だれかに話したくなる本の話

運命が複雑に交差する冒険小説『天風』の魅力とは

『天風』(小山結夏著、幻冬舎刊)

知らない土地での探索や、思いもかけない出来事、そして予期せぬ出会い。
数知れぬ偶然に彩られた「冒険」は、何歳になっても心を熱くさせてくれるものだ。
ロールプレイングゲームなど架空の世界の冒険もあれば、知らない土地への一人旅や、ちょっとした非日常体験も、一種の冒険だ。そしてもちろん、本の世界での冒険だってある。

天風

天風

貧しい村と、そこに暮らす母を救おうと修行の旅に出た男がいた。理京と名を改めた男は、旅のさなか、二人の神の子に宿された玉の封印を誤って解いてしまう。龍子と風丸と名乗る神の子は、やがて別々の道を歩むことに。宿命を負った神の子と、親元を離れたひとりの少女、琴芽。そして玉の持つ威力に惑わされたものたちが繰り広げる、ファンタジー冒険小説。