夏本番!夏の美肌ケアの落とし穴とは?
― いよいよ夏本番、強い日差しが降り注ぐ季節だからこそ、肌のケアはとても重要です。まずは、そのポイントから教えていただけますでしょうか。

千堂さん:紫外線対策ですね。諸説ありますが、肌トラブルの7割は紫外線が原因ともいわれています。
ご存じかと思いますが、夏は紫外線の量がとても多い時期です。それに、日陰にいるからといって全く当たらないというわけではありません。目には見えませんが、紫外線の一つであるUVAは曇りでも肌に到達します。そのため、自分がどのくらい紫外線に晒されているのか分からず、油断しやすいのです。
私がお勧めしているのは、サンスクリーン剤、つまり日焼け止めを化粧下地として塗って肌を保護することですね。これで肌へのダメージの蓄積を防ぐことができます。
― 日焼け止めは肌に良くないというイメージがありますが……。
千堂:肌に悪い成分が含まれているのではないかと不安に思われている方も多いですね。でも、今は各メーカーで安全性の高い日焼け止めが開発されていて、以前と比べると肌への影響は少なくなっています。
市販の日焼け止めは、大きく「紫外線反射剤」と「紫外線吸収剤」に分かれます。どちらかの成分のみの日焼け止めもあれば、この2つを組み合わせているものあります。
「反射剤」は光を反射させる機能を、「吸収剤」は紫外線があたったときにエネルギーを吸収して肌に害を与えない機能を持っています。昔はその効果が薄かったのですが、今ではメーカーの技術が進んでいて、成分的にも少量で効果の高い日焼け止めができています。
選び方のアドバイスとしては、日中、ずっと室内にいることが多いという方は紫外線反射剤が入ったもので十分です。外出するときは紫外線呼吸剤が入ったものがおすすめですね。自分のライフパターンに合わせて使い分けてみてください。
― 日焼け止めのほかに、必ずすべきというケアを教えてください。
千堂:もう一つ、欠かすことのできないケアが洗顔です。非常に肌に優しくなっているとはいえ、日焼け止めは肌への負担になります。家に戻り、疲れているなかでメイク落としや洗顔をしっかりやるのは面倒くさいから……とつい簡単にやってしまうのはNGです。
洗顔をおろそかにして肌に汚れが残ると、化粧水や美容液の浸透が悪くなり、ますます美肌から遠ざかります。肌は自らの手で汚れを取り除くことはできませんし、油の膜ともいえるメイクはなおさらです。だからこそ、洗顔が必要なのです。
安い石鹸は肌に悪影響!? 覚えておきたい洗顔のコツ
― 「洗顔」は年間通じて重要なスキンケアだというお話をうかがいましたが、『素肌美人をつくるトータルスキンケアBOOK』でも非常に重要視されていますね。
千堂:そうですね。肌は体の中で最も新陳代謝が早い場所で、だいたい28日くらいで新しい細胞に生まれ変わるんです。これをターンオーバーといいます。
だから、くすんだ肌も新しい細胞にちゃんと生まれ変われば、透明感のある肌に戻るのですが、そうしたサイクルを鈍らせてしまうのがメイクなんです。例えばメイクをちゃんと落としていない状態で寝てしまうと、細胞の生まれ変わる変わるスピードが鈍くなってしまいます。
洗顔は肌を素に戻し、細胞を活性化する重要なものです。怠ってしまうと危険なんですね。
― 洗顔において、本書では特に石鹸の使用をすすめています。その理由を教えて下さい。
千堂:洗顔料もいろいろな種類がありますが、石鹸は弱アルカリ性の洗浄剤です。落とすべき古い角質をふやけさせ、溶かしながら優しく落とします。これは、今、流行している弱酸性の洗顔剤にはない大きな特徴です。肌を洗う、古い角質を落とすという視点から見ると、石鹸は洗顔にとても優れているのです。
― どのような石鹸を使ってもいいのでしょうか?
千堂:いえ、そうではありません。石鹸には、ほぼ全て界面活性剤(洗浄成分)だけでできているものと、洗浄成分とともに脂肪酸のような油性の成分や、グリセリンという保湿成分が配合されているものがあります。
先ほど申し上げたように、石鹸は弱アルカリ性です。ところが、肌は弱酸性のため、石鹸は肌への刺激が強いんですね。洗浄力が強いとも言えますが、特に安価な石鹸はその傾向が強く、洗った後に肌が突っ張る感じになってしまうんです。だから後者のような、洗浄成分だけでない、脂肪酸やグリセリンなどが配合されている石鹸の方が肌には優しいでしょう。
残念ながら「石鹸はどれでも一緒でしょ」と思っている人がいるのも事実です。本書を通じて石鹸による洗顔の重要性を知ってほしいですね。
― また、肌は年齢を重ねることで衰えていくものだと思いますが、その点はいかがでしょうか。
千堂:残念ながら、肌は年齢を重ねるごとに機能が落ちやすくなります。若い頃は少しくらい日焼けをしてもすぐに戻りますが、細胞の活動が鈍ってくると、ダメージを後に引きずりやすくなります。
ただ、肌年齢は実際の年齢と必ずしも一致するものではありません。ちゃんとケアをしていれば50代でも、20代の肌年齢をキープしている方はいらっしゃいます。肌は一から生まれ変わっていますから、ケアを続ければ肌年齢を維持し、若くあり続けることは可能です。
― 正しいスキンケアや生活習慣が、肌を若返らせるんですね。
千堂:そうですね。この本にはレシピ集も掲載しているのですが、肌は体の中から作られるので、食べ物の影響を受けやすいのです。
レシピ集については、どこでも手に入る食材で誰でも作れる料理を意識しました。栄養バランスを考え、女性のお肌や老化防止を考えて作りましたので、ぜひ参考にしてほしいですね。
― 本書をどのような方に読んでほしいですか?
千堂:どんな方に読んでいただいても役に立つ、価値のある本にしたいと思っていました。内容も肌の構造や仕組み、トラブル時のケア、食生活まで、どんなシチュエーションにも対応できるようになっているので、すべての女性の皆さん、そして美肌に関心がある方々に読んでほしいです。

― では、このインタビューの読者の皆さまにメッセージをお願いします。
千堂:肌ほど可愛がってあげると応えてくれる場所はありません。その一方で、放っておいてしまうと一番にダメージを受けるのも肌です。だから、じゅうぶんに可愛がってくださいね。そうすれば、きれいな素肌が戻ってきて、若さを維持することができるはずです。
この本には美しくなれるスキンケアの方法を書いています。肌が美しくなれば、気持ちも明るくなり積極性も増し、輝く人生が手に入ります。ぜひ、美しい肌を手に入れ、明るく輝く人生をおくってください。
(了)