新刊JPトップ> 特集 > 新刊JP FEATURING 久永陽介『となりの〔エステサロン〕が儲かっている本当の理由』

久永陽介


 ・マッサージ指圧師、針灸師、柔道整復師 中小企業診断士
 ・アテネ オリンピック体操選手トレーナー
 ・塚原体操センター専属トレーナー
 ・オリンピック委員強化スタッフトレーナー
 ・(財)日本体操協会公認トレーナー
 ・日本アイトリート協会 理事長
 ・オアシススクール校長

指圧、鍼灸、カイロプラクティック柔整専門学校を卒業後、1996年独立。
現在10数店舗のサロン、治療院を運営するオアシスグループの代表。 業界の新しいリーダーとして各方面で活躍中。
眼精疲労回復についても独自の手法をあみ出し、普及に努めている。 日本オリンピック委員会より強化スタッフおよび日本体操協会からスポーツトレーナーの委嘱を受け、 平成16年8月には米国カリフォルニア州のアナハイムで開催された世界体操選手権大会に選手のトレーナーとして参加。

☆『となりの[エステサロン]が儲かっている本当の理由』出版にあたって

―久永さんが本書『となりの[エステサロン]が儲かっている本当の理由』を出版しようと思ったいきさつを教えていただけますか。

久永陽介さん(以下、久永)「今回の本を出す前に『エステサロンの始めかた儲け方』という、将来的にエステサロンを経営したいと思っている方を対象にした本を出版させていただきました。それがご好評をいただきましたので、前作の続編という形で、今すでにエステサロンを経営されているがあまりうまくいっていないという方に向けたものを書いて欲しいと出版社から依頼を頂きました。それがきっかけですね」

―エステティシャンを目指す方々は多いですが、この仕事の魅力はどんな点にあるとお考えですか?

久永「きれいなお店で、美しさを求めてやってくるお客さんと常に接していられることは、エステティシャンを目指す方、特に女性にとっては大きな魅力だと思います。資格を取得する際の国家試験がなく、短期間で技術を取得できることも、この職業を志望する方が多い理由でしょうね。実際に働いたり、独立開業したりできるようになるまでの時間が短くて済みますから。」

―国家試験を経ずに資格を取得することが可能とのことですが、今後エステティシャンになるための国家資格が制定される可能性はありますか?

久永「認定制度というのはありますがそれも民間レベルなので、今後も国家資格になるには時間がかかると思います。

☆エステティシャンとしての自分のブランディングについて

―本書の中に、「~さん」ではなくて「~先生」と呼ばれることで得られる力である「先生力」という言葉が頻出します。自分自身をブランディングした結果、「~先生」と呼ばれるメリットを教えていただけませんか?

久永「ひとつは『~さん』と呼ぶ関係よりも『~先生』と呼ぶ関係の方が、お客さんもエステティシャンのアドバイスに従ってくださりやすいし、エステティシャンもお客さんに施術上の提案をしやすいということです。また、「先生」と呼ばれるエステティシャンの方が、リピーターとなるお客さんが多くつきやすいということも言えます。
もちろん、『~先生』と呼ばれるようになるにはお客さんからの信用がないといけませんから、確かな技術を身につけるとともに、お客さんに信頼していただけるような関係を作れるブランディングに努めなければなりません」

―美容師業では「~さん」が主流ですが、その点はかなり違うと思いました。

久永「そうですね。でも、地方で美容室を開業している年配の方などは「先生」と呼ばれている方もいますよ。それは年齢的な要素もありますし、長いキャリアによって技術も確かなので、お客さんの信用と尊敬を勝ち取った結果だと思います」

―作中に、エステティシャンとしての自分をブランディングする方法がいくつか示されていますが、自分をブランディングする時にもっとも大切なことは何ですか?

久永「本の中で紹介している自分ブランディングの方法の中に、本を出版することや、講演をするということがありますが、こういうことは敷居が高いと思われがちです。しかし実際にはそんなことはなく、出版をするためのノウハウがなかったり、講演会を開くための方法を知らないだけなんです。そういった意味で、積極的に自分をブランディングするために「行動力」というものが大事になってくると思います」

☆エステティックサロンのマーケティングについて

―次に、お店のマーケティング戦略についてお聞きしますが、本書の3章で触れている集客手法「ダイレクトレスポンスマーケティング」の特徴を教えていただけますか?

久永「1対1のコミュニケーションから情報を得るために、的確なアプローチをしやすいことです。この方法は大手企業でも各店ベースで行っていますが、いかにしてお客さんを集めるかという状況では断然個人経営のサロンの方が、効果が出やすいといえます。小回りが利くところが個人経営の強みですからね。この方法はまだエステティック業界には浸透していないので、もっとたくさんの人に取り入れていただきたいです」

―エステティックサロンに限らず、お客さん相手のビジネスにおいて、リピーターを増やすということが一番の難題だといわれます。固定客を増やすためのコツがありましたら教えていただけませんか?

久永「お客さんがサービスを受けることによってどのようなメリットを得られるか、ということをいかに客観的にあらわすことができるかが重要です。美容院でしたら長い髪が短くきれいになりますから、ビフォーアフターが分かりやすいですよね。エステティックサロンは少し難しいですが、それをいかにお客さんに見せられるかでお店の価値が決まると思います」

―本書に記されているマーケティングの手法を見て、エステ業界以外にも応用が可能であるように感じましたが。

久永「もちろん応用可能です。サービス業全般、歯科医や医師業界、美容業界、税理士業界など個人経営が多く、競争の激しい業界でがんばっていらっしゃる方には役立つはずです」

☆エステティック業界の現状と今後

―お話をエステティック業界に戻しますが、学校(エステティシャンの専門学校)ではこういった経営に関する知識は教えないのでしょうか。

久永「専門学校では技術は習得できますが、独立をしてからいかにお店を維持、発展させるかといったことに関してほとんど教えていません。だから専門学校を出て、お店で一定期間エステティシャンとして働いて、さあ独立しよう!となったときに、経営の方法がわからなくて困ってしまった、という方がとても多いのが現状です。他店の見よう見まねで経営しているという方もたくさんいます」

―エステティック業界にはまだまだ将来性があると本書のなかで述べられていますが、今後この業界はどのように変わっていくと思われますか?

久永「今まではマーケティングに対してあまり熱心な業界ではなかったのですが、競争がとても激しい世界ですので今後はどんどんマーケティングの手法が取り入れられていくのではないでしょうか。
営業形態に関しては、異業種と手を組むという試みが活発化していくだろうと思います。エステティックサロンが手を組むというと、スパやスポーツクラブなどが想像できますが、もっと全く違う業種と手を組むお店が出てくるかもしれません。たとえばエステティックサロンが飲食店と組んで何かする、となると想像もつきませんよね? しかしそれぞれの業種をカスタマイズして適正な形にすれば、お互いの強みを生かした全く新しい業種が生まれる可能性があります。固定観念を捨てて新しい可能性を模索していくことはとても大事なことです」

―本書『となりの[エステサロン]が儲かっている本当の理由』本書をどんな方々に読んでほしいと思っていらっしゃいますか。

久永「今現在、エステティックサロンを経営しているがうまくいっていない、という方にまず読んでいただきたいと思っています。それとこれからエステティシャンを目指そうという方にも役にたつ内容です。エステティシャンになるための勉強を始めたばかりの方も、技術を習得するのと並行して読んでほしいと思います。個人で独立を目指す全業種の方々もですね。独立する時になって経営やマーケティングに関しての勉強を始めるのでは遠回りになりますから」

―最後になりますが、これからエステティックサロンの経営者として独立を目指す方々や、現在エステティシャンを目指している方々に向けてメッセージをお願いします。

久永「開業はちょっとした勇気とお金さえあれば誰でも可能ですが、そこからお店を維持したり繁栄させるというところで苦労したり挫折したりする方がたくさんいらっしゃいます。将来独立を目指していらっしゃる方は、いざその時になって後悔しないよう、早いうちからマーケティングのノウハウを学んでおいた方がいいでしょう。
また、これからエステティシャンを目指す方々は、今の段階からエステティシャンになった後の自分や、独立した時の自分のことを考えておくべきです。エステティシャンに必要な技術の習得と同等に、エステティシャンとしての自分のブランディングの勉強や、独立してからのお店のマーケティング戦略の勉強も大事にしてください」

取材後記
一職業人としての自分をブランディングするということは、実はあらゆる仕事で必要になってくることなのではないか。意識的にそれを行うのとそうでないのとでは、仕事の成果はもちろん、自分がどれだけ仕事を楽しめたかということも違ってくるのだろう。 エステティックサロンが飲食店と手を組むという構想を熱っぽく語る久永氏は、もっとたくさんの斬新なアイデアを頭の中で温めているようだった。

(インタビュアー/記事執筆:山田洋介)

書籍名:となりの[エステサロン]が
儲かっている本当の理由
出版社: ぱる出版
著者名:久永 陽介
価格:1,575円
ISBN-10:4827204888
ISBN-13:978-4827204889