新刊JP FEATURING 「ラクをしないと成果は出ない」日垣隆

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著者プロフィール

日垣隆(ひがき・たかし)

作家・ジャーナリスト
1958年長野県生まれ。
大学卒業後、販売員、トラック配送係、TVレポーター、編集者など数々の職を経て、87年から執筆活動に入る。転職2回失業3回。『そして殺人者は野に放たれる』(現在は新潮文庫)で新潮ドキュメント賞、『それは違う!』(現在は文春文庫)で文藝春秋読者賞受賞。
『常識は嘘だらけ』(WAC)、『個人的な愛国心』(角川oneテーマ21)、『偽善系』(文春文庫、編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞)、『学校がアホらしいキミへ』『知的ストレッチ入門』(いずれも大和書房)など著書多数。新刊に『部下の仕事はなぜ遅いのか』(三笠書房)、『通販な生活』(講談社)がある。

書評

世には「自己啓発書」というジャンルの書籍が星の数ほどある。
星の数ほど、は言いすぎかも知れないが、実際書店に行ってその棚を見て欲しい。
「こんなにあるのか」と、驚くことだろう。しかも書籍の入れ替わりが凄まじく早いのだ。
1ヶ月も経てば、平積みにされている本はほぼ変わっていたりする。

さて、本書である。
本書は仕事を効率化させるための心得や考えを述べた自己啓発書だ。
しかし…確かに「自己啓発書」といえば「自己啓発書」なのだが、うーん、なんと言えばいいのだろう。平均的なそれとは、少し(微かだが)色が違うように思える。
とてもジャーナリスティックな、と言えばいいだろうか。
とにかく、そういう雰囲気が漂ってくるのだ。

それもそのはず、著者の日垣隆氏は様々な職業を経験してきたジャーナリストである。
転職2回失業3回とはプロフィールに堂々と書いてある輝かしい(?)経歴だ。
そこから培われた多角的な視点と、物事の捉え方が、本書(日垣思考法)の大前提となっているのは間違いないだろう。
(そもそも、『ラクをしないと成果は出ない』という人を食ったような本書のタイトル自体が、それを体現しているのだが)

仕事の鉄則である100項目。
著者が風呂上りにこの100項目をメモ帳に7時間で起こしていったのが2006年7月のこと。
それから項目の中身である「本文」を練り上げていくのに、なんと2年の歳月を費やしている。それだけに、文章が洗練されており、とても読みやすい。
また、自己啓発書によく見られる、読者の心を和らげようとする文体はほとんど見られない。つまり、読者を突き放しているのだが、その突き放し具合も素晴らしい。

最後に、読み終わった者として、一言。
「ラクをして成果をあげることなんて、本当にできるのか?」に対する答えは、「成果をあげること出来ますよ」ではない。
「ラクをしないと今より高い成果をあげることはできません」の方がしっくりくる、と思う。

(新刊JP編集部)