
■ 自分の身の丈を知ろう。背伸びして大きく見せるのはやめて、 自分の実力をわきまえた上で、その中で消費していくべき。 |
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野呂 | 1000万円の借金を背負っていたころ、僕は毎日気分が暗かったんです。もやもやした不安がいつも頭の後ろにあり、辛かった。 |
木暮 | 野呂さんは主にどこから借金をしていたんですか? |
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野呂 | クレジットカードです。何枚も持っていて、どのカードからも限度額を借りていました。 |
木暮 | なるほど。現在日本には、消費者ローンの利用者がおよそ1500万人いると言われています。クレジットカードを使いまくり、その借金がサラ金に発展して、複数の窓口から借りてどんどん返せなくなっていく、というのが多重債務です。今現在、7人にひとりが、クレジットないしはサラ金でキャッシングをしているわけです。 |
野呂 | かつての僕みたいな人、そんなに多いのか。 |
木暮 | 野呂さんとは違うケースもあります。というのが、お酒などの娯楽ではなく、生活費が足りなくて借金をする人が多数いるんです。 |
野呂 | ゼロにできない出費のところで、借金をしているということですね。 |
木暮 | こういうケースでは、収入に見合わない贅沢な暮しをしている場合が多い。給料が追いつかないのに、生活のレベルを上げてしまい、その差額を借金で埋める。これでは雪だるま式に借金は増えていきますし、一度はまると抜け出せない。ですから僕は、「まずは自分の身の丈を知ろう」ということをよく話すんです。 |
野呂 | 六畳一間に住んでいるのに、服やバッグはブランド物を揃えている人って、結構いますよね。なぜ人は身の丈に合わないことをして気飾ってしまうんでしょうか。 |
木暮 | それは、経済学で昔から言われている「顕示欲」だと思います。ブランド物を持つことで「リッチに見られたい」という欲望を叶えているんです。自分の身の丈以上になりたいと思っているから、無理がきて借金してしまう。背伸びして自分を大きく見せるのはやめて、まずは自分の実力をわきまえ、そのなかで消費するべきなんです。 |
野呂 | 僕はそういう女性には、「ハンドバッグや靴や洋服は自分で買うな、全部男に買ってもらえ」ということにしています。女性は美しさを武器に男から金銭や物を貰っていい、と主張しているんです。 |
木暮 | 玉の輿を狙うのも難しい時代か…。男女とも、みんなで節約していくことが一番現実的なのかもしれないですね。僕自身、一念発起して真剣にお金に向き合うことに決め、この本に書いたように出費を丁寧に確認していく作業を始めたら、一気に借金が返済できました。不安も消えて、今までの自分は何だったんだろうと思うくらい、人生が変わりました。それからは着実に貯金もできるようになったし、不思議なことに同時に掃除や片づけも完璧にできるようになっていったんですよ。 |
野呂 | お金の使い方と、生活態度は切っても切り離せないものなのかもしれないですね。 |
木暮 | お金を貯めるのって、コツがあると思うんです。最初に10万円でもいいから貯めてみる。すると貯金のツボがつかめてきます。同時に自分のお金の使い方のクセも見えてくる。こういう時と場所で浪費する傾向がある、という自分のクセが分かり始めたら、もうこっちのもの。徐々にお金がコントロールできるようになってきます。10万円が貯められるようになったら、100万円はあっという間に貯まります。それは、コツが分かってくるからなんですよね。この本には、僕が実践的に身に付けた、お金の貯め方のコツを詰め込みました。これまでお金に振り回されてきた人にこそ、読んでほしいんです。 |
■ 僕はとてもズボラなので、全体的にはどんぶり勘定。 でも、投資思考で買い物をするよう気をつけています。 |
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野呂 | 木暮さんご自身は、お金の使い方で気を付けていることはありますか? |
木暮 | 僕は、実はとてもズボラなんです。お小遣い帳をつけるのも、小学校4年生の時にあきらめました(笑)。だから、全体的にはどんぶり勘定なんですが、気を付けていることがあるとすれば、投資思考で買い物をすることです。 |
野呂 | 投資思考かごほうび思考かで、生活の仕方は全く違ってきますよね。 |
木暮 | ごほうび思考で出費する人は、一生お金が貯まらないと思います。ごほうびを求めていたら、それこそ通帳の残高がゼロになるまで欲望は尽きないでしょう。お金がいくらあっても足りなくなってしまう。 |
野呂 | 借金を背負ってだらしなかった時代の僕は、ごほうび思考が多かったんですよ。たとえば、「今週は死ぬほど働いて30万稼いだから、キャバクラに行ってもいいだろう」とか。するとその場で15万円も使っちゃって、気が付いたら余裕がなくなっている。あればあるだけお金を使っていたんです。けれども、生まれ変わった今は違う。ネクタイ一本を買うにしても「1万5000円ということは、100回使えば一回150円か。このネクタイ、100回着けるかな?」と考える。ネクタイに限らず、どんな服も2~3年は持つと思うものを選びます。流行ものはあえて買わずに、定番のものを揃えるようになりました。 |
木暮 | 欲望が膨らんでいる中で節約をするのはとても辛いし惨めですけど、野呂さんは投資思考に切りかえて、心のスリムダウンができたんでしょう。欲をシャットダウンできるようになると、お金のコントロールは難しくなくなりますよね。 |
野呂 | 最近は、2万円するブランド物のペンが欲しくなって、買うかどうかをすごく悩んだんです。「放送作家なんだし、人の10倍ぐらいものを書いているし、これくらいのペンを買ってもいいんじゃないか」と思ったんです。でもよく考えてみたら、その日も一日、朝から晩まで一度もペンを使ってないんですよ(笑)。全部パソコンで済ませている。だったら、性能のいいパソコンは買う必要があるけど、ブランド物のペンは買わなくていい、と気がついた。衝動買いをしなくて良かったです。 |
木暮 | 投資といえば、僕は、経験をためていくということも、投資のひとつだと考えているんです。 |
野呂 | なるほど。経験を積んでいくことも投資と考えれば、日常の仕事のありかたや、過ごし方についても考え方が変わりそうです。 |
木暮 | ひとりひとりの豊かさとは何かと考えると、やはりそれは個々人の利益が増えることだと思うんです。ある金額を稼ぐためにかかる労力を下げていけば、その人は人間として豊かになるし、安心感が持てる。毎日がむしゃらに働いてへとへとになるのをやめられたら、ずいぶんラクに、幸せに、豊かになると思うのです。では、お金を稼ぐ労力を下げるにはどうしたらいいか。それには、自分が積み上げてきた過去からの資産を使うといいんです。経験して得てきたその人なりの知識、経験を生かして、今日、ラクに働く。過去からの蓄積を使って仕事をすれば、自分の中での利益は増えてきます。だからそのために、経験をどんどん増やしていこう、というのが僕の主張なんです。 |
野呂 | なるほど。では、時には経験を積むために、あえて給料の安い職を選ぶということもあり得るということでしょうか? |
木暮 | そうです。年収1000万円でも自分にとってあまり価値のない経験しかできない仕事よりも、年収が半分以下でも、仕事内容が経験として役立ちそうであれば、そちらを選んだほうがいい。それは経験を買うという意味で、将来への投資と言えますね。 |
野呂 | なるほど。身の丈を知りながら、自分のできる範囲内で自己投資を続けることが、豊かさのひとつの秘訣なのかもしれませんね。ありがとうございました。 |
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経済入門書作家、経済ジャーナリスト。
慶應義塾大学経済学部を卒業後、富士フイルム、サイバーエージェント、リクルートを経て独立。経済入門書、ビジネス書の作家として活動しながら、マトマ出版という出版社を経営。学生時代から難しいことを簡単に説明することに定評があり、大学時代には自作で作った経済学の解説本が学内で爆発的にヒットし、現在も経済学部の必読書としてロングセラーとなる。『新版 今までで一番やさしい経済の教科書』(ダイヤモンド社)、『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』(星海社新書)、『学校で教えてくれない「分かりやすい説明」のルール』(光文社新書)など著書多数、累計80万部。現在は、自ら20年かけて組み立てた「難しいことを簡単に説明・解説するノウハウ」を活かし、書籍執筆、講演、企業内研修を行っている。
●木暮太一 Twitter https://twitter.com/koguretaichi (@koguretaichi)
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放送作家、戦略的PRコンサルタント。学生時代からマーケティングに従事。
テレビ番組の構成をしつつ、CM制作やPR活動にも関わるようになり、外資系・大手 企業を中心に80社以上のコンサルティングを行う。マスコミ側からの視点で斬新なアイデアを提案し、数多くの業界世界一企業のコンサルティングで実績を残 す。Twitter、FacebookなどのSNSも積極的に活用。SNS経由でコンサルタントや講演を依頼されることも多い。
著書に『テレビで売り上げ100倍にする私の方法』(講談社)、
『プレスリリースはラブレター』(万来舎)、
『終わらす技術』(フォレスト出版)、
『すぐやる人になれる! 「スッキリ」仕事術』(PHP研究所)がある。
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