表紙


表紙

  • 人生を好転させる「新・陽転思考」
  • 著者:和田裕美
  • 出版社:ポプラ社
  • 定価(税込み):1365円
  • ISBN-10:4591111113
  • ISBN-13:978-4591111116

「陽転思考」とは?

―まず、陽転思考とポジティブシンキングの違いについて教えていただけませんか。

和田裕美さん(以下敬称略)「ポジティブシンキングも陽転思考も似たようなことを言っているのですが、ポジティブシンキングは、ところどころにマイナスを考えてはいけない、というようなことが出てきます。
陽転思考はネガティブな気持ちを持ってもいいし、愚痴を言ってもいい、文句を言ってもいいし、嫌いな人がいてもいいというのが大きな違いです。目の前の現実を全て受け入れて、その状況から一筋の光を見出すような努力を続けていけば幸せになれるんじゃないか、というのが陽転思考です。ポジティブシンキングは最初から太陽の中を歩きなさい、という感じ。陽転思考は夜も昼も受け入れて、真っ暗な中でも月明かりを探す感じです」

―和田さんが陽転思考になったきっかけがありましたら教えてください。

和田「私は最初に『思考は現実化する』など、アメリカの本を通してポジティブシンキングに出会いました。それは物事をプラスの方向に考えて、いいことをイメージするというものですが、悪いことを考えない、ネガティブなイメージを持たないということも書かれています。でも当時の自分には、いいことだけを考えるのはすごく難しいことでした。それで、『どうしてそんなことができるんだろう』と考えたことがあったんです。それで『そもそもポジティブシンキングって自分には向いていないんじゃないか』ってある日気づいたんですよね。そんな時に『ネガティブな気持ちになってもいいじゃないか』と思って考え出したのが陽転思考です」

―ポジティブシンキングが自分に向いていないと思うまでどれくらい時間がかかりましたか?

和田「2~3ヵ月だと思います。当時、転職活動に失敗して仕事が見つからなくって、東京で一人ぼっち、知りあいもいない状況でした。その後ようやく見つけた仕事が営業で、おまけにフルコミッションで結果がでないとお給料もらえないという助けのない世界。
人間って逃げ場がなくなると必死になって自分の殻を破るんですよね。私の場合もそうで、暗い自分のままでは生きていけなかったから陽転思考になったと言えると思います。ネガティブな自分を受け入れない限り人と接したり、明るい言葉をかけたり笑顔で接することができなかったんです。たとえば仕事で嫌なことがあっても、それを翌日まで引きずっていたら仕事にならない。だから気持ちを切り替える手段として、嫌な事実の中にもよかった点が必ずあるから、という陽転思考の考え方が身についていきました。そういう経験があるので、今は『暗い性格だったり、コンプレックスをたくさん抱えていたり、優柔不断な人の方が(陽転思考は)効くよ』って言っています」

―考え方を陽転思考にすると、コミュニケーション能力や、判断力、発想力まで身につくということですが、陽転思考が自分に向いているとはっきり気づいた時の感覚はどんなものでしたか。

和田「ずっと『自分が幸せだということが自分で納得できる要素を探そう』とか、『自分が幸運である要素を探そう』とか、感覚的に思っていただけでした。だから気づいた瞬間というものはなくて、自然とやっていた感じです。仕事で部下を持ったり、講演をするようになって、自分がやってきたことがどうやったら他人に伝わるかを考えるようになってから、陽転思考を言葉にできるようになりました。実際、思考パターンを陽転思考に変えてから、こうして本として言葉にできるようになるまでに10年くらいかかっています」

―陽転思考は、ポジティブシンキングよりも自分自身と正対し、またポジティブシンキングよりも自分の内面に踏み込んだ思考だと言えます。このような考え方は周りの人にも伝染していくものだと思いますが、和田さんの周りには陽転思考の持ち主がたくさんいらっしゃるのでしょうか。

和田「そうですね。会社のスタッフもどんどん陽転思考に変わってきています。今では私が冗談のつもりでネガティブなことを言ってみたりすると、見事に陽転して答えが返ってきますよ(笑)」

陽転思考の身に付け方

―考え方を変えるということは、人によってはすごく難しいことだと思います。陽転思考に切り替えて、それを定着させるにはどうすればいいのでしょうか。

和田「目の前の事実は変えられません。そのことを受け止めて、最初は事実から一つでいいからいいことを探して、『よかった』って口に出して言ってみると、暗闇の中で星を一つ見つけた気持ちになれると思います。一つ見つけたら、またもう一つといいことが見つかるものです。そういったことを習慣にしてほしいと思います。どんなことでも習慣化すると、やらないと気持ち悪い状態になるものです。だからまずは癖になるまで続けてみてほしいです」

―やはりある程度練習が必要なのでしょうか。

和田「考え方の問題ですし、急に変えるというのは難しいかもしれません。思考パターンは親から受け継ぐ部分もあるでしょうし。ですから『まずは30日やってみよう』とか『一日一つでも今の状況からいいことを探してみよう』というところから始めて、徐々に陽転思考を自分に染み込ませていって欲しいと思います。そうすれば、いつの間にか身の回りの現実からいいことを見つけることができている自分に気づく時がきます」

―陽転思考を始めた後、失恋したことはありますか。もしあったら、どのような立ち直り方をしたかを教えていただきたいです。

和田「自分の感情を素直に受け止めることが、失恋の根本治療だと思います。忘れようとしても余計に執着してしまう。陽転思考は泣いてもいいし怒ってもいいです。思い切り泣いたり怒ったり、自分の気持ちを感じようとすると執着が取れてきます。そうなると失ったものは仕方ないとか、今度会った時はきれいになって見返せるようになろうとか、前向きな考え方になれるんです。私は無意識にそれができていたように思います。だから立ち直りが早かったです。学生時代よりも陽転思考に変えてからの方が、失恋をしても立ち直りが早いし断然元気ですね」

―現在の和田さんの夢は何ですか?

和田「陽転思考ができる限りたくさんの人に伝染していくことです。周りの人が笑うようになるとみんなハッピーになります。時代は巡るものなので根本的な問題はなかなか消えない。でも陽転思考をしていると、今の自分や周囲に対して感謝できるようになるから、明るい社会になると思いますし、自殺や事件も減ると思います。陽転思考を根として持っている人が増えて、人とのコミュニケーションを大事にする人が増えればいいなと思っています」

―最後に、このインタビュー記事の読者の方々にメッセージをお願いします。

和田「人生のピークは人それぞれ。私はマイケル・ジャクソンが大好きなのですが、彼のように31、2歳の時にピークがくる人もいれば、もっと遅くにくる人もいる。だから自分の人生はこれからピークが来ると思い続けていてほしいです。自分には自分の幸せの作り方が必ずあります。今自分が持っているものに感謝して、目の前の現実からいいことを探していけば、嘘ではなく本当に人生は変わっていくと思います」

(インタビュー・記事/山田洋介)

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