デスクワークの肩痛・腰痛がマッサージや整体で完治しないワケ
夕方過ぎになると首や肩が痛い。
マッサージに行った翌日は調子がいいが、二、三日するとまた腰に痛みが出る。
長時間のデスクワークで慢性化した体の痛みをマッサージや整体でごまかしつつ、完治しないまま働いている人は多いのではないでしょうか。
ただ、体の痛みは仕事のパフォーマンスも人生の質も落とします。『筋肉のつながりを知れば「肩こり」と「腰痛」は自分で解消できる』(沖倉国悦著、アスコム刊)は、慢性化する痛みの原因を特定し、きっぱりと縁を切るためのセルフエクササイズを教えてくれます。
そもそも、デスクワークでなぜ痛みが出るのか。長時間同じ姿勢でいつづけると体の中で何が起きるのか。今回は本書の著者である沖倉国悦さんに、痛みが出る原理とそれに有効なアプローチについてお話をうかがいました。
■「筋膜の癒着」を取り除かない限り、痛みは繰り返す
――『筋肉のつながりを知れば「肩こり」と「腰痛」は自分で解消できる』で解説されている筋膜はがしの手法は驚くべきものでした。痛みとは違う場所に原因がある、という考え方は整体や理学療法の世界では一般的なのでしょうか?
沖倉:理学の世界では、いかに痛む場所を特定して治療するかというアプローチが一般的です。痛む場所と違う場所に痛みの原因があるという考え方はほとんどされないと言っていいと思います。整体師でもそういう考え方を持っている人は少ないです。
――「沖倉流筋膜はがし」の元になった六層連動操法について詳しく教えていただきたいです。
沖倉:「六層連動操法」は筋肉や骨の周りについている膜のお話です。一番体の表面に近い筋膜から一番奥の骨膜まで数えると全部で6つあって、それらが層になっています。この構造を踏まえると、体の奥の方の膜同士の癒着を取らないと、体の表面まで緩めることはできない、逆に体の最深部の筋膜の癒着を取れれば、体の痛みもとれる、というのが六層連動操法の発想です。
今回の本もその原理に基づいて、体の深い部分の筋膜の癒着を取ることで体の痛みから解放される方法について書いています。
――沖倉さんの手技はどのように作り上げられていったのでしょうか?
沖倉:以前に病院勤めをしていた頃、様々な治療法を勉強しながら体の痛みを抱えた患者さんと向き合っていたのですが、少し良くなったと思ったらまたもとに戻ってしまうというのを繰り返してしまう方が多かったんです。その繰り返しはなぜ起こるのかと考えてたどりついたのが「体の奥深くの筋膜の癒着を取らない限り、症状は元に戻ってしまう」という、先ほどの六層連動操法の理論で、手技はその理論を技術に落とし込んだものになります。
――今回の本では、その技術がセルフエクササイズとして紹介されていますね。
沖倉:そうですね。たとえば肩こりや肩の痛みの場合、表面をもんだり叩いたりしても、深部まではなかなか届きません。じゃあどうするかというと、体の中を通っている筋膜のつながりに注目するんです。肩の筋膜は腕を通って、手の親指と人差し指の間までつながっているので、この部分にアプローチすることで、肩こりや肩の痛みを引き起こしている筋膜の癒着を取るというやり方をします。
――体の深部までアプローチするということですと、鍼治療も思い当たりますが、鍼やお灸とも違った方法ですね。
沖倉:鍼灸の場合は体の奥にあるツボにアプローチをしますが、鍼を刺すだけでは癒着は取れないので、一時的に症状が落ち着いてもまた元に戻ってしまうというのが私の考えです。痛みやこりの根本原因はこの癒着なので、ここをどうにかしないと完全に治すことは難しいと思います。
――具体的なやり方としては、筋膜のつながりに注目して、「引く」というのが特徴的ですね。
沖倉:そうですね。筋膜はつながっているので、そのつながりの末端を引っ張ることで筋膜の滑走不全を改善するというやり方をしています。
(後編につづく)
