結局俺は何も買わないまま帰ることにした。
20代に自己啓発書は早いし、何よりも中山は読まないだろう。

数日後、中山から「相談があります」というメールが来た。
居酒屋に行き酒を飲みながら「どうした？」と聞いてみると、「会社を辞めたい」という。最近の中山はやつれきっていて、目もおぼつかない。
先日も大きなミスをして、一つ取引先を潰したばかりだった。

もちろん「辞めないで欲しい」と慰留をしたが、本人の目を見ると、彼がこのままうちの会社で働くのは不幸なことだと思った。

その後、中山は会社を辞め、俺は上司にこっぴどく叱られた。

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