だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1826回 「空に牡丹」

――いい花火だったなあ。     
明治時代。丹賀宇多村というところに大地主の次男坊・静助さんという人がいた。
彼は、めまぐるしく変わる世の中に興味をみせず、ひたすら、夜空に咲く花火に想いを馳せていた。
花火のように生きた男が追いかけた夢、その人生とは――!(提供・小学館)

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花火に魅せられた男の一生

こんにちは、ブックナビゲーターの矢島雅弘です。

さて、今年も夏が終わりを迎えようとしていますが、新刊ラジオの夏はまだ終わりません!

……突然何だ? って感じですよね。はい。

えー、今回は花火を題材とした小説のご紹介なんです。

いいですよね、花火。日本人はみんな好きですよね。

ぱっと空に広がったと思いきや、ぱっとあっけなく消えてしまう花火。

本作は、そんな人生を歩んだ男の物語なのです。

では、早速あらすじを。

時は明治。ご一新と騒ぎ立て、めまぐるしく世の中が変わっていく時代です。

江戸からそう遠くない場所に、丹賀宇多村(にかうだむら)という小さな村がありました。

その村の大地主との次男坊として生まれた可津倉静助(かつくらせいすけ)は、世の中の動きなど気にもせず、日々をぼんやりと過ごしていました。

母は後妻、家督は兄が継ぐことがきまっていたので、可津倉家では放任、とまで言わないですが、かなり自由に過ごしていたのです。

しかしある日、幼馴染の了吉(りょうきち)と焔硝蔵(えんしょうぐら)へ遊びに行った際、静助はあるものと出会います。それが花火。

ひと目でその魅力の虜となった静助は、元花火師の杢(もく)さんを説得し、周りの人に小言を言われながらも自分の花火を追い求めるようになっていくのです。

というわけで、ここからは物語の一部をドラマにしましたので、どうぞ本編をお聴きください。

■キャスト(敬称略) 小林直人 田子浩恵 美藤大樹 佐藤璃那

◆著者プロフィール 大島さんは1962年、愛知県生まれ。 92年に「春の手品師」で文學界新人賞を受賞しデビューしました。 他著「虹色天気」「ビターシュガー虹色天気雨2」はNHKで連続ドラマ化されました。 また、2012年「ピエタ」で本屋大賞3位。2014年には「あなたの本当の人生は」で第152回直木賞の候補にも選ばれています。

空に牡丹