だれかに話したくなる本の話

動画マーケティングのプロが明かす、堅実にファンを増やす戦略とは

企業も個人も、現代のビジネスにおいて差別化は必要不可欠。そのために商品やサービスに独自の色を出そうとしたり、ユニークなキャラ付けをしたりとさまざまな工夫がなされている。

しかし、それがしっかり顧客や消費者に届くかというとそうではない。
量か質かの話の前に必要なのが「知名度」だ。

そこで、人気YouTubeチャンネル『令和の虎』をはじめ、250チャンネル以上のYouTubeチャンネルに携わり、名を知らしめるノウハウを書き記した『知名度の上げ方 1年で10,000人のファンをつくる法則』(クロスメディア・パブリッシング刊)の著者である株式会社Suneight代表取締役の竹内亢一さんにインタビュー。

この後編では、動画マーケティングで成功するための心得や、YouTubeの現実についてお話を聞いている。

■動画に「ウルトラCはない」。堅実にファンを増やす戦略

――本書では「スーパーニッチ戦略」と書かれていますが、ニッチなところで知名度を高めてファンを獲得し、確実に成功体験を積み重ねていくことが大切になるんですね。

竹内:基本的にはそうなんですが、ニッチなジャンルに特化した動画だけだと、商品やサービスにもともと興味のある人しか見に来ないので、ターゲットとなる人たちが好きなレイヤーを2つくらい広げたところまで狙うといいと思います。

今はコンテンツが増え続けている状態なので、見る理由がないと(動画が)見られなくなっています。だから付加価値が必要です。「めっちゃイケメン」とか「めっちゃ可愛い」でもいいし、「喋りがめっちゃ面白い」といったエンタメ要素があってもいいでしょう。ただ、そこで無理に自分がピエロになる必要はないと思います。

――レイヤーを少し広げたり、ずらすことでそのジャンルの中で目立つことができると。

竹内:違うところで違う目立ち方をすることで注目は集まります。例えば、封筒に100円切手を1枚貼って送るのではなく、1円切手を100枚貼って送ってみる。もちろん気持ち悪がられて封筒を開けてくれないこともありますが、「何だろう」と開けてくれる可能性もあります。悪目立ちはしますが、封筒を開けてもらえるか分からないなら興味を持ってもらう方法としてはありだと思いますね。

もちろん商品や商材に合わせて考えるべきですけど、そういったテクニックもあります。

――動画マーケティングを提案する中で感じるクライアントの勘違いについてはいかがでしょうか。

竹内:「YouTubeをやったら売り上げが上がる」とか「半年で登録者1万人くらいはいくでしょう」と思われている方もいますが、実際はそう簡単にはいかないものです。先ほども言いましたが、世界で1万人以上の登録者数がいるYouTubeチャンネルは2%です。だから僕たちとしては業界のアベレージを出して、現実的な成長を考えてもらうようにしています。

――動画には華やかなイメージがありますが、現実はそうではない。

竹内:SNSや動画にはウルトラCがあると思っている方も少なくありません。周囲からも上手くいっている人の話しか聞かないので、そちらのイメージに引っ張られる傾向がありますね。

――確かにYouTubeに限らずSNSは目立っている人に目が行きがちです。

竹内:それはすべての業界でそれは言えることです。野球といえば大谷翔平選手ですが、すべての選手が二刀流でメジャーリーグで活躍できるかというと、そうではないですよね。

だから僕たちはまず「業界のナンバーワンになりましょう」と伝えます。Suneightは「顧客を話題の真ん中に」をスローガンにしていますが、それはクライアントをそのジャンルの中でのセンターピンにするのが僕たちのミッションだと考えているからです。

――本書をどのような人に読んでほしいとお考えでしょうか。

竹内:人間は承認欲求の塊だと思っています。だから、その承認欲求を満たせていない人やもやもやしながら生きている人たちにぜひ読んでほしいですね。

このインタビューでは主にビジネスでの活用について話してきましたが、それだけではなく個人の方にも役に立つ本になっています。今、挑戦していることがあまり上手くいっていない人たちにもヒントになると思いますし、上手くいっている人も初心を振り返るという意味で大事なことを書いています。

――自分のファンを獲得したり、自分が提供しているもののニーズをしっかり把握しましょうという点はまさにビジネスの基本ですし、自分がやっていることを振り返るにはちょうどいい本だと感じます。

竹内:まさにそうだと思います。今って差別化がすごく難しくて、良いものはすぐに真似されますよね。だからこそ、そこで知名度が強い武器になる。自分のいるジャンルの中で名が一番知れ渡れば、それだけで差別化になります。

――ただ一方でこれから動画に参入しても競合が多いのではないかと考えている人も少なくないと思います。そうした人たちにアドバイスをお願いします。

竹内:例えば営業マンでも、同じ商品を売っているのに売れる人と売れない人がいますよね。動画もそれと一緒で伸びる動画と伸びない動画があります。その伸びるための道筋をデータで取ってこの本に落とし込んでいます。

実は後発だからこその優位性というのもあります。上手くいっている見本、上手くいかなかった見本がすでにあって、それをカンニングできるというのがこれから参入しようとしている人たちにとっての大きなメリットなんですね。だから、遅いからといって不利ではなく、確率の高い方法を先輩たちが教えてくれるので、そこをしっかり読み解けば逆に有利になるということをお伝えしたいです。

(了)

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