だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1835回 「大班 世界最大のマフィア・中国共産党を手玉にとった日本人」

――中国人は公私混同する。
千住樹は、中国でビジネスを行うQ海竹之内総業の董事長。彼は、日本人ビジネスマンから見れば有りえないような方法で、中国共産党を手玉にとっていく。
徹底的にリスクヘッジをとり、かつ大胆に儲ける策略を巡らす千住は、中国ビジネスで必要不可欠な『幫』を形成し、やがて『大班(リーダー)』と呼ばれ始める。
何もかも日本と勝手が違う中国のビジネス界を生き抜いた男の波乱万丈の人生とは!? (提供・集英社)

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日本人でありながら『大班』と呼ばれた男

こんにちは、ブックナビゲーターの矢島雅弘です。

さて、今回ご紹介するのは小説なのですが、少しビジネスの要素を孕んだ内容となっています。

しかも舞台は中国ということで、中国内のビジネスノウハウについて、登場人物を通して丁寧に解説されています。

しかも、物語が魅せる魅せる。

内容を大まかにご紹介すると、中国に派遣された日本人が、経済的に成長する国情を見極めて、その時々で儲けるための策略を巡らせていく、という形です。

この日本人、まあ主人公なんですが、悪知恵が働くというか、リスクヘッジを徹底的に行って中国の上に立つ人間たちを手玉にとってしまうんですね。

それでは、あらすじを見ていきましょう。

主人公は、日本企業の中国支部で董事長(とうじちょう)を務める千住樹(せんじゅたつき)という男。

彼は、いわゆる変人の部類に入る人間で、普通の日本人なら「面倒」と言われるような遠回りで綿密なやり方で、リスクを回避し、物事を進めていきます。

このやり方は、日本側の本部からは強い批判を買っていますが、こと中国ビジネスに関して言えば、これ以上ないほどの成果を挙げることができていたのです。

そして注目すべきは、中国ビジネスでは欠かせないチーム作り「幫(ぱん)」と呼ばれる組織の形成するまでのストーリーですね。

他では思いつかない面白い発想で、次々と中国経済を手玉にとる姿も爽快なのですが、不思議な魅力がある男なので、彼に惹かれて仲間がどんどん増えていくところは見どころです。

さて、彼は中国ビジネスにおいて一体何を成し遂げるのか。

それでは、物語の一部をドラマにしましたので、どうぞ本編をお聴きください。

■キャスト(敬称略) 小林直人 浅科准平

◆著者プロフィール 加藤さんは、1953年、愛知県生まれ。 経済誌記者を経て香港に渡り、在住10年。1992年に香港で日本語オピニオン_紙「サイノエイジア・ファックスライン」を創刊。中国への返還という歴史的な過渡期を迎える香港をレポートしました。 内外の政治・経済をはじめ文化、スポーツ、ギャンブルまで執筆テーマは多岐にわたります。

大班 世界最大のマフィア・中国共産党を手玉にとった日本人