だれかに話したくなる本の話

ビジネスは「モノを売るな。顔を売れ」 差別化に知名度が必要不可欠である理由

企業も個人も、現代のビジネスにおいて差別化は必要不可欠。そのために商品やサービスに独自の色を出そうとしたり、ユニークなキャラ付けをしたりとさまざまな工夫がなされている。

しかし、それがしっかり顧客や消費者に届くかというとそうではない。 量か質かの話の前に必要なのが「知名度」だ。

そこで、人気YouTubeチャンネル『令和の虎』をはじめ、250チャンネル以上のYouTubeチャンネルに携わり、名を知らしめるノウハウを書き記した『知名度の上げ方 1年で10,000人のファンをつくる法則』(クロスメディア・パブリッシング刊)の著者である株式会社Suneight代表取締役の竹内亢一さんにインタビュー。

知名度の重要性から、知名度を上げるために何が必要なのか、動画マーケティングとの出会いについてお話をうかがった。

■ビジネスを制するためには「モノを売るな。顔を売れ!」

――著書『知名度の上げ方』についてお話をうかがいます。タイトルの通り、本書は知名度の上げ方、いかし方がテーマになっていますが、まず知名度がビジネスにもたらす効果を教えてください。

竹内:一言で言うと影響力ですね。情報過多の時代において、消費者は「誰から買うか」を強く意識するようになっています。よく知っている。親近感がある。そういったことが強く影響するようになっているんですね。

知名度が上がり、自分自身や会社が認知されるようになれば、莫大な広告費や採用費をかけずに人が集まってくるようになります。表紙に「モノを売るな。顔を売れ!」とあるように、何事もスムーズにビジネスができるようになるんです。

そこで大切なのが、本の中にも書いた「準知人化」です。これは他人以上知り合い未満を示す言葉で、SNSや動画などでいつも顔を見ていて、共感したり、あこがれをいだいたりするような関係ですね。共感したり、信用しているからこそ、その人がおすすめするものを使いたくなる。これこそが「誰から買うか」という時代を象徴していると思います。

――その影響力をつけるために動画を活用するというのが本書の内容になります。もう少しうかがいたいのですが、今すでにSNSや動画で影響力を持っている人たちに共通しているポイントがあれば教えてください。

竹内:この本でも自己理解が重要だと書きましたが、影響力を持っている人は自分のキャラクターを自分で把握していて、どういう設定で誰に何を伝えたいかが明確になっていることが多いと思います。

SNSや動画の世界は何も考えずただ参入しても上手くいきません。もちろんラッキーパンチで成功する人もまれにはいますが、数字を持っている人の多くは自己理解をしっかりしています。

――自己理解は本書でも基本として出てきますね。竹内さんは動画マーケティングの会社を経営されていますが、クライアントの方々にもその部分からお伝えしていくのでしょうか?

竹内:そうですね。最初から自分のことを理解できている人はそういませんが、これは企業にも言えることです。つまり、自社の商品やサービスについて理解できている企業は少ない。今は情報収集がしやすいので、意外とその会社の中にいる人よりもお客さんの方がサービスについて詳しかったりします。

――「自己理解」以外で共通するポイントがありましたら教えてください。

竹内:やはり熱量は大切ですね。量か質かという議論がある中で、僕はどちらでもなく熱量が大切だと言っています。売り上げを上げたいというよこしまな心ではなく、「自社の商品を通して、こういうことで困っている人たちの課題を解決したいと本気で思っている」という初期衝動的な思いを中心に据えるということですね。

人間の心を動かすものが3つあります。「共感」「憧れ」「問題解決」です。でも、それをお金という下世話なもので忘れてしまっていないですか?と問いかけたい。もちろんビジネスですから、お金も大事です。ただ、あなた自身が本当にやりたかったことは何か、そこを中心に据えないと脆さが出てしまうんです。

――竹内さんご自身についてのお話をうかがいたいのですが、動画マーケティングに携わるようになったきっかけはなんだったのでしょうか。

竹内:僕はもともとバンド活動をしていたのですが、そのバンドが解散することになって無職になると。そこで自分にできることは何かと考えたときに映像制作があったんです。また、YouTubeは当時マイナーな存在でしたが、自分はすごくよく見ていて、情報発信の手としての可能性を感じていました。

映像制作の道に進むにしても、ライバルは多い。差別化するにはどうすればいいかと考えたときに、YouTubeを活用して情報発信することに需要があるんじゃないかと思ったんです。当時はYouTubeマーケティングの会社もほぼなくて、そこに賭けてみたというのがきっかけです。

――2013年に株式会社Suneightを創業されますが、ノウハウの蓄積はどのように行ってきたのですか?

竹内:創業当初は今言ったように競合がほぼいなかったので、YouTubeに動画をあげるだけで上手くいきました。変わりはじめたのはそれから3、4年くらい後ですね。競合が増えてきたタイミングでそれまでアップしてきた動画をしっかり分析するようにしたんです。会社の中に分析が得意な人間がいたり、新しいことに対して好奇心旺盛なメンバーが多くて、恵まれていたと思います。

それまでの蓄積がデータとしてあった点は、競合との差別化になりました。マーケティングは統計学です。確率が高いものを導きだし、それにベットしていけば負ける確率は減っていきます。その判断基準となるデータが僕らにはあったんです。

ただ、勘違いしないでいただきたいのですが、僕らは「バズる」ことが正義とは思っていません。確かにYouTuberであれば「バズる」ことは大切だと思いますが、会社やフリーランスの方は自社のサービスや自分の知識を発信して、それをビジネスにつなげることの方が重要です。だから、「バズる」よりもコンテンツを出し続けていくという継続の部分が大事になります。

――確かに動画ですと再生回数が正義だと思ってしまうところがありますが、必ずしもそうではないと。

竹内:そうですね。自分が参入しているジャンルの再生回数のアッパーがどのくらいで、ミニマムがどれくらいで、アベレージがどのくらいかというのをまず理解する。例えば自分たちの動画の再生回数が1,000だとしても、YouTuberと比較すると低いかもしれないけれど、同じ業界に関する動画の中なら意外と再生されているということは普通にあります。

例えば僕たちが管理している教育系ジャンルのチャンネルの登録者数は1.5万人なんですが、実はそれで業界1位なんです。しかも、YouTubeで1万人以上の登録者数がいるチャンネルがそもそも2%しかない。「まだ1.5万人なの?」と思う人もいるでしょう。でも、業界における発信力はトップなんです。

世間一般には知られていなくても、業界内では知名度がある。それこそが強さを生むと思っていますし、無理に世間一般の認知度を取りに行く必要はないと考えています。

(後編に続く)

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