■酒井一太ブログ
Find the meaning of my life.
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■復職はゴールではない。その先を歩むための仕事術が必要
―「うつ」に関する本は数多くあります。しかし、その内容は復職までを論じたものがほとんどです。本書は今も「うつ」と闘いながら仕事をする、著者の体験を基に語られている点が新鮮です。
「回復し、復職することももちろんですが、復職した後がとても大切です。周囲もどう接して良いか悩むでしょうし、本人もどう行動していいかわからないものです。周りと協調を取りながら、会社の一員としてちゃんと認めてもらうにはどうすれば良いか、社会の中でどう立脚していけば良いか、といったことは大きな問題です。もっと身近な例で言えば、健康な人は毎日会社に行くのが当たり前です。でも「うつ」の時は朝が一番きついです。頭痛や吐き気、気分の落ち込み……会社に行くまでがかなりのハードルになります。いざ出社できても仕事は山積。そんな中、体調や気分の悪さに左右されないで、いかにちゃんと仕事をしていくかが大事なのです。本書はそこをサポートしたいと思って書きました」
■「うつ」の人が活用できる具体的な仕事術「GTD」
―うつ」に最適な仕事術はGTD(Getting Things Done)※と酒井さんは提唱していますね。
「GTDとは、気になることすべてを頭の外で、もう気にならない形で、最新を保ちながら管理すること。これがすごい楽なんです。うつ病は心の病であると同時に脳の病ですから、頭の中でいくら考えても今ひとつ信用できないんです。しかし、一度紙に書いてしまえば、これで合っているという確認ができます。多くの本を読みましたが、うつ病を患いながら仕事をしていくうえで、一番ベターな方法がGTDでした」
―GTDが「うつ」に向いている理由は何ですか?
「先ほどの頭の外で管理するという点ともう一つ、うつの時は、何かで混乱した時に心の負荷を下げるためのよりどころが必要になってきます。GTDではワークフローが提示されているので手順書(マニュアル)として使うことができる点も向いていると思う理由として上げられます。『とりあえず今この段階で間違いない』というのがわかり、気持ち的に落ち着くことができるのが非常に大きなポイントです」
―「うつ」の人にこそ当てはまる技術というわけですね。
「はい、他の仕事術の本でGTDはいろいろな側面で書かれていますが、これは「うつ」の人にとって、とても心強いシステムだと思います。気分の落ち込み、体調の悪さに打ち勝つには一番使えます。これまで「うつ」からの視点でGTDを論じた本はありません。参考になると思います」
―他にも、ストレスを少なくして仕事をこなすためのヒントがちりばめられていますね。
「私自身、今も通院している身ですので、この工夫を試していただいてもうつ病が治るわけでは決してありませんが、ビジネスを進めるうえで実行している小さな工夫を扱ったものをまとめた本です。本書で紹介した小さな工夫をご自分に合った形にカスタマイズしていただければと思っています。「うつ病」を患っていない健康な方にも、うつ病へ続く坂道のストッパーとして、生活、仕事にご活用いただけると思います。もちろん、私と同じ「うつ病」という病を抱えている方にも応用していただけたら幸いです」
■周りの「うつ」の人にどうアドバイスすればいいのか?
―自分の周りにいる「うつ」の人にどう接すればいいか、悩んでいる人にも読んでほしい本ですね。
「うつの人に具体的にどうアドバイスするか、復職した人には任せる仕事量や時間の管理はどうすればいいか。心模様は一人ひとり違いますから、これが正解というものはなかなか見つけられないと思います。本書では巻末に私が考える「うつ病の人との接し方」というコラムを掲載していますので、参考にしていただけたら幸いです。本書は私自身の体験から書き落とした内容ですから、『こんな風に考えながらやっている人がいるよ』といった感じで、身近な人をサポートするのに、本書を使っていただけたら望外の喜びですね」
―最後に、本書を通して皆様に一番伝えたいことは何ですか?
「うつ病患者に限らず、もっとがんばれ」というメッセージが苦しく感じる人、でも働かなきゃいけないしという人にも手に取ってほしいです。落ち込みやすい、凹みやすい、打たれ弱い……その状態でもうまく仕事をしていくためには工夫が必要。できるだけ穏やかに、平常心で仕事をすることの大切さを感じてほしいです」
(脚注)
※ワークマネジメント手法。デビッド・アレン(David Allen)が同名の書籍『仕事を成し遂げる技術―ストレスなく生産性を発揮する方法』(2002年/はまの出版)の中で提唱したもの。
1975年生まれ。商社にてシステム担当として勤務。2007年8月にうつ病と診断され、07年8月~9月、08年5月~8月と、2度の休職・復職を繰り返す。現在も週に一度、心療内科に通院。抗うつ薬の服薬を続けている。うつ病などの精神疾患を患っていても、普通の人と何ら遜色ない仕事をし、充実して幸せな生活を送るための、小さな工夫をメインテーマに、クオリティ・オブ・ライフを向上させるための気づきを取り上げるブログ『Find the meaning of my life.』を主宰している。仕事術、情報整理術分野に精通し、「東京ライフハック研究会」など、各種セミナーでも活躍中。『AERAムック 職場のうつ2011-2012』、特集記事にインタビューが掲載されている。




