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男の子はなぜ電車や車が好き? 「母も惚れる」男の子の育て方

母親からすれば、息子も男性。言動が理解できないということもあるだろう。また、いい男に育てるにはどうすればいいのか? ということも、男の子の子育てにおいて気になるところ。
そこで、知っておくべきなのが「男性脳」だ。

脳科学・人工知能研究者であり、母親でもある黒川伊保子氏が、「男性脳学」から子育ての楽しさ、「母も惚れる男子」の育て方を紹介するのが、『息子のトリセツ』(扶桑社刊)だ。

ほとんどの男子は「空間認知優先形の脳」で生まれてくるという。対する女の子は「コミュニケーション優先型の脳」だ。
空間認知優先型とは、自然に「遠く」まで視線を走らせ、空間の距離を測ったり、ものの構造を認知する神経回路を優先する脳の使い方だ。一方のコミュニケーション優先型は、自然に「近く」に集中して、目の前の人の表情や所作に反応する神経回路を優先する脳の使い方。
ヒトはどちらの使い方もできるが、とっさにどちらを優先するかは、あらかじめ決められている。

男子が自動車や電車を愛する理由も脳が関係している。「遠く」を優先する脳で生まれてくる男子は、奥行き認知が得意で、距離感をつかんだり、ものの構造を見抜く力が早く発達する。これは理系力の源でもある。
脳は得意なことをしたがるようにできているので、男の子たちが車や電車が好きなのは、このためなのだという。

幼い男の子が「はたらく車」がやや離れたところにあると、興奮し、這って行ってその存在を確かめる。そして、空間認知力の高さを生み、好奇心を育む。なので、男の子を育てるときは、あっちに消防車、こっちにフォークリフトというように、部屋が多少散らかっていたほうがいいという。散らかし放題が、男子の英才教育にもなるのだ。

一方、「近くが手薄」になるのが男性脳。女性から見たら男性の短所にも見える。しかし、「近くを注視して、先へ先へ気が利く」脳の使い方を強制すると、「先を見た冒険心や開発力」は弱体化してしまう。息子に男性脳らしさを根づかせたかったら、その弱点を吞むことが母親には必要だという。

男子と女子は脳の使い方が異なるのだから、母親が息子を育てるときに戸惑うことも多いのは当然だろう。本書から「男性脳」を知ることで、息子への理解や考え方の傾向を把握し、子育てに役立たせることができるはずだ。

(T・N/新刊JP編集部)

息子のトリセツ

息子のトリセツ

タフで戦略力があり、数学も料理も得意で、ユーモアも愛嬌もあり、とろけるようなことばで、優しくエスコートもしてくれる。
母も惚れるいい男。手に入ります。

この記事のライター

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T・N

ライター。寡黙だが味わい深い文章を書く。SNSはやっていない。

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