だれかに話したくなる本の話

武力を使わず侵略する 日本国防の弱点を突いた「最悪のシナリオ」

武力を使わず侵略する 日本国防の弱点を突いた「最悪のシナリオ」(**画像はイメージです)

21世紀に入ってから、戦争の形式は大きく変わった。
紛争国の正規軍同士が正面衝突するような、武力による戦争は減り、ドローンを駆使した非対称戦やフェイクニュースを用いた情報戦、サイバー攻撃など、直接的な殺し合いをせずにいかに相手に深いダメージを与えるか、というのが21世紀の戦争の姿だ。他国だけでなく自国にも多大な被害を出す正規戦は「コスパ」が悪い。そのことに多くの国は気づいている。

敵国の脆弱性を把握し、適切な戦略を立てれば、自国民に犠牲者を出すどころか、ただの一発の銃弾を放つこともなく、相手を内側から崩壊させられる。『OKI――囚われの国』(杉山隆男著、扶桑社刊)は日本の国防体制の脆さを鋭く突いたシミュレーション小説だ。

OKI――囚われの国

OKI――囚われの国

島根県隠岐の島に謎の武装集団が上陸。“静かな支配”を展開する彼らに政府は、自衛隊は?国防を知り尽くした著者が描く、迫真のドキュメント小説。