だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1372回 「結果を出し続けるために ツキ、プレッシャー、ミスを味方にする法則」

天才棋士・羽生善治が考える「ツキ・プレッシャー・ミスを味方にする思考法」を、自身の経験を通してアドバイスしてくれます。結果を残せる勝負を続けるには、どんな心構えや準備が効果的なのか? 「史上初」尽くしの王者が明かす、変化目まぐるしい時代の闘い方とは?

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羽生善治はなぜ負けないのか?

「勝負強い人」とは、どのような人でしょうか。

生まれついての天才、努力家、幾多の修羅場を潜り抜けてきた人。 色々なタイプはあれど、共通するのは「きっちり準備をして臨む」ということではないでしょうか。

「結果を出し続けるために」(日本実業出版社/刊)には、棋士・羽生善治さんが、勝負に勝つために実践してきたことや、学んできたことがまとめられています。

● 著者について 羽生善治さんは、もはや説明不要の天才棋士。史上最年少で竜王位獲得や史上初の7大タイトル制覇を記録。現在も6つの永世称号の資格を保持されている方です。 著作も多く、新刊ラジオでも何度か取り上げてきました。

本書には、Cさんが考える、「成果を出し続けるために大切な3つのこと」がまとめられています。 羽生さんの日常生活や仕事での経験を基にして、「持てる力を発揮するための方法」「ミスした時の対処法」「不調の見分け方」「才能とモチベーション」といった、ツキやプレッシャーやミスを味方にする方法をアドバイスしてくれます。 将棋の対局を通した解説が多いので、将棋好きのひとならより伝わりやすいかもしれません。

すでに20年以上トップを走り続ける羽生さんは、正に“勝者”と呼ぶことができます。 なかなか勝負に勝てない人と、羽生さんの思考や心掛けには、どのような違いがあるのでしょうか。

「勝負ごとで結果が残せない」人の特徴

羽生さんは、結果を残す勝負をするための3つのポイントとして、 ・「恐れない」 ・「客観的な視点を持つ」 ・「相手の立場を考える」 という3点を大事にしているといいます。

1.恐れない 経験や実績を積むことで、思い切った決断が出来なくなったり、自信が鈍ってしまうことがあります。こういうときは、必要以上の恐れを持たずにいられるかが鍵になりますが、それには、不要だと思うものを手放すことが重要だといいます。

例えば、実績などは捨ててしまうにこした事はないのだとか。 新しいことに挑戦する時は、「必要・不要」を見極めて、不要なものを捨ててしまうことが恐れない心につながるのです。

2.客観的な視点を持つ 局面を中立的に、他人事のように見ることで、熱くなった思考のリズムを整えたり、切り替えたりすることが出来るようになります。客観的な視点を保つことが、大事な局面を見失わずミスを減らすことに繋がるのです。 例えば羽生さんは、「扇子を閉じたり開いたりする動作」で自分のリズムを作りながら対局しているそうです。

3.相手の立場を考える 将棋の“三手の読み”のように、「自分が指し、相手が指し、それを返す」という駆け引きにおいて、自分の手ばかり考えず、相手はどんなベストな手(自分にとっては不利な手)で返してくるかを、相手の目線で考えるのが大事だといいます。 それに対して、さらに自分のベストな対応を模索するのは辛いことですが、相手に追い詰められるという不利な状況をシビアに捉えることで、新しい局面を生み出せるのだそうです。

これら3つの心構えが、結果を出す勝負への第一歩になるでしょう。

プレッシャーに負けてしまう人へのアドバイス

一手一手が勝負の結果に直結する将棋において、プレッシャーは並々ならぬものでしょう。 羽生さんはプレッシャーをどう受けとめているのでしょうか?

人間はプレッシャーを感じている時の方が、集中力が高まり、力を発揮できるといいます。 日常から、「自分のプレッシャーに対する耐性」や、「プレッシャーがかかるときの方が力が出せるタイプか否か」を確かめておいて、「集中へのスイッチ」として捉えるとうまく付き合えるといいます。

しかし、ほどよいプレッシャーを感じているのになかなか能力を活かしきれない時もあるものです。そんな時は、「プレッシャーを感じるときは8合目まで来ている」と考えるといいそうです。 簡単に出来ることにはプレッシャーはかかりません。絶対出来ないことにもプレッシャーはかかりません。しかし「頑張れば出来るかも」という時には、プレッシャーはかかります。 つまり、あと少しで壁を打ち破れる、結果が出せるときにプレッシャーはかかるということなのです。

羽生さんも以前、名人位を奪還し、19世名人の襲名資格がかかった対局の際、勝ちを確信した途端に手が震え出したそうです。勝てるけど油断してはいけないという思いがプレッシャーになったそうです。 こういうとき羽生さんは、「結構いいところまで来ている」「最後の段階まで来ているんだ」と考えるようにして、プレッシャーを良い波として捉えているそうです。

たとえ結果が出せなかったとしても、どうしても調子が出ない時はある、次はなんとかなる。今はむしろ力を蓄積しているんだと考えることで、気持ちを落とし過ぎず次につなげているといいます。

勝ち続けるためには何をすればいいのか

本書は、羽生名人流の負けないための準備が、自身の体験を元にして語られた一冊です。 「勝負への準備や心構え」「プレッシャーやミスに対するフォローのポイント」「ツキ・や運に頼らない判断力」に重点をおいた内容なので、実践していきなり勝負強くなるものではありませんが、「勝ち続けるための準備」を考えるにはぴったりの本です。

羽生さんは、「思うように出来た勝負は一年に一回ぐらいしかない」と言います。 しかし、苦しい勝負が多くても、ネガティブではなく、不調な自分やプレッシャー、犯したミスすべてを受け入れて、それもまた自分であり、次への布石であると自然体でいます。 そこに「羽生名人流の勝負で成果を出すコツ」の真髄が見えた気がします。

結果より過程を充実させ、プレッシャーや不調、失敗も自らの一部として勝負に臨むことで、結果が付いてくるということなのではないでしようか。

天才・羽生善治さんのアドバイスをぜひ参考にしてみてください。

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結果を出し続けるために ツキ、プレッシャー、ミスを味方にする法則

羽生はなぜ負けないのか?

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