとても好きである。だが、普通、まんがを読む頭と古めかしい文章を読む頭は別、と無意識に思ってはいないだろうか。本書にはそこを突かれた。

本書の何より素晴らしい点は、『古事記』の原典に忠実であることである。ふわこういちろう氏の絵がよく考えて描かれており、まるっこく好ましく親しみやすい絵であることもさることながら、戸矢 学先生の監修によるところが大きいと私は思う。原典に忠実であるとは、著者(漫画家)が解釈することなく、矛盾は矛盾として、不条理は不条理としてそのまま描かれている。(ちなみにところどころこの矛盾をツッコむふわさんのコメントがあり、これがまた効いている。面白い。)そもそも日本の神話『古事記』は、矛盾だらけである。登場人物が「神」だから、物語が「神話」だからよしとしている(?)ものの、場面の変わり方や神々の行動には理解不可能な点ばかりだ。これらをそのまま、まんがに取り込み、何もオミットしていない。そして先に記したように、ふわさんのコメントが効いていて笑わせる。また、章と章との間にコラムがあって、道案内→道祖神→猿田彦神(サルタヒコ)という連想から、DJサルタのコーナーがある。ここも面白い。ともかく、『古事記』に関する本でこんなに笑ったのは、後にも先にもこの一冊だけである。

笑いとともに読み終えたから印象がいい。そして、あとで「あそこで出てくる神の名前は何だっけな?」と思う時、絵で覚えているからページも探しやすい。こうして「私の古事記アンチョコ」になっているというわけだ。『古事記』の原典を把握する、ストレスのない方法が、本書にあった!

(レビュー:yukikokigoshi

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愛と涙と勇気の神様ものがたり まんが古事記

愛と涙と勇気の神様ものがたり まんが古事記

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