本書は「人生の道標」「己を尽くす」「生を深める」「人物を磨く」「運命を削る」「小さな人生論」の6章から成る。
「人生の道標」では、最澄や安岡正篤、高杉晋作などの言葉を引用しながら、人生の道標たりえる古典や、教育についてを説く。
「人物を磨く」では、豊田良平や松下幸之助、稲盛和夫などのエピソードから、人間学とは何か、そして、人間力の養い方を教えてくれる。
『小さな人生論』の第1巻目だけあり、人間学のベースが詰まった1冊だ。
「プロの条件」
あなたはプロの条件を満たしているだろうか
満たすべく努力をしているだろうか。
職業のジャンルを問わない。仕事をすることによって報酬を得ている人は、そのことによって、すでにプロである。また、プロでなければならないはずである。
しかし現実にはプロとしての仕事の仕方をしていない人が相当数いることも事実である。
プロとアマとの違いは何だろうか。
プロとアマの違いを考えてみよう。
それは次の四つに集約されるのではないか。
第一は、プロは
「自分で高い目標を立てられる人」
だということである。
自分なりにほどほどにやれればいい、この程度でいいだろうと、目標をできるだけ低く設定しようとするのがアマである。
プロは違う。プロは自分で高い目標を立て、その目標に責任を持って挑戦していこうとする意欲を持っている。
第二は
「約束を守る」ということだ。
約束を守るというのは、成果を出すということである。自分に与えられた報酬にふさわしい成果をきっちりと出せる人、それがプロである。
成果を出せなくてもなんのつうよう痛痒も感じず、やれなかった弁解を繰り返してやり過ごそうとする者がいる。アマの典型である。
第三は
「準備をする」。
プロは「絶対に成功する」という責任を自分に課している。絶対に成功するためには徹底して準備をする。準備に準備を重ねる。自分を鍛えに鍛える。そうして勝負の場に挑むから、プロは成功するのである。
アマは素晴らしい準備をほとんどせず、まあ、うまくいけば勝てるだろうと、安易な気持ちで勝負に挑む。この差が勝敗の差となって表れてくるのである。
表現を変えれば、プロは寝てもさめても考えている人である。起きている時間だけではない、寝ても夢の中にまで出てくる。それがプロである。少しは考えるが、すぐに他のことに気をとられて忘れてしまうのがアマのつうへい通弊である。
第四は、
これこそプロとアマを分ける決定要因である。プロになるためには欠かせない絶対必要条件だといえる。 それは…
プロは
「進んで代償を支払おうという気持ちを持っている」
ということだ。
プロであるためには高い能力が不可欠である。その高い能力を獲得するためには、時間とお金と労力を惜しまない。犠牲をいとわない。代償を悔いない。それがプロである。
犠牲をけちり代償を渋り、自己投資を怠る人は絶対にプロになれないことは自明の理であろう。
最後に一流といわれるプロに共通した条件をあげる。
それは
「神は努力する者に必ず報いる、と心から信じている」
ということである。
不平や不満はそれにふさわしい現実しか呼び寄せないことを知り、感謝と報恩の心で生きようとする、それが“一流プロ”に共通した条件であることを付言しておきたい。
さて、あなたはこれらの条件を満たしているだろうか、満たすべく努力をしているだろうか。
『致知』編集発行人 藤尾 秀昭
まとめ
- 「プロの条件」
- 自分で高い目標を立てられる人
- 約束を守る
- 準備をする
- 進んで代償を支払おうという気持ちを持っている
※一流のプロに共通した条件
「神は努力する者に必ず報いる、と心から信じている」
これは月刊誌『致知』の2008年8月号の特集、「プロの条件」の総リードを転載したものです。
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