だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1789回 「松下幸之助 パワーワード ― 強いリーダーをつくる114の金言」

松下幸之助が残した114の金言を紹介します。100冊以上の著作がある著者が、人生の指南書として生き方の模範としてきた言葉の数々。リーダーを目指すものならば読んで学ばなければならないことばかり。自分はどうしたらいいのか、間違ってはいないのかなど、不安や迷い、挫折、様々な場面で力になってくれる一冊です。

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概要

こんにちは、ブックナビゲーターの矢島雅弘です。

今回の本は、経営コンサルタントの小宮一慶さんが支えられてきた、松下幸之助さんの名言を紹介するものです。

小宮さんは、今でも、東京のご自宅におられるときは、毎日寝る前に、松下さんの名著『道をひらく』を数ページずつ読んでいるそうです。

そして、幸之助さんの言葉を読みながら、「自分はブレていないだろうか」と反省をし、自分の生き方や経営のバックボーンにしているといいます。

小宮さんは、このように言っています。

「何かが起こったとき、そのことに対する気の持ちようや考え方で、自身の受け止め方や行動が違ってきます。 そのときにどう思うか、どう考えるかで人生は大きく変わるものです。 そのどう思うか、どう考えるかを支えるのが自分の経験と、『言葉の力』だと私は思っています。中でも、古今東西の立派な方たちの言葉は多くの人を支えてきました。 多くの名言・金言を残されている松下幸之助さんですが、その言葉をつくりだしたのもまた多くの人たちから聞いた言葉だとおっしゃっています」

本の中では松下幸之助さんの名言が紹介され、その名言の説明や解説、エピソードなどが小宮さんの言葉で綴られています。

では、早速、いくつか紹介していきましょう。

◆著者プロフィール 小宮一慶さんは、経営コンサルタント。株式会社小宮コンサルタンツ代表。 1957年大阪府堺市生まれ。京都大学法学部卒業後、東京銀行へ入行。 その後、84年から2年間、米国ダートマス大学タック経営大学院に留学、MBA取得。帰国後、同行で経営戦略情報システムやM&Aに携わったのち、岡本アソシエイツ取締役に転じ、国際コンサルティングにあたります。 その間には、カンボジアPKOに国際監査員として参加。 94年5月からは、日本福祉サービスで、企画部長として在宅介護の問題に取り組んでいます。96年に小宮コンサルタンツを設立。2014年、名古屋大学客員教授に就任。 著書は100冊を超え、累計発行部数は300万部を突破。

パワーワード

解説などは、小宮さんの言葉、そのままで紹介してきます。

『逆境であれ、順境であれ、その与えられた境涯に素直に生きることである。謙虚の心を忘れぬことである。』

自分の力で運命を切り開いていくには、幸之助さんがおっしゃっているように、まず、境遇を素直に受け入れることです。 だから、「逆境であれ、順境であれ、その与えられた境涯に素直に生きること」が何よりも大切なのです。

また、小宮さんは、こうも言っています。

放っておくと逆境は卑屈を生み、順境はうぬぼれを生みます。だから、まずは運命を素直に受け入れる。 受け入れた上で、逆境にあったら卑屈にならず、順境だったらうぬぼれないようにする。そして、いつも素直に自分の運命と向き合いながら、それに前向きに対応していく。そういう心構えが大切なのです。

小宮さんも、本の中で、これを実践するのは本当に大変だと仰っています。

それでも、自分の力で運命を切り開いていくには、松下幸之助さんがおっしゃっていたように、まず、境遇を受け入れて、今、ここにいる自分をコントロールすることが大切だと言っています。

過去を変えることも、まわりの他人を変えることもできません。

けれども未来は変えられます。

そのためには、今の自分を変えることだと。

その大前提が、今の自分や自分の境遇を受け入れて、逆境も順境に素直に生きることが大切なのですね。

では、もうひとつ。

『自分の仕事を夢に見るほどに愛する、というような心境になりたい。』

今の仕事は好きですか? 楽しんでいますか?

そう聞かれて、すぐにYESと答えられる人はどのくらいいるのでしょう。

小宮さんが新入社員を対象とした講演会でよくする話に次のようなものがあるそうです。

「この会社が第一志望じゃなかったという人もいるでしょうし、第一志望だとしても、この会社に入って、希望じゃない部署に回されて、もう転職を考えている人もいるかもしれません」

どうです。

新入社員として入って、すぐこんな話をされたら……。

でも実際にそんな思いの人もいるかもしれませんよね。気持ちを切り替えられずに社会人生活を始めた人もいるでしょう。

まとめ

では、なぜ、小宮さんはこのような話をするのでしょう。 それには、こんな理由がありました。

「嫌な仕事でも精魂込めて働いて、何かを得た人と、転職を前提に適当に仕事をしてきた人と、どちらが転職先の評価が高いと思いますか?」

答えをわざわざ聞かなくても、どちらの評価が高いか明白ですよね。

小宮さん曰く、

「世の中を見ていると、能力が高い人のほうが、より努力をするし、より働く。だから、さらに、能力に差が出てくるのです。 先のことばかり見て、目の前の頑張りをおろそかにしていたら、周りの能力差は開く一方です。 特に、若い頃に必ず身に付けなければならない能力のひとつは、目の前のことを精一杯、一生懸命やる能力です。 いただいた目の前の仕事を好きになること。そして、それを精一杯やること。 その好きという度合いは、能力を伸ばすパーセンテージに加わり、将来の選択肢をさらに広げていきます。 「会社は自分にろくな仕事を与えてくれない」 「自分はこんな仕事をやるべき人間ではない。もっとふさわしい、立派な仕事があるはずだ」、などと愚痴る時間があったら、今の目の前の仕事を精一杯やってください。 そして、愛してみること。 確実にあなたの仕事観も人生も変わることでしょう」

この本はサブタイトルに、「強いリーダーをつくる114の金言」とあります。

最後にひとつ、リーダーとしての金言を紹介します。

『一般に指導者が人を使って仕事をしているように見えるが、見方によっては指導者のほうが使われているのだとも言える。だから口では「こうせい」と命令しても、心の奥底では「頼みます」「お願いします」さらには「祈ります」といった気持ちを持つことが大切だと思う』

その他にも、本書の中では、

『楽観よし悲観よし。悲観の中にも道があり、楽観の中にも道がある』

『成功するまでやめない。五年かかろうが十年かかろうが、成功するまでやめない』

『いっさいの責任は我にあり』

『半分は先輩から教えてもらう。半分は部下から教えてもらう』

『君ならやれる。わしだったらやれないけど、君ならやれる』

といったように、松下幸之助さんの残された言葉が114、紹介されています。

各章が10のワードで分かれているので、今の自分に必要な章だけを読んだりということもできます。

今、リーダーである人は勿論、これからリーダーを目指す人、さらに上を目指す人に読んで欲しい一冊です。

松下幸之助 パワーワード ― 強いリーダーをつくる114の金言

松下幸之助 パワーワード  ― 強いリーダーをつくる114の金言

松下幸之助 パワーワード ― 強いリーダーをつくる114の金言

松下幸之助が残した114の金言を紹介します。100冊以上の著作がある著者が、人生の指南書として生き方の模範としてきた言葉の数々。リーダーを目指すものならば読んで学ばなければならないことばかり。自分はどうしたらいいのか、間違ってはいないのかなど、不安や迷い、挫折、様々な場面で力になってくれる一冊です。