だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1825回 「家事で脳トレ65」

脳トレ界に革命を起こした脳科学者、加藤俊徳氏が提案する「家事脳トレ法65例」。記憶系、視覚系、運動系など、8つの脳番地別に効果のあるトレーニング例が提案されています。普段の家事の中に取り入れられる形になっていますので、ちょっとしたモノ忘れが気になる方や、最近感動しなくなったというお悩みを抱えている方は、この本で、脳にちょっとした刺激を与えてみて下さい。(提供・主婦の友社)

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ちょっとした工夫で若返る「8つの脳番地」!

こんにちは、ブックナビゲーターの矢島雅弘です。

さて、今回紹介します加藤俊徳さんが書かれたコチラの本。

出版社さんが主婦の友社さんということもあり、「家事」で脳トレをするという、大変興味深い一冊になっています。

加藤さんによれば、日本の女性は男性に比べて長生きでとても元気とのこと。

しかも50代以降になると、多くの男性がパワーダウンしていくのに対し、女性は溌剌としてエネルギーを持て余しているようにも見えます。

その秘密は「家事」にあるのではないかと、加藤さんは考えました。

そして、家事の中でも「脳をボケさせる家事」と「脳をイキイキさせる家事がある」ことを突き止めたのです。

これを受けて、本書では、家事でできる脳のトレーニング方法を65例提案。

これをヒントに、毎日の家事を工夫していってほしいと言います。

【8つの脳番地と65のトレーニング例】

さて、本書に掲載されているトレーニング65例は、それぞれ8つの脳番地に分類されています。

加藤さんの提唱する、8つの脳番地とは……

1、記憶系脳番地

2、視覚系脳番地

3、感情系脳番地

4、思考系脳番地

5、理解系脳番地

6、聴覚系脳番地

7、伝達系脳番地

8、運動系脳番地

です。

今回の新刊ラジオでは、それぞれの脳番地の簡単な説明と、それぞれの脳番地ごとのトレーニングを一つずつ、ご紹介していこうと思います。

◆著者プロフィール 加藤俊徳さん、1961年新潟県生まれ。 加藤プラチナクリニック院長、医学博士。 脳活動を画像化する脳科学の専門家です。 医学分野でのご活躍も華々しい方ですが、2006年には株式会社「脳の学校」を創立し、企業への脳研究サポートや、企業経営者への脳コンサル事業などを展開されています。 また、医師として、認知症や発達障害の研究・臨床活動の傍ら、胎児から超高齢者まで1万人以上の脳画像を分析されてきた経験があり、脳の画像から、長所・短所・潜在能力などの特徴を鑑定できる屈指の技術を持っている方です。 ベストセラーとなった「脳の強化書」の著者さんでもあります。

65のトレーニングで家事の時間を有意義に!

【1.記憶系脳番地】

まず、最初は記憶系脳番地。

「人の名前が出てこない」「スーパーなどでときどき買い忘れをする」など、ちょっとモノ忘れが出てきたかな……という方には是非オススメのトレーニングです。

トレーニング2「片づけや掃除はタイマーをセットして」

これは「今日は15分でタンスの引き出しのひとつを整理する」「5分で風呂掃除をする」と決めて、タイマーをセットし、時間内に終わるように頑張るというトレーニングです。

こうすることによって、ときどきタイマーを横目で見ながら、「あと7分」「わっ、あと1分だ!」と時間を気にするようになるはず。

実は、それが脳に良いんだそうです!

何でも、記憶を司る海馬は、時間を意識すると急に元気に働き始めるとのこと。

さらに、制限時間内に家事を片付けたら、デザートや映画など、自分へのご褒美を設定するとより効果が増すそうです。

主婦の方だけでなく、独身男性や休日のお父さんも、このトレーニング、試してみては如何でしょうか?

【2.視覚系脳番地】

続いては視覚系脳番地のトレーニング。

視覚系脳番地は、文字や絵などを読み取るなど、モノを「見る」「動きをとらえる」「違いを見分ける」といった働きをします。

「目の前にあるものをない!と思ってしまった」「間違い探しクイズが苦手になった」という人は、この視覚系脳番地を鍛えるトレーニングを取り入れましょう。

紹介したいトレーニングはこちら。

トレーニング14「ときにはほうきを使って掃き掃除を」

一瞬、なんで?と思ったトレーニングですが、大丈夫、ちゃんと理由があります。

ほうきで掃き掃除をするときは、床全体をまんべんなく掃くだけでなく、特にゴミやホコリがたまっている場所を見つけ出して、そこを集中的にきれいにしようとしますよね。

どこが汚れているか、ホコリが溜まりやすいのはどの場所か、じっくり観察することが視覚系脳番地のトレーニングになるのです。

また、ほうきを使うことによって、運動系脳番地も刺激される一石二鳥のトレーニングです。

普段、掃除機でガーっと掃除をするという人は、取り入れてみては如何でしょうか?

【3.感情系脳番地】

次は感情系脳番地。

「最近、ワクワクすることがない」「いろいろなことに興味が持てなくなった」そんな人は、感情系脳番地が衰えているのかもしれません。

そんなあなたに、こんなトレーニング。

トレーニング21「夫を福山雅治だと妄想しながら料理を」

大爆笑しました。

どうぞ今日からやってみて下さい。

このトレーニングの肝は、憧れの人の喜ぶ顔を想像しつつ、家事にひと手間を加えていくこと。

なので、福山さんでなくてもいいんです。

どうぞ妄想力を働かせて取り入れて見て下さい。

妄想力のある人は何歳になっても若々しい脳を持ち続けることができるそうですよ!

【4.思考系脳番地】

次は思考系脳番地。

「旅行の計画を立てるのが面倒になった」「買い物するときに以前より迷うようになった」そういう人は思考系脳番地が衰えているのかもしれません。

考えたり、計画したり、計算したり、決断したりするときに使う脳番地です。

ご紹介するトレーニングはこちら。

トレーニング28「財布からお金を出さない日をつくる」

コンビニや100円ショップでついつい不要なものを買ってしまう人、意思決定力を鍛えなおすために、このトレーニングを取り入れてみて下さい。

今日は一円もお金を使わないと「制限」を加えることにより、我慢をする。

この我慢が、思考系脳番地に効くのだそうです。

また、買い物をしないことによって、冷蔵庫の残り物で料理をするとなると、理解系脳番地のトレーニングにもなるそうですよ。

【5.理解系脳番地】

テレビを見ているときに「この人の服、すごく変」「このお笑いコンビは面白くない!」と否定ばかりしている人は要注意。

理解系脳番地が衰えているのかもしれません。

頭から否定するのではなく、理解しようという姿勢があると、それが理解力を高め、脳を若々しく保ちます。

まずは目の前の家事においても、新しい情報を認識し、理解しようとすることが大切です。

そこで、こんなトレーニング。

トレーニング39「モノの収納ルールを変えてみる」

中々変える機会の無い収納ルールですが、ずっと同じ収納法を続けていると、マンネリ化して脳を刺激しません。

なので、思い切ってルールを変えてみる。

その為には、服や調味料や家電などと収納場所の特徴を理解する必要がありますね。

さらには、自分がいつもどうやってそれを選んでいるかを考える、つまり自分自身を理解する必要もでてきます。

ちょっと面倒かもしれませんが、理解系脳番地がフル回転するトレーニングです。

【6.聴覚系脳番地】

次は聴覚系脳番地。

聞き間違いが多くなったり、聞き漏らしが多くなったという人は、要注意。

聴覚系脳番地が衰えているのかもしれません。

まあ、このラジオのリスナーさんは大丈夫だと思うのですが……

一応、こちらのトレーニングを紹介しましょう。

トレーニング45「ラジオを聴きながら料理をつくる」

視覚、嗅覚、運動系を使って料理をしつつ、聴覚系を使ってラジオを聞く。

両方ちゃんとやるとなると大変かもしれませんが、だからこそ、両方に効果があるのです!

どうぞ、新刊ラジオのバックナンバーはたくさんありますので、ご活用下さい。

【7.伝達系脳番地】

次は伝達系脳番地。

人に何かを伝えたり、自分の感情を表現したりするときに使う脳番地です。

トレーニング方法はこちら。

トレーニング52「個人商店で会話しながら買い物を」

最近は、スーパーやコンビニなど、会話しなくても買い物ができるお店が増えましたよね。

また年を重ねるほど、行動範囲が狭くなり、会う人も少なくなる傾向があります。

そんな時は、青果店、鮮魚店、精肉店など、個人商店でお話しながら買い物をしてみては如何でしょうか?

余談ですが、僕の実家の青果店には、買い物よりも会話が主目的なんじゃないか?というお客さんも多いです。

実はこれ、脳に良かったんですね。

【8.運動系脳番地】

最後に取り上げるのは運動系脳番地。

運動不足というだけでなく、最近不器用になった、字が下手になった、という人は、運動系脳番地が衰えているのかもしれません。

手先が器用な人や、スポーツ、楽器演奏をする人は、この運動系脳番地がよく発達していると言います。

紹介したいトレーニング方法はこちら。

トレーニング60「利き手でない手を使って拭き掃除をする」

「拭き掃除くらい利き手じゃなくてもできるよ」と思った方は、ぜひトライしてください。

あれ?こんなはずじゃ……ということがありますよ。

このように普段使わないところを、ぎくしゃくながらもなんとか動かすことが、脳の酸素消費量を増やし、運動系脳番地を活発に働かせるのだそうです。

ですので、他にも応用ができそうですね。

包丁などは危ないですが、はんこを押す、服をしまう、という動作を、普段と逆の手でやってみるのも面白いかもしれません。

【まとめ】

以上、紹介してきましたが、いかがでしょうか?

皆さんの生活に取り入れられそうなものはありましたか?

8つの脳番地の詳しい説明や、他のトレーニングを知りたい、という方は、是非本書をお手にとってみて下さい!

家事で脳トレ65