だれかに話したくなる本の話

生活習慣を改善する「瞑想」の方法とは?

「人間が1日に使える意思決定の量は限られている」ということを20世紀の心理学者たちは発見した。

朝、どの服を着て行こうか。昼食は何を食べようか。そう意思決定するたびに、心をすり減らし、1日の意思決定の量を使い果たすと、あとは理性ではなく、欲望が心を支配するようになり、余計な買い物をしたり、イライラしてしまうというのだ。

そして、1日の終わりに「ああ、今日も疲れたな」となるのだ。

では、どうすればイライラやストレスから解放され、気持ちよく1日を過ごすことができるのか。それは「疲れない脳」をつくることであり、そのためにやるべきことが瞑想だ。

『疲れない脳をつくる生活習慣』(石川善樹著、三笠書房刊)は、瞑想によって得られる効果、その効果をさらに高める睡眠、姿勢、食事のあり方を科学的な裏付けとともに解説する一冊だ。

■1日5分の瞑想。大事なのは「呼吸」

最新の脳科学の研究によると、1日5分程度の瞑想がストレスを軽減し、集中力や創造力を向上させてくれることがわかっている。そして、瞑想によって自己の内面を静かに観察して、「いまここ」に集中することを「マインドフルネス」と呼ぶ。

瞑想の基本動作となるのが「姿勢」と「呼吸」。そして、瞑想をするうえで大切なことは「調身(姿勢)」「調息(呼吸)」「調心(心)」の3つだ。

「調身」は、背筋を伸ばしたら、一度肩を落とす。椅子に座る場合は、両足を床に着けて、両手は太ももの上に置いて両手を軽く握る。
「調息」は、5秒くらいかけて鼻から息を吸い、10秒から15秒かけてゆっくりと鼻あるいは口から吐く。
「調心」は、ひとつの対象に集中するもので「集中瞑想」と呼ばれている。集中瞑想は、自分の呼吸や目の前にある対象物など、一つの対象に注意を集中して瞑想する。

この3つの中でもっとも難しいのが「調心」。瞑想開始後は、呼吸に集中できていても、しばらくすると別のことを考えて注意が散漫になる。そういうときは、自分の状態を落ち着いて観察し、呼吸に注意する。

集中瞑想をすると、集中力、記憶力、意思決定といった認知能力に関係する領域である脳の前頭前皮質という部位が活性化される。認知能力は脳の実行機能知いわれ、高いパフォーマンスを出すのに大切な能力の一つ。集中瞑想でこの認知能力を鍛えると、どんなときでも集中できるようになるのだ。

 ◇

瞑想をすることだけがマインドフルの実践ではなく、呼吸、姿勢、睡眠、食事の一つひとつを改善することが大切になる。本書では、マインドフルに生きるための1日の過ごし方も紹介している。瞑想をはじめとした生活習慣を、本書を参考に改善すれば、1日1日を快適に過ごせるようになるはずだ。

(T・N/新刊JP編集部)

疲れない脳をつくる生活習慣

疲れない脳をつくる生活習慣

自分を「最高の状態」にして結果を出す、瞑想、睡眠、姿勢、食事の科学。

※記事で取り上げている書籍を購入すると、売上の一部が新刊JPに還元されることがあります。

この記事のライター

現在調査中…

T・N

ライター。寡黙だが味わい深い文章を書く。SNSはやっていない。

このライターの他の記事