だれかに話したくなる本の話

消えゆく言語? 日本人が日常的に見ているラテン語とは?

英語やスペイン語、フランス語は、それぞれ別の言語だと考えられがちだが、いずれも祖先は同じ、「ラテン語」である。このラテン語、古くはローマ帝国で使われていたが、現在公用語としているのはバチカン市国のみ。

「消えゆく言語」かと思いきや、決してそんなことはない。ラテン語を話す人々は現在もいるし、世界的にラテン語の教材は充実している。そして、日本の社会にもはしっかりとラテン語は根づいているのである。例えば、「午前・午後」を指す「AM・PM」という言葉は日本でもお馴染み。実はこれは「ante meridiem・post meridiem」というラテン語が起源である。『世界はラテン語でできている』(ラテン語さん著、SBクリエイティブ刊)は、古くて新しく、そして広がりのあるラテン語の世界を垣間見せてくれる。

◾️ビジネスの世界であなたもラテン語に触れている

現代の私たちが使う日本語の中には英語起源の言葉がカタカナ言葉として少なからず入っている。そして英語はラテン語が起源。ということは日本語に中にも必然的にラテン語の要素は入ってくる。というよりも、カタカナ言葉の多くは元を辿るとラテン語に行き着く、とも言えるだろう。

例えば、ビジネスの世界で最近よく聞かれるようになった「コーポレートガバナンス(企業統治)」という言葉の「ガバナンス」は英語の「governance(統治)」だが、これはラテン語の「gubernare(舵取りする、統治する)」からきているという。

◾️ディズニーシーの人気アトラクションに書かれたラテン語の意味

ディズニーが好きな人であれば、ラテン語はさらに身近かもしれない。「東京ディズニーシー・ホテルミラコスタ」のロビーにはイタリアの地形が描かれた地図が飾られており、ラテン語の説明が添えられている。また、「タワーオブテラー」の外壁には「MUNDUS MEA OSTREA EST」と記されている。これもラテン語で、「世界は私のアコヤガイである」(意訳すると「世界は私のものだ」)となる。ディズニーリゾートで、英語ではないアルファベットの文字列を見つけたら、それはもしかしたらラテン語かもしれない。

◾️ラテン語とラテンアメリカの濃くて薄い関係

「ラテン語」に関して不思議なのは、南米、いわゆる「ラテンアメリカ」と「ラテン語」は関係があるのかという点だ。これは、関係があるとも言えるし、ないとも言えるというのが正しいようだ。

というのも、ラテンアメリカで主に話されているのはスペイン語やポルトガル語、といったラテン語を祖語にする言語である。この点ではラテンアメリカは、ラテン系言語が話されており、ラテン語と関係があると言える。ただ、知っての通り南米の国々の多くは、スペインやポルトガルの侵略を受けており、それ以前には原住民が暮らしている土地だった。現在南米で暮らす人々もまた、ヨーロッパ系(特にローマ人)の人々の子孫ばかりというわけでもない。だから、民族的にはラテンアメリカはラテン語と関係があるとは言えないのだ。

『世界はラテン語でできている』は縁遠いと思われがちなラテン語が身近に思えてくる一冊。現在も世界のあちこちでしっかりと文化や教養の一角を占めるラテン語。その知識を持っておくと、英語やスペイン語、フランス語など、ラテン語を起源とする言語を学ぶ際に大いに役立ってくれる。また欧米人とのコミュニケーションの際にも、文化的な土台を共有することができるはずだ。

(新刊JP編集部)

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