好評発売中の最新刊で、借金まみれでお金に苦労した体験から編み出して人生をリセットした
「お金のお片づけ」手帳術を初公開した野呂エイシロウさんが、ビジネス書ベストセラー作家や話題の著者と「お金」をテーマにした対談をスタートしました。
毎回、お金に対するいろいろな哲学やノウハウが次々語られて、読めばあなたも「お金が貯まる」ヒントがきっと見つかります!
第3回のゲストは、リストラ予備軍から社内ベンチャー創業をきっかけに年商14億円企業のトップになり、
さらにグループ130社の最年少役員に抜擢されたキャリアの持ち主で、著書「プロフェッショナルサラリーマン」もベストセラーになった俣野成敏さん。
そんな俣野さんの「お金の哲学」とは?

■ お金を使わない日はない。お金は生活の一部です。 だからお金の悩みは誰にでもある普遍的なもの。 |
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野呂 | 俣野さんのご著書『プロフェッショナルサラリーマン』は、素晴らしい内容でした。「なるほど!」とひざを打ちたくなる部分がいくつもあり、本当に勉強になりました。プロのサラリーマンとして、ご自身が培って来られたノウハウがとても濃密に書かれています。俣野さんはどのような働き方をしてこられたんですか? |
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俣野 | 大学卒業後に大手精密機械メーカーに入社したのですが、30歳でリストラ候補になったんです。そのことがきっかけで一念発起し、社内ベンチャーを立ち上げました。それまでは普通のサラリーマンでしたが、この時を期にがらりと環境も考え方も変わりました。 |
野呂 | 具体的にどのような会社を立ち上げられたんですか? |
俣野 | 親会社の在庫処分を担うメーカー直販店です。10年かけて、この会社を年商14億円の無借金企業に育て上げました。この経験から学んだことを『プロフェッショナルサラリーマン』にまとめたんです。もしも若いころの僕がここに書いたようなことをあらかじめ知っていたら、遠回りもしなかっただろうし、 もっとうまくやれただろうなと思うことも多い。20代の僕が知っておきたかったことを文章にしたんですよ。 |
野呂 | 一読して、これはまさにサラリーマンの教科書だなと思いました。こういう本こそ、これから社会に出る大学生や、若い世代に読んでほしい。働くことの意味を考える上でとても有益だし、なにより俣野さんのお書きになっていることは、再現性があるんです。書いてあることを見習って、今日にも始めることができるところが素晴らしいですね。 |
俣野 | ありがとうございます。一番嬉しい褒め言葉です。 |
野呂 | 僕は今回『毎日○×チェックするだけ! なぜかお金が貯まる手帳術』を書いたんです。俣野さんのご著書の内容と重なるところはぜんぜんないんですが(笑)、経験を元に書いているところは同じです。 |
俣野 | お若いころの借金のエピソードが赤裸々に書いてあって、興味深かったです。ずいぶん正直な内容ですよね。 |
野呂 | 僕は、若いころからちゃんと稼いではいたんです。でも、なぜかいつもお金がない、という状態に慢性的に陥っていました。家族に内緒で借金もあったから、月々の返済に追われて、心が落ち着くひまもない。貯金なんて夢のまた夢でした。あるとき、これはもうどうにかしなくちゃならないと思い立ち、それこそ一念発起して借金を返済したんですよ。 |
俣野 | 借金はいくらくらいあったんですか? |
野呂 | 1000万円です。複数のクレジットカードからキャッシングしたり、いろんな金融機関からお金を借りていました。僕は、自分がいったいいくら借金をしているのかさえ、ちゃんと把握できていなかったんですよ。「だいたい300万円くらい借金してるのかなあ…」と漠然と思っていたんですが、正確に計算してみると1000万円もあった。それからは、起死回生のために真剣に節約しましたよ。真面目にお金に向き合おうと決意してみると、人生が180度変わったんです。借金を返済し、貯金ができるようになり…。今では経済状況は健康そのものです。支出はかつての3分の1以下に抑えられています。 |
俣野 | この本は、借金人生から這い上がった野呂さんのお金に関する考え方の集大成、ということですね。 |
野呂 | 世の中、お金に苦労している人も多いから、僕の経験が役に立つこともあろうかと思って。「お金が足りない」という悩みは、稼いだ額が多かろうと少なかろうとあるんです。どんなにお金持ちでも困ることはある。大企業の社長でさえ、いつもお金のことには悩んでいる。「あと100億円、月末までに用意しなきゃ」とか。庶民と規模が違うだけで、「お金が足りない」という悩みの根本は同じなんですよね。 |
俣野 | 生活をしていれば、お金を使わない日というのは、基本的には1日もない。お金って生活の一部ですよね。ですからお金の悩みは普遍的だと思います。 |
■ 普段の生活の中に「投資思考」を取り入れられるかどうか。 お金の使い方が上手か下手かは、そこで別れると思う。 |
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野呂 | お金の使い方って、考えてみれば誰も教えてくれないことなんですよ。僕は、学校で教えるべきなんじゃないかと思う。 |
俣野 | そうですね。せいぜい、親から「ムダづかいはしちゃダメ」と言われる程度ですよね。なにがムダなのか、といったことを真剣に考える場面はない。 |
野呂 | そう。だから、正しい使い方がどういうものか、全然わからないまま社会人になる人も多いと思う。 |
俣野 | 僕は、お金について子どもたちに教えるなら、「使い方」を真剣に教えたいですね。というのは、従来はどちらかというと「ムダ使いをさせない」に重点があるから、「お金をなるべく使わない」方向にしつけをしていると思うんです。でも、社会に出れば、望むと望まないにかかわらず、誰もがビジネスの世界に足を踏み入れる。ビジネスでは、やっぱり先に支払いをすることがルールだと思うんです。先に支払うということはリスクを負うということでもあるけれど、それはビジネスでは必要なことなんです。 |
野呂 | 僕もそれはすごく重要な点だと思う。ビジネスの場面だけではなくて、普段の生活のなかでも投資思考を取り入れられるかどうかがカギ。お金の使い方が上手か下手かは、そこで別れると思う。 |
俣野 | 野呂さんが提案されている“ハッピーなお金”という概念は、まさに投資思考の話ですよね。 |
野呂 | はい。この本では“苦にならない節約の仕方”をテーマにしていますが、もう一つのテーマがいかにハッピーにお金を使えるようになれるか、ということなんです。節約ばかりしていたら、余裕がなくなってすぐに破たんがくる。すべてをケチケチしようとするのではなく、自分にとって必要な出費を見極めることこそが大事。ハッピーなお金の使い方ができるようになれば、ハッピーな生活を送りながら、節約まで自然に出来てしまう、ということを伝えたいと思ってるんですよ。ハッピーなお金の使い方をするコツは、投資思考。夕ご飯を食べるにしても、「明日からの仕事を頑張るために、今日は美味しいカツカレーを食べよう」というふうに、投資思考であらゆる出費を考えるんです。俣野さんご自身も、普段の生活で投資思考を心掛けていますか? |
俣野 | はい、もちろん。たとえばセミナーに出席したときには、投資した額は必ず回収しようと思うようにしていますね。それくらいの意気込みで行くと、講演を聞くにも集中力が発揮できる。学びの態度が真剣になり、得られるものの大きさが変わってくる。 |
野呂 | そういう姿勢は大事ですよね。 |
俣野 | 自己投資というのは、額ではなくて使い方が大事だと僕は思うんですよ。 |
野呂 | というと? |
俣野 | 普通のサラリーマンだった時代、僕はけっこうのほほんと暮らしていましたから、自己投資についても真剣に考えたことはなかったんです。「お金が余ったら、自己投資しよう」と思っていた。そういう考えではお金なんて余りませんから、自己投資はゼロ。 |
野呂 | 多くの人がそうだと思います。 |
俣野 | 社内ベンチャーを手掛けるようになり意識が変わったころから、このようなお金の使い方をしていてはダメだと気付きました。そこで、自己投資する額をあらかじめ決めて取っておくことにしたんです。 |
野呂 | 予算を作ったわけですね。 |
俣野 | そういうことです。毎月、一定額を自己投資のための資金として封筒に入れてよけておく。それをその月にどう使うかを考えるのが毎月のテーマ。とにかく使いきることを自分に課しました。もしも余ったら、翌月の封筒と合算して次に使いきる。そういうふうにお金の使い方を変えたんです。 |
野呂 | 効果はありましたか? |
俣野 | ありました。当然、行動が変わってくるし、そうすれば結果も変わるという実感がありました。 |