新刊JPインタビュー企画「加藤鷹に聞け!」─奥義直伝 オルガスムス取得7日間エクササイズ─発売記念

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セックスと向き合う姿勢は、「人に迷惑をかけない」

―AV男優として20年を迎えた加藤鷹さんですが、今回の著書もそうですし、これまでの著書にも通じていると思うのですが、技術より気持ちとか姿勢ということを重要視されていますよね。こうした、セックスや女性と向き合う姿勢、気持ちというのはいつ頃から身についたのですか?
加藤:ちょっと昔の話をしなくてはいけないのですが、僕は若いとき不良だったんです(笑)。だから、「いろんな人に迷惑をかけてきたな」と思っているんですが、そもそも、若い頃にワルをやっていた人って、大人になってから「自分がいろんな人に迷惑をかけた」ということを自覚していない人はおそらくいません。何故なら、ワルをやって、人に迷惑をかけて生きてきた人っていうのは、大人になっていく過程で「人に迷惑をかけてはいけない」とか、「人に迷惑かけないで生きていかないといけない」と思いはじめるからなんですよね。じゃあ、何故そう思いはじめるのか。それはというと、皆さんもそうだと思いますけれど、生まれたときから、10人が10人、親や目上の人に「人に迷惑をかけるな」「嘘をつくな」と言われてきているからだと思うんですよ。その「人に迷惑をかけるな」という事を親とかに言われるのは、いつの世も同じです。
そうした言葉に反発して、そうしない人がワルなんですよね。だから、ワルが大人になって、人に迷惑をかけないで生きはじめたとき、周囲からは「あの人はすごく更生した」だとか「とても良い人になった」と言われます。でも実際、本人のなかでは大して変わってはいません。ただ単純に、人に迷惑をかけないで生きていこうと決めたという、子どものときから親に言われてきた言葉を守ろうとする原点に戻ったというだけの話なんです。
この「人に迷惑をかけない」という姿勢は、セックスに対しても通じることです。わがまま、言い換えれば自分勝手にセックスを進めるか、それとも迷惑をかけないという気持ちをもって女性と向き合うか、という話なんだと思います。だから、僕のセックスに対する姿勢というのは、この「人に迷惑をかけない」が原点になっていますね。こう思うようになったのは、20歳過ぎ…1つの出来事ではないのですが、先ほども言ったように、僕はそれまでワルだったんで、人間的に鍛えられていませんでした。だから、人間的に鍛えられた環境、やはり社会に出てからじゃないですかね。高校卒業してからこの職業(男優)を始めるまで7、8年間ホテルで営業マンをしていたので、そうした姿勢を身につけられたのはこの時期だと思います。今の職業を始めてからではないですよ。
―その社会に出てからの間で、具体的にどのような「気付き」があったのですか?
加藤:例えば、「これは本当に必要なのかな」ということってあるじゃないですか。「自分が今、やっていることが無駄なんじゃないか」と思ってしまったり。そうしたこと、つまり、普通なら無駄に思えてしまうことが実は必要なんだということを、ある程度の年齢を越えてから思うようになったんです。
「無駄だ」と思えることでもやらないといけません。それは何故なら、無駄か無駄じゃないかの本質的な部分は、そのときは分からないからです。「無駄なのかな?」と考えることもあると思います。けれど、それが無駄か無駄じゃないかをはっきりさせるには、それを実行する以外はありません。無駄じゃないものにするために一生懸命になったり、必要なものなんだという確信を持てるために動けるかどうかということが大事だと思うんですね。
このことは、仕事もセックスも当てはまります。だから、仕事をすることもセックスをすることもそんなに違いはないんじゃないかと思いますね。

タテ社会が、一人ひとりと深く愛しあえる社会を実現する

―仕事とセックスに共通する点、という今のお話は大変興味深く思いました。他に、仕事に限らずで良いので、どのような部分が共通していると考えていらっしゃることはありますか?
加藤:そうですね…。タテ社会が失われているというニュースを先日、目にしました。でも、タテ社会は必要なんです。これは仕事においても、セックスにおいてもそうです。
よくインタビューなんかで話すんですが、タテ社会が衰退して、ヨコ社会が幅を利かせてくるとセックスでイケる女性はいなくなると思います。それは何故かというと、イケない女性ほど、いろんな男性とセックスすると思うんです。「私、この男としてもイケない、なら他の人とやろう」という風に。
実は本当にイキたいと思っているのであれば、一人の人と何回も、深く深くセックスするほうが近道なんですよね。それは何故かというと、濃い感情がないと濃いセックスは出来ないからです。感情の濃さとセックスの濃さは比例します。ヨコに広がっていく社会では、一人の人と深く絡み合うということはあまり好まれません。タテ社会であるこその文化だと思います。
これは僕の持論ですが、今、ヨコ社会が広がっているせいで起こっているさまざまな社会の歪みについても共通する部分は多いと思います。少し前に、かけっこで順位を決めないで、皆で手を繋いでゴールする運動会が話題になりましたよね。僕は、それはどうだろうと思いました。何故なら、そうしたヨコの教育を受けてきた人間が、社会に出て対応できるとは思えないからです。
タテ社会では、目上の人との付き合い方や怖い先輩との間合いの取り方を日常的に学べます。何故なら、そうしないと生きていけないからです。僕は高校時代、バスケ部だったのですが、その3年間でいろいろなことを学びましたよ(笑)。つまり、人間と付き合う術を修行できたわけです。そうして修行してきた人間は、いきなり社会に放り出されても潰れないと思いますよ。
就職した大学生がすぐ仕事をやめてしまったりしていますよね。何故、大学生が社会に出てすぐに潰れるかというと、大学は基本的にヨコ社会で成り立っているからではないでしょうか。もちろん体育会で一生懸命部活動をしている学生はいますし、そういう学生は社会に出ても潰れません。
今の社会についても、セックスについても、「相手との付き合い方」という当たり前のことが出来る人間が少なくなってきているように思います。仕事相手の付き合い方も、恋人との付き合い方もそうです。かつて、そうしたタテ社会で覚えてきたものが除々に失われつつある気がしますね。