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新刊JPトップ > 特集 > 『ヒットを生み出す最強チーム術 キリンビール・マーケティング部の挑戦』

書籍名:ヒットを生み出す最強チーム術 キリンビール・マーケティング部の挑戦
著者名:佐藤 章
出版社:平凡社
定価(税込み): 735円
ISBN-10:4582854877
ISBN-3:978-4582854879

書評

 今年3月キリンビールの「キリン『一番搾り』」がリニューアルされたのは記憶に新しい。イチローが喉を鳴らしてビールを飲み「うまく絞ってるなぁ」とコメントするテレビCMは鮮烈だ。

  「一番搾り」は長らくキリンビールの看板商品だったわけだが、発泡酒等の新しいビール系飲料の台頭に伴い1992年~1994年をピークに、販売数が減少していた。そこで、この主力商品にかつての輝きを取り戻すべく、リニューアルされることになったのである。

 その計画を中心となって進めたのが、本書『ヒットを生み出す最強チーム術 キリンビール・マーケティング部の挑戦』の著者である佐藤章氏だ。佐藤氏は「一番搾り」以外にもキリンビバレッジの缶コーヒー「FIRE」や「生茶」、「午後の紅茶」を手掛けてきた。

 いかにして佐藤氏はこれらの商品を、あらゆる層に認知されるヒット商品に育て上げたのか。本書はマーケティングや商品開発に携わる人にとって、絶対に押さえておかなければならないいくつかのポイントを紹介している。

 ヒット商品に共通する要素とは、「サプライズ」だ。つまり消費者をポジティブな意味で驚かせること。既存の商品を踏襲するだけではそれは望めないし、あまり奇抜なアイデアも消費者の感覚がついてこない。
 「時代の半歩先を押さえる」
 これが商品開発のキモであり悩みどころなのだが、本書ではそのように絶妙な商品が生まれやすい環境づくりから、新商品を考える上でのアプローチなど、実践的なノウハウまでを解説する。

 また、前半は新商品のアイデアが出てからそれがヒットするまでのドキュメント、後半で実践的ノウハウを紹介するなど、読者の実になりやすい構成になっているのも特徴だ。
 巻末に収載されている、クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏と佐藤氏の対談も含め、本書から得られるものは多い。


著者

佐藤 章(さとう あきら)

1959年東京都生まれ。商品開発者。
82年、麒麟麦酒株式会社入社。営業職を経て、90年に商品企画部に異動。
「ビール職人」「ブラウマイスター」などの企画・開発に携わる。97年にキリンビバレッジ株式会社商品企画部に出向。99年に発売された缶コーヒー「FIRE」以降、「生茶」「聞茶」「アミノサプリ」など、手がけた商品販売数が4年連続1000万ケースを超える大ヒットに。
2007年、麒麟麦酒営業本部マーケティング部商品開発研究所所長、08年より同社営業本部マーケティン グ部部長。

平凡社ホームページ http://www.heibonsha.co.jp/